異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第75節

「カズキ様! おめでとうございます!」


 俺に駆け寄り、祝ってくれるアイリス。しかし、全然腑に落ちない。


「カズキ、あなたの実力、確かに見させてもらいました」


 クリスティーナは微笑みを絶やさない。
 俺はシャツとスーツに袖を通しながら、周囲を見渡す。
 あれだけ丁寧に手入れされた庭園が今では荒廃している。


「随分と荒らしてしまって申し訳ないです」


「いいのよ。気にしないで」


 クリスティーナはそう言ってくれるが、これを元に戻すのは大変なことだろう。


「カンザキ様の実力は確かに見させていただきました。これならば、確かに並の魔獣ならば相手にもならないでしょう」


 レオはそう言って俺の実力を評価してくれる。


「レオ、カズキを隊に入れることはできないかしら?」


「……私も同じことを考えていました」


 一体何の話をしてるんだ。


「待ってください。カズキさんを隊に入れるって親衛隊に入れるってことですか?」


 俺の疑問をセシルが代弁してくれる。


「セシル、あなたもレオと同様に私と昔からの付き合いなら、秘密は守ってくれるわよね?」


「秘密ですか?」


 というか、クリスティーナとセシルって仲が良さげに見えたが、昔馴染みだったのか。


「……分かりました」


 セシルは少しだけ考え、小さく頷いた。


「ありがとう。実は近々、魔族討伐の軍を編成する予定なの。今もお兄様達はその件で大忙し。それで私も親衛隊の皆と一緒に魔族討伐に向かうつもりなの。だけれど、私の親衛隊はお兄様達の親衛隊に比べればやっぱり、劣っているの。レオのように何人かは単独で魔人と渡り合える実力を持っているけれど、隊全体としてみれば少し心配なの」


「つまり、俺にクリスティーナ王女の親衛隊に入れと?」


 さっきまでの戦いで興奮が抜けきらないせいか、口調は普段のものだ。


「ええ。親衛隊の統率・編成の権は私にあるの。普通は親衛隊長に委任するものだけれどね」


「私としてもカンザキ様には是非、私達の隊へ来て頂きたい。魔宝石無しでその実力、重量武器を軽々と使うその力、そして私達の知らない知識を持ち、未知の道具を持っている。もしかすれば、あなたは魔族を討ち滅ぼす切っ掛けになるかもしれないと考えています」


 まるでどっかの駆逐漫画のようだ。


「最近では魔族の出没により、国民の生活が苦しくなっていると聞いています。そこに加えてお兄様達の軍拡。間違いなく税は上がるでしょう。民あっての国です。その手助けとしてあなたの力を借りられないでしょうか?」


 美少女にここまで言わせて、断るようじゃ男が廃るか。


「……分かった。俺の力、貸すことはいい。ただし、条件がある」


 なんとなく担がれてる気もするが、それはそれだ。

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