惑星最後の日

こむぎ子

『エリミー』

世界終わるなんてニュース聞いて、最初に言った言葉は、「ありがとう」だった。

エリミーという女の子がいた。
内気で控えめで、それでも優しく健気な女の子。
あの子は死んだ。数ヶ月前に。
家庭内暴力で母親は捕まった。
私はあいつを殺せなかった。
包丁を握り締めながらも、出せず終いで警察に連れていかれた。
エリミー、あなたはどう思ってる?
あなたは優しいから、私を恨んだりしていないんでしょうけれど、でもね、私は一生許さないわ。あいつのことを。
関係ないって思うけれど、私はあなたが大好きだったから。
こんな時でもあなたと話していたかった。
それに、酷い。あなたは私に何も言ってくれなかった。だから、あっちで散々に文句を言ってやろう。
そんなことを、空を見ながら考えていた。
そしてふと思った。私はあの女とは心中するなんて嫌だ、と。
エリミー、私も自殺したら、一緒になれるかな。
アメリカ映画では、自殺は、自分の生の確認だなんて聞いたことあるの。
本当だったら、私、今とても、生きてる。

行き場のなかった包丁を首に当てて笑った。
「ざまぁみろ。」

そして少女は惑星に溶けていった。

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