異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第50節 子供服

 宿の主に相談して追加で一部屋を借りる。ハリソンとロージーの分は二等室で十分だろう。
 少し休みたくなった俺はハリソンとロージーに部屋で待機するように伝え、俺はアイリスと部屋に戻った。


「アイリス。こっちにこい」


「なんでしょうか、カズキ様?」


 近寄るアイリスの体を俺は抱き寄せた。うーん、やっぱり細い。


「カズキ様!?」


「じっとしてろ」


「は、はい」


 しおらしくなるアイリス。肩の力は抜けてないが、騒ぐようなことはない。


「やっぱり、これじゃ分からんか」


 俺はアイリスを抱え上げ、ベッドに横たわらせ、アイリスの足元からゆっくりと子指と親指を上になぞらせる。


「カ、カズキ様」


 大体5回と少しってところか。俺の親指から子指までの距離が約21センチだから、アイリスの身長は約110センチぐらいか。


「カズキ様?」


「アイリス。今の服は温かいか? 寒いか?」


「あ、温かいです……けど」


「そうか。スカートとズボン、どっちが好きだ?」


「ズボンです、けど」


「分かった。少し出かけてくる。お前はこの部屋で待機だ。絶対に外に出るなよ」


「は、はい……」


 俺はアイリスを部屋に残して出ていき、直ぐさま現代へ移動する。






 っと。
 俺はいつもどおり自室に戻った。
 加重のベルトをつけていてもいつもと変わらないという事は、こっちの世界に魔力が無いから発動していないってことか。これなら安心だな。
 俺は異世界用の財布を置いて、現代用の財布をポケットに入れ、早速買い物に出かける。
 今回買うのはオルコット商会向けの商品ではなく、アイリス用の子供服だ。
 近場だと怪しまれるかなと変な警戒心を抱き、少し離れた場所まで子供服を買いに行った。
 白っぽい灰色のパーカーに黒いズボン。後は小さな女の子から大きな男の子にまで愛される何代目になるか分からない魔法少女がプリントされたシャツやパンツを数枚購入する。
 店員さんから不審な視線を向けられるが、言い訳がましい事は言わず、堂々と購入する。


 それらを持って異世界に渡り、部屋に戻る。


「おかえりなさいませ、カズキ様」


 俺はメイド喫茶にやってきたのか? と変な思考ノイズが走る。


「ああ、ただいま。アイリス、早速だがこれを着ろ。古い服は洗濯でもしておけ」


 俺はリュックから衣類を取り出して、アイリスに手渡す。


「あの、カズキ様。これは一体?」


「俺の国の子供服だ。お前に合うサイズを選んできたから着ろ」


「はい……」


 アイリスが着替えている間に、思考を巡らせる。


 現状、商品の輸送に関しては俺が手足を動かして何とかしているが、この作業を削減できないものかと考えている。今後は異世界に持ち込みさえすれば、ロージーを使って売ることはできる。
 後は現代で物資を調達し、現代に輸送する。この仕組みをどうにか簡単にできないのかという課題が残っている。昨日の胡椒や解熱剤、チョコレートの輸送で一日が潰れてしまった。もっと効率良くできないだろうか……。


「カズキ様、着替え終わりました」


「あ? ああ」


 随分と黙考していたらしい。アイリスは俺が持ってきた衣服を身にまとっており、見た目だけは現代風になっていた。惜しいことに靴を買い忘れていたとここで気が付いた。まぁいい。


「サイズはどうだ?」


「少し大きめですね」


「ああ、まぁゆったりしているぐらいがいいだろう。寒くはないか?」


「とても暖かいです。こんなに良い服を本当に私が着てもいいんですか?」


 アイリスは自分が着ている服を触ったり頬ずりしたりしている。


「まぁ安い買い物じゃなかったけどな。自分の道具を綺麗に手入れをするようなもんだ。気にするな」


「それでも、ありがとうございます」


 深々と頭を下げるアイリス。その勢いのまま、フードがアイリスの頭に被さる。


「服に頭巾がついてるなんて不思議ですね」


「俺はパーカー好きなんだけどな」

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く