異能力で異世界充実 ―非現実の扉―

田所舎人

プロローグ

 ピンポーン。
 夏休みの最終日、何の前触れも無く訪問客が現れた。 


「神崎一樹さん。いらっしゃるんでしょう」


 コンコンと扉を叩く音と年季の入った男の声。
 俺はヘッドホンを外し、椅子から立ち上がった。


「ちょっと待ってくださいね」


 俺は扉の覗き窓から訪問客を伺った。
 ワイシャツを着た壮年の男性と若い男性の二人組みだ。
 見覚えのない男達に警戒心を覚えながら扉を開いた。


「神崎さん、お忙しい中すみません。ワシらはこういうものなんですが、ちょっとお時間よろしいですか?」


 壮年の男がそう言って俺に見せてきたのは警察手帳。そこには壮年の男性の証明写真が貼られている。どうやらこの二人は本物の警察らしい。


「パトカーを待たせてあるんで、ちょっと署まで同行してくれませんかね?」


 若い刑事は尋ねる口調にもかかわらず俺の腕を掴み、ほぼ強制するように俺を部屋から連れ出してパトカーに乗せた。
 二人の刑事は俺を挟むように両サイドに座る。まるで絶対に逃がさないと威圧するかのように。
 そして、パトカーは発進する。
 俺はどうしてこなったんだと署に到着するまでの間、この夏の出来事を振り返ることになった。

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