運命には抗えない
ep.if 17話 堕ちた天使
「クク、一度負けた奴が何を言う。本気だと?仮にそれが本当だとしても無駄な足掻きよ。この天使の力を持ってすればどんな相手であっても負けはしないのだ!」
言い終えたあと海賊は神速の一撃を見舞った。ヴァルキリーはスミスが殺られると思い目を閉じた。
しかし、次に聞こえた音は肉を断ち切る耳障りな音ではなかった。
ーーガアァァン!!
固い物にぶつかるような音が辺りに響いた。何が起こったのか確認しようと目を開けた彼女は思いがけぬ光景を目にするのだった。
海賊の必殺の速度で放たれたサーベルを難なく大剣受け止めるスミスの姿だ。だが、この事態を一番驚いているのは海賊だった。
彼はありえないと思いながらも追撃はせず一旦距離をとった。
(まぐれだ。この速さについてこれる訳がない。現にさっきの2匹だって余裕だったんだからな)
「一度止めたくらいでいい気になるなよ」
「御託はいい。さっさと来い」
見え見えの挑発に彼は乗った。その理由はやはり相手が自分より格下だと侮っていたからだろう。
「さあ味わえ、全身全霊の神速剣技を!」
その考えが仇となった。
幾重にも重なる剣戟がスミスを襲い、彼の体の至る所から出血した。無惨なその姿を見て満足したのか勝ち誇ったように喋った。
「ハハハハ!思い知ったか。これが天使の本気だ。貴様程度の本気なんてたかだかしれてるんだよォ!」
「その言葉、そっくりそのまま返してやろう」
ーーゴトッ、、、
「ア?」
彼は自身の近くから発せられた音の正体が分からなかった。だが、彼は直ぐに見つけた。
いや見つけてしまった。地面に転がる自身の右腕を。
故に彼はその境地に至った。人が元来持つ原初の感情である恐怖を。
「アアァァァア!!」
彼の機械の体に痛みを感じる機能はない。だが彼は叫ぶことを選んだ。既に感じることの無くなった痛覚を取り戻すように。
「そろそろご退場願おう。もうお前がここにいる意味はない」
「や、やめてくれぇ!」
情けなく悪魔に助けを懇願する天使。傍から見れば天使を助けに入りたくなるような情景だ。
最もこれまでの天使の行いを知らなければの話ではある。
「そこまでですよ」
全てを悪魔が支配するその場において、そんな声が響いた。
その声を聞いて助かったと思った天使が居た。
声の主の目的を知らずに、、、。
言い終えたあと海賊は神速の一撃を見舞った。ヴァルキリーはスミスが殺られると思い目を閉じた。
しかし、次に聞こえた音は肉を断ち切る耳障りな音ではなかった。
ーーガアァァン!!
固い物にぶつかるような音が辺りに響いた。何が起こったのか確認しようと目を開けた彼女は思いがけぬ光景を目にするのだった。
海賊の必殺の速度で放たれたサーベルを難なく大剣受け止めるスミスの姿だ。だが、この事態を一番驚いているのは海賊だった。
彼はありえないと思いながらも追撃はせず一旦距離をとった。
(まぐれだ。この速さについてこれる訳がない。現にさっきの2匹だって余裕だったんだからな)
「一度止めたくらいでいい気になるなよ」
「御託はいい。さっさと来い」
見え見えの挑発に彼は乗った。その理由はやはり相手が自分より格下だと侮っていたからだろう。
「さあ味わえ、全身全霊の神速剣技を!」
その考えが仇となった。
幾重にも重なる剣戟がスミスを襲い、彼の体の至る所から出血した。無惨なその姿を見て満足したのか勝ち誇ったように喋った。
「ハハハハ!思い知ったか。これが天使の本気だ。貴様程度の本気なんてたかだかしれてるんだよォ!」
「その言葉、そっくりそのまま返してやろう」
ーーゴトッ、、、
「ア?」
彼は自身の近くから発せられた音の正体が分からなかった。だが、彼は直ぐに見つけた。
いや見つけてしまった。地面に転がる自身の右腕を。
故に彼はその境地に至った。人が元来持つ原初の感情である恐怖を。
「アアァァァア!!」
彼の機械の体に痛みを感じる機能はない。だが彼は叫ぶことを選んだ。既に感じることの無くなった痛覚を取り戻すように。
「そろそろご退場願おう。もうお前がここにいる意味はない」
「や、やめてくれぇ!」
情けなく悪魔に助けを懇願する天使。傍から見れば天使を助けに入りたくなるような情景だ。
最もこれまでの天使の行いを知らなければの話ではある。
「そこまでですよ」
全てを悪魔が支配するその場において、そんな声が響いた。
その声を聞いて助かったと思った天使が居た。
声の主の目的を知らずに、、、。
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