異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第76節

「条件ですか?」


「ああ、まず一つ。俺の国の道具は全て一度はセシルに手渡す。それをセシルと交渉して買い取ってくれ」


 これはセシルと独占契約をしている手前、外せない条件だ。それに細かな交渉事は全部セシルに投げることができる。


「その条件ならば飲みましょう。セシル、あなたもいいわよね?」


「ええ。儲け話に食いつかない商人は三流以下ですよ」


 セシルが笑って答えた。


「それとこの国の国民権が欲しい。付け加えれば、家が欲しい」


「国民権と家ですか? 私の一存で今すぐには決められませんが、従軍さえすれば自然と国民権を得ることができますよ」


 そんな手もあるのか。てっきり、冒険者ギルドに加盟して魔人を倒さないと……いや、結局は所属が違うだけで結果的に魔人を倒す事になるのか。


「分かった。家の方はどうなる?」


「そうですね。確約はできませんが、それ相応の活躍をしていただければ報酬とは別に家と土地を用意いたしましょう」


「土地も貰えるのか?」


 この世界、もといこの国では土地は国に有り、その土地を借りることしかできないと思っていたけど。


「ええ。それは私が保証します」


「なら文句はない」


「他に条件はあるかしら?」


「俺の親衛隊に入隊した時、俺の立場はどういう扱いになる? 新米扱いなのか?」


「いえ、カンザキ様には私の直属の部下となって頂こうかと思っています」


「直属の?」


「はい。カンザキ様には今まで通りの生活をしていただく上で有事の際は私の命令で動いていただきたいのです」


 アバウト過ぎて分からないが、要約すると今までの生活を送り、討伐戦にだけ参加してくれってことでいいんだよな。


「分かった。その条件でいい」


「カズキ、私からも一つ条件をいいかしら?」


「ああ」


「私に尽くしてくれるメイド達を連れて行って欲しいの」


 メイド? 侍女とはまた違うのか。それとメイド達って複数人なのか?


「どんな奴らなんだ?」


「先程まで会食していた部屋で待たせてあるわ。付いてきてちょうだい」


 随分と準備がいいんだな。


「カズキ様」


 アイリスが俺に駆け寄り、俺の手に触れる。
 その瞬間、ズキリと痛みが走る。


「治療しますので、少し手を握っていてもらえますか?」


「それって回復魔術なのか?」


「はい。少しの時間だけですので」


「分かった」


 俺はアイリスと手をつないだままクリスの後に続く。

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