異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第82節

 宿に戻るとハリソン達は戻っていなかった。


「アイリス、腹減ったか?」


「はい……」


 俺だって腹が減ってる。


「ちょっと待ってろ」


 俺は現代の自室に戻り、冷蔵庫を開ける。コストパで買ったものとは別の食材が色々と並んでいる。ここ最近、自炊していなかったせいか消費期限が近い物が多い。
 豚肉の細切れ、小松菜、もやし、エリンギ。まぁこんなところか。
 フライパンを熱して胡麻油を垂らし、豚肉の細切れをそのまま投下。適当に加熱したら料理酒を入れて更に焼き進め、全体的にピンク色が無くなったら刻んだ小松菜、エリンギ、もやしの順にフライパンに入れ、十分に火が通ったところで塩胡椒を多めに振り、完成。適当な大きさの皿に盛りつけ、即席ごはんをレンジで温めたら昼飯の完成だ。ついでに有名清涼飲料水ポカエリアスを二つの紙コップに注いで持っていく。


「ほら、アイリス。持ってきたぞ」


「カズキ様……これって?」


「俺らの昼飯だ」


 サイドテーブルに皿を二つ、レンジ飯を二つ、紙コップを二つ並べる。


「これをカズキ様が作ったんですか?」


「まぁ男料理だけどな」


 俺はベッドに腰掛け、アイリスはサイドチェアに座らせる。


「カズキ様は料理も出来たんですね!」


「これを料理と言っていいのか微妙だけどな」


 まぁある程度食べられる物は作ったつもりだ。
 俺は新しい割り箸を取り出し、アイリスも割り箸を取り出す。
 アイリスは俺の言いつけ通り、割り箸をずっと大切に持っているようだ。そのうち、新しい箸をやらないとな。
 俺の料理はアイリスにとってはやや味が濃かったようで、ポカエリアスを頻繁に飲んでいた。今度作ることがあれば薄口にしてやろう。


 俺達は昼飯を終え、ハリソン達がまだ戻ってきていないことを確認する。


「アイリス、少し国に戻る。もしかしたら帰りは明日になるかもしれないから、俺が戻るまでは自由にしていい」


「お国で何かあるんですか?」


「とりあえず、この魔石は売り払ってみる。悪くない値がついたら、明日からは魔石を買うため色々と動いてもらうからな」


「魔石を?」


「ああ。俺の国は魔法なんてない所だけど、魔石そのものは綺麗だから売れるんだよ」


「そうなんですか?」


「まぁ実際、売れるかどうかは分かんないから売りに行くんだけどな」


「きっと売れますよ」


 アイリスは優しく微笑む。


「そうだな。もし高く売れたら、お前の箸も新しくしてやろう」


「いいんですか?」


「ああ。約束だ」


「ありがとうございます!」


 礼を言うのが早すぎだと思ったが、言うだけ野暮か。


「それじゃ。いってくるぜ」

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