異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第48節 魔宝石のススメ

「カズキさん。本当に大丈夫なんですか?」


 とうとうセシルまで心配し始めた。そんなに俺の顔色が悪いのか? まぁ色白を通り越して、青白いと言われる程度には不健康な顔色だけどさ。


「ああ、平気平気。それより、もっと魔宝石が欲しい」


「欲張りね」


「欲がないならそいつは仏だよ」


 俺の言葉にアメリアがクスクスと笑った。


「あら、面白いことを言うわね。なら、これなんてどうかしら?」


 アメリアは俺が持っている目録の一行を指差す。しかし、俺には読めない。


「どんなに離れていてもお互いを引き寄せ合う一対の魔宝石、通称は引寄せ石。冒険者同士で使ったり、夫婦で使ったりする物だけど、中には奴隷に持たせる人もいるわ。一対で金貨一枚よ」


「じゃあ、それも」


「あら、即断即決なのね。いいわ。バーナード、準備してちょうだい」


「はい」


 バーナードは忙しなく動いている。口数は少ないが良く動く忠犬だな。まさしく。


「他には?」


「そうね。カズキは見たところ冒険者でも商人でもなさそうだけれど、魔法から身を守る術はあるかしら?」


「ない」


 あるわけがない。というか、やっぱり魔法から身を守るってことは魔法攻撃があるわけか。


「なら、これなんてどうかしら? 他者からの魔法による干渉を阻害する魔宝石、通称は抗魔石。魔力の消費量は多いけれど、有るのと無いのとでは大違いよ。魔石と組み合わせれば意識をしなくても自動で発動するわ。値段は金貨三枚。高いけれど、それだけ人気の魔法石よ。熟練の冒険者なら持っていない方が珍しいし、成功した商人でも持っているものよ」


 人気だから買いたくなる。これほど簡単な売り文句もないな。
 セシルの方に視線を向けると、頷き返してきた。本当のことらしい。


「じゃあそれも」


 俺は財布から金貨を取り出してみると、財布の中がすっかり少なっていることに気がついた。随分と金銭感覚がおかしくなっているようだ。少し、調子に乗りすぎたかもしれない。


「もういいのかしら?」


「ああ、とりあえず今日はこれぐらいにしとく。散々散財したからな」


 資金源こそ無尽のつもりだったが、用意できる現金は底が浅かった。
 バーナードから魔法石を受け取る。
 互いの居る方角が分かるという魔法石の片方はアイリスに持っているように指示し、俺は残る魔法石をすべてリュックにしまった。


「またお金が貯まったらいらっしゃい。最近は魔人の動きも活発になっているせいなのか、随分と在庫が溜まってるの。貴方のように即断即決で金回りの良いお客さんは大歓迎よ」


「ああ、また来るよ」

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