異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第84節

 適当に散策していると、質屋から電話が来た。どうやら、査定が終わったらしい。
 早速、質屋に向かい説明を受ける。とりあえず、宝石はここの人の査定によれば全て本物らしい。説明を受ける傍ら、どうやってこんなにも宝石を持っているのか尋ねられたが、適当にごまかした。なにせ、盗品でないことは俺自身がハッキリ分かっている。店員もそこまで深く追及はしてこなかった。
 適当な説明やら手続きを経て、査定額の60万飛んで4800円を手に入れた。といっても、現金ではなく振込だが。
 約60万。大金だ。元手に比べて遥かに実入りが多い。およそ大銀貨8枚ぐらいで揃えた魔石の指輪だ。もちろん、原料費、加工費込みで大銀貨8枚。8000エルグで600000円。つまり、100エルグで7500円相当になる。銀貨一枚で7500円だ。金貨を売るよりはるかに効率がいい。加工にかかる時間さえ許容できれば一番もうけが出る。宝石によって価値が変わるため一定額にはならないが、それでも余りあるリターンだ。
 よし。魔石を買い占めてどんどん加工してもらおう。
 俺は有頂天状態となり、例の洋菓子店でショーウィンドウに飾られてあるショートケーキをホールで2つ買い、近くの人気のない古ビルに張り紙のようにイラストを貼り、すぐに異世界に渡った。


「カズキ様、おかえりなさい」


「ああ。ただいま」


 俺は興奮のあまり、アイリスを抱きしめる。


「アイイス。これから楽しくなるぞ」


 俺の言葉にアイリスはキョトンとしている。


「約束のお菓子だ。全員分あるから、他の奴らも呼んで来い」


 アイリスは理解できぬまま首をかしげながら部屋を出る。俺はその間に紙皿を用意する。プラスチックのスプーンを店につけてもらったから、そこは心配ない。


「カズキ様、どうかなさいましたか?」


 ハリソンとロージーがやって来て、つづいてジェイドとアンバーも来た。


「ほら、お前ら適当なところに座れ」


 さすがにこの数だと座るところが足りない。一応、俺がいない間はアイリスが掃除なりなんなりしてるため床もそれなりに綺麗だ。


「まずは皆、お疲れ様」


 まぁ疲れてる奴なんていないだろうけど、前口上だ。気にするな。


「明日から新しい仕事ができたぞ。お前ら全員に働いてもらう」


 これだけの数だ。人手が足りないということはないだろう。


「そのためにも英気を養ってもらおうと考えている。そこでこいつだ」


 俺は白と赤で彩られた高カロリーな芸術品を皆に見せた。

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