運命には抗えない

あぶそーぶ

外伝 不完全な女神

 ー???sideー

 その昔、原初の存在としてカインとアベルなる男女がいた。

 彼らはただ永劫の時間を平穏に暮らしていた。

 作物を育て、羊を飼い、裕福でないながらも幸福に生きていた。

 そんなある日突然神と呼ばれる存在が天罰を下した。

 理由は分からない。

 それは気まぐれかもしれなければ、勘違いかもしれない。

 またはもっと明確な意図が存在していたのかもしれない。

 ともかく彼らはこの世界から消滅した。

 いや、この世界というのも正しい表現では無いのだろう。

 彼らのいた世界はこの世界が上書きされた瞬間に滅したのだから。

 さて、何故こんな話をしているのか不思議に思っておるじゃろう。

 我の名はアベル。

 先の話に出てきたアベルとはまた別の存在じゃ。

 この話はとても悲しい。

 故に我に似ておると思ったのじゃ。

 最も、我には悠久の時を共に過ごした男など居ないのじゃがな。

 じゃが、短い間であれば一人だけおったな。

 名を与えられておらぬようじゃったから、我が勝手にカインと名付けたが。

 、、、思えばこの時から運命さだめは決まっておったのじゃろうな。

 すまぬ、本題に入ろうか。

 では、我が神となった辺りから話そうかの。








 ーアベルsideー

「こ、、、こは?」

 真っ白な空間、その真ん中で私は倒れていた。

「確かカインと遊んでいて、それで、、、うっ」

 その先を思い出そうとすると酷い頭痛が走った。

「ようこそ、僕の部屋へ」

 そう言って現れたのはまだ年端もいかない少年だった。身長は幼年体型の私よりも低いかもしれない。

「ここは何処?それになんでこんな所に?」

「君には僕の手駒になってもらうよ」

 笑顔でそう言う少年には私の声など聞こえていないようだった。でも、質問をすることくらいしか出来ない。

「あなたは誰?」

「早速だけど君の母体を用意した」

「元の場所に返して」

「主語だとか、語尾、性格なんかが変わっちゃうけど問題ないよね?」

「早くここから出して!」

「うん分かった、了承も得られたことですぐに始めるよ」

「やめて、来ないで!」

 全く話の聞かない男の子。それが私であった頃の我が下した最後の思考。

 同時にこの世から消し去りたいとそうも決断した。

 だから我は、最後の私の判断を尊重し、その為にだけ生きてきた。

 我の全てはの為にあり、全てはに帰結する。

 アベル。彼女の生を奪った我は目標の全てを達したあと何をすれば良いのか。

 その答えは既に決まっている。








 ここからのあとがきは本編とは関係ないので読まなくて大丈夫です。

 本作のような多くのストーリーに分岐するものあるじゃないですか。

 あれって読み進める場合は全く問題ないのですよね。

 設定なんかも絶対に矛盾が生まれないようにしていますし、当然ではあるのですけれども。

 でもこういった作品のほとんどが読み直した時の違和感が半端じゃないんですよね。

 当作品ならば、Episode2の最終話と26.5話なんかがいい例です。

 かなり話が噛み合っていませんよね。

 言っていませんでしたが、〇.5話はそもそも外伝に近い部分がありますので、時々そのルート限定の設定を付けている場合もあります。

 なぜこんな分かりにくいことをしているのかと言うと考察して欲しいからなんて言う理由があります。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品