異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第79節

 その日の夜。俺は宿に戻って直ぐさま部屋に鍵をかけ、アイリスに誰も部屋に招き入れないよう言い含めた。
 俺はまだ所帯を持つつもりもなければ、こちらに永住するつもりもない。


 翌朝、何事も無く目覚めた俺は朝飯を摂ること無くアイリスに出かけると言い、現代に戻った。
 今日の目的はロージーに筆記具を買い与えることとハリソンにワインを与えること。それと、少し遠くまで出かけることになるが、会員制の倉庫型量販店。コストパという店に行くことにした。今まで一人暮らしの俺には無縁だと思っていたが、今回を機に行くことにした。それに一度向かい、I.Gを使えば距離の概念は無視できる。どこか人の目につかないところにイラストを印刷した紙を一枚置いておくだけでいつでも出入りできるからだ。


 俺は実験のために色々と準備を始めた。まずは異世界の宿に通じるイラストをリュックの底に仕込む。こうすれば、買い物後にすぐに品物を転送できる。それと、もう一つは大きめのタッパーにハガキサイズのイラストを仕込む。こうすれば、どこかに埋めておき、必要な時にこのイラストを経由してもう一回り大きいイラストを出すことで体ごと移動できる。


 準備を終えた俺はすぐに駅に向かい、電車を乗り継いで目的の店にたどり着いた。
 店員の丁寧な接客の元、無事に会員証を発行してもらい、店内を物色する。家電から食品から、様々な商品が取り扱われており、普段は目にしないような商品もあった。
 そこで俺は馬鹿でかいカートにこれでもかというほど、多種多様な食品類を買い漁った。
 予算は三万。肉、野菜、魚、果物ととにかく選り好みせず買った。会計を済ませ、リュックの中に仕込んだイラストを経由して向こうの世界に物品を送る。今頃はアイリスが慌てて整頓しているところだろう。
 一通りの作業を終えた俺は人目がつかない近くの雑木林に移動した。そこで適当な場所にタッパーを浅く埋めておく。
 一応、念のために実験が成功するか確かめよう。


 また別のイラストをくぐり、宿に戻り、タッパーのイラストに手を突っ込む。アイリスがこちらを不安気に見ているが気にしない。片手を突っ込むだけでは、何故か開かず、妙な手応えを感じる。俺はもう片方の手を突っ込み、タッパーの内側であろう場所に指をかけて無理やり開く。するとなんとか開いた。そして、適当なイラストを向こう側に投げ入れ、対応するイラストを潜ってみる。そうするときちんと向こう側に移動できた。


「よし」


 人目がないため思わず声に出してガッツポーズを取る。これを応用すれば、どこにでもI.Gを仕掛けることができる確証が持てたからだ。
 

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コメント

  • れいしゅふぃあ

    わぁーコスト○だー今日行ったわwww

    0
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