異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

第46節 馴れ初め

 そういえば、俺もロージーに関しては特に何も知らないな。


「ロージー、あなたはどうしてハリソンと一緒になったの?」


 すっと目が細くなるアメリア。


「セシル、異種族の結婚ってこっちでは普通じゃないんだよな?」


 俺は小声でセシルに尋ねる。


「こっちでは? カズキさんの国だと当たり前なんですか?」


「あ、いや。まぁ当たり前だね」


 つい口が滑っちまった。


「一般的には混血児が生まれる可能性があるため、善しとしない考えの人もいますね」


「混血児が生まれても良いって考える人もいるのか?」


「はい。魔人は子供を産みませんから、出産は魔人でない証ともなるのです」


「そうなのか?」


 ゲイリーに聞いた話と違うな。確か魔人は殺して魔石を落とすまで分からないって話だったはず。


「国民になる条件として、国内で出産し、魔人でないことが証明できることと明記されているほどです」


 アメリカみたいなもので、国内で出生すれば国籍が得られるみたいな仕組みなのか?
 にしても、出産が魔人の証明か。えらく長い確認方法だな。殺せばすぐ分かるのに。
 おっと、いつの間にか話を中断させてしまったようだ。


 気を取り直してロージーが口を開く。


「私は商家の生まれでした。私は度々、お父様と共に造船の資材を購入しに森の国へ訪れていました。その時、取引をしていたのがハリソンの御父様だったのです」


 お互いの父親同士に交流があったのか。


「私とハリソンはよく遊ぶことがありました。そんな時、私達はよくボードゲームで勝負をすることが多かったのです。いつも私はハリソンに勝っていました。弱いハリソンに負けるなんてありえないと思っていました。浮かれていた私はある時、賭けをしたんです。負けた方は勝った方の願いを一つ叶える」


「昔から遊ばれてるゲームの一つで、戦争時に争っている者同士が競い合い、無血の勝敗として勝者は敗者を捕虜にできるほどに格式のあるゲームでもあります」


 俺のピンと来ていない顔を見たセシルが注釈してくれる。


「あの時もいつもと変わらないハリソンでした。ゲーム中の指し方も普段と変わりませんでした。ただ、最終局面だけいつもと違い、私は負けました。その時に思ったんです。ハリソンはいつでも、私に勝てたんだと。そして、ハリソンから求婚され、私は喜んでその申し出を受けました。話は以上です」


 今のハリソンからは想像もできないが、そのエピソードが嘘か本当か俺には分からないが、ハリソンをちらりと見ると照れている。たぶん、本当なんだろう。


「面白い話をありがとう。あなたは今でもハリソンを愛してる?」


「愚問ね」


「家族っていいわね」


 俺を見て笑うな。

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