運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.if 12話 反逆する意志

 爆発音が響いてから数分が経った。五感か戻ってくる感覚を頼りに抗命は辺りの状況を把握し始めた。

(兄さんは、、、もう居ないか。仲間に助けられたのか。それからこの部屋にはどうやら、僕一人しか居ないようだ。でもこちらに近づいてくる足音が聞こえるな。、、、この気配からして安心できそうだ)

 考えた彼はその場に座り込んだ。安心出来ると判断した理由は知り合い独特の気配を感じとったからだ。

「っ!大丈夫?」

 部屋の中で座り込む彼を見つけた途端駆け出したのはミィナだった。彼女の声が聞こえたことに安堵したのか僅かながら笑みを零す抗命。

「問題ない、少し目と耳をやられただけだ。時間が経てば時期に完治する。それより状況は?」

「それについては我から説明した方が良いじゃろう」

 彼の前に姿を現したのはアベルだ。

「既にこの船に居る探索隊の連中の身柄は拘束済み。そしてウィード星人達の無事が確認されておる。さらに驚きなのはこれだけの戦闘が起きながら死者がほとんどいないということじゃ」

 それは抗命達が率いる組織、レジスタンスが本作戦において最も望んだ結果だった。だが、抗命は素直に喜ぶ気にはなれなかった。

「すみません。兄さん、いや墜落星をとり逃がしました。あと多分他に一人います」

 その言葉に驚く者は居なかった。その事に不思議な違和感を感じた彼は首を傾げた。

「ああ、言い忘れておった。既に事の顛末はこの者らに伝えておる。あとはお主の決断次第じゃ」

「決断、、、?」

 更に首を傾げた彼にアベルは告げた。彼女の唯一の願いを。

「ここに神に抗う者たちを集めた。音無おとなしれい立花たちばな優希ゆうき呪歌じゅか玲音れいん、ミィナ・リル。ここに我とお主を加え、更に数名加わった者達による神への反逆。今まで虐げられてきたであろう。それは一重に神の戯れによるものじゃ。そう、人間ははるか昔から神に弄ばれてきたのじゃ。それを今回で終わらせるのじゃ。あとお主が協力してくれるだけなのじゃ。どうか力を貸してはくれぬだろうか」

 その問いに抗命は逡巡した。果たしてこれはどういう意味なのだろうと。

 既に目標は果たした。探索隊を解体させるには十分すぎる戦果だろうと。

 しかし、彼の内には引っ掛かりがあった。それはやはり兄、落星のことだろう。

「抗命、、、」

 心配する顔を見せるミィナを一瞬だけ見た。その顔を見て決断を下したのだろうか

「、、、やりましょう。その話が本当であるならば」

「心配せんでも真の事じゃ。では行こうかの。心の準備は良いか?」

「「「はい(おう)!!」」」

 彼らの返事を聞いた後アベルは指を鳴らした。眩い光が辺りを包んだ後、その場には誰もいなかった。








 前半戦終了です!

 次回からはep.2主線のお話となります。

 あと今後の投稿に関してお知らせです。

 恐らく作者である私は来年から大きく生活習慣が変わることが予想されます。

 それ故、来年から投稿する日を土曜日から日曜日に変更したいと思います。

 ですので、次回の投稿は1月3日日曜日となります。

 投稿時期は変わりますが、今後ともよろしくお願い致します!

追記:一部表現の訂正(2021/1/18)

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