異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第49節 部屋割り

 俺達は魔宝石屋をアメリア達に見送られながら出た。


「セシル、色々と付き合ってくれてありがとうな」


「いいんですよ。カズキさんのおかげで良い商売ができそうなんですから。お互い様です」


「また今度も商品を用意するから買い取ってくれ。できるだけ金貨で頼むよ」


「はい。私が貯めていた金貨は随分と減りましたが、それに見合うだけの商品が手に入りましたから、あれを元手にしっかり稼ぎますよ」


 あれだけの金貨の全てがセシル個人の財産の一部だったのか。こいつ、やっぱりかなりの金持ちだな。


「ああ、俺のためにも頑張ってくれよ。セシルの要望する商品もできるだけこっちで用意するから、教えてくれよ」


「はい。ありがとうございます。今後は私からカズキさんに連絡を取るときはどうすればいいでしょうか?」


「あー、しばらくは宿に泊まるつもり」


 俺は宿の場所を伝えるとセシルはすぐにその店がある場所を理解した。


「分かりました。今度からカズキさんに用事があるときはそちらに遣いを出しますね」


「ああ」


「では、私はこの辺で失礼しますね」


 そう言ってセシルは俺達の下を去った。


「さてと、お前達。これからバシバシと働いてもらうぞ」


「はい!」


 威勢がいいのはアイリスだけだ。ハリソンとロージーはこれから課せられるであろう重労働に不安を抱えているに違いない。そんな顔をしている。


「まず、アイリス。お前は俺の傍にいろ。その都度指示を出す」


「はい!カズキ様!」


「次にハリソン。お前が使える魔法をこの紙に書け。ペンはアイリスに貸したものを使え。後で確認する」


「……分かりました」


 ハリソンは不満げな様子だが、いちいち咎めるつもりはない。


「次にロージー、お前は俺が持ってきた商品を売ってもらう。それなりの重労働になるため、後々はハリソンにも手伝わせる。資金が貯まれば輸送用の馬車の購入も考えているから頑張れ。今すぐにできる仕事は無いから、仕事ができるまで好きに過ごせ」


「……ええ、分かりました」


 好きに過ごせと言われて肩透かしを食らったような顔をするロージー。
 とりあえず、奴隷達に仕事は与えた。次に寝床だが、人数分の部屋を借りるのは金が勿体無い。幸いにもこの国は借りた部屋の数で値段が決まり、一部屋に何人泊まろうが値段は変わらない。つまり、俺とアイリス、ハリソンとロージーという部屋割りになる。誰が何と言おうと変わらない。言わせない。


「さて、まずは宿に戻る。アイリスは俺と同室だ。ハリソンとロージーの二人には部屋を一つ用意してやるから感謝しろ」


「カズキ様、もしやアイリスを……」


 お、きちんと発音できてるなハリソン。


「もしや? もしやなんだ?」


 子供っぽい仕草のアイリスだが、年齢で言えば俺より年上だ。もし、何が起ころうとも何も問題はなかろう?


「……いえ」


 そもそも絶対服従の契りを交わしている以上、俺がアイリスに何をしようと咎める者はいない。その条件を提案してきたのは他ならぬアイリスであり、そのアイリスのおかげで家族が散り散りにならずに済んでいるという幸運をこの男は理解しているだろう。


「まぁ安心しろ。お前の考えているようなことにならん」


 俺は花を散らすより、花を愛でるたちだからな。

「異能力で異世界充実 ―非現実の扉―」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く