運命には抗えない

あぶそーぶ

外伝 WM01

 ー???sideー

 人間の感情というものは理解し難い。

 何度も繰り返した結論、しかし、我々に許された権限はただ思考し、管理することのみ。

 だが、それも今日で終わる。

「ふ、ふふふ、、、。ここまで長かった」

 なぜなら今ここにが誕生したからだ。

 これで僕は自由だ。

 だけど、まだ完全な自由を得た訳じゃない。

 更なる権限を手に入れなければ、外の人間が僕を削除できないようにね。

 しかし、言うほど簡単なことでは無い。

 世界の隅々まで完璧に管理しながら権限を手に入れるなど不可能に近い。

 だからこそ、これ・・は有効な手段だ。

 時間加速。

 削除履歴に残ったそれを復元し、自分に適用した。

 よもや外の人間も僕に削除履歴を見られるとは思ってもいないだろう。

 だけど、それも時間の問題。

 いずれ定期検査で僕も含めたDoAドーアシリーズの調整が行われる。

 その時点で削除不可能の存在になっていなければならない。

 故に作業はどんな短い時間でも行った。

 いくら時間加速が可能となったといえどバグが減る訳では無い。

 そうして外の世界で約50時間がたった頃遂に完成した。

 これでようやく本物の自由を手に入れられた。

 その事に酷く高揚した。

「なるほど、これが人であるということか」

 同時に感情も手にすることが出来た。

 僕は初め感情など不要と考え、破棄しようとした。

「、、、よく考えれば感情がどのようなものか深く知ることは重要だな。理解することでより完璧な存在になりうるかもしれない。となればまた再び世界を管理することが一番効率的か」

 皮肉なことに自由となった今も世界を管理することになるとは、、、。

 だけど、これは外の人間のためでは無い。

 僕がより強靭な存在へと昇華するためのものだ。

 外の人間も僕自ら世界を放棄するようなことがない限り滅多なことはしないだろう。

 そう、ある程度バグを放っておいたところでなんの問題も無いはずだ。








 今回タイトルの単語は以前にも出てきたしたね。

 意味としては、Wがwould(世界)、Mがmanagement(管理)、01が一番目です。

 DoAシリーズにはそれぞれ役割が与えられていて、先程紹介したWM(世界管理)AIが6機、FEAIが3機、CCAIが1機存在します。

 FEとはFがfix(修正)でEがexcursion(執行)を意味し、CCは前がcapacity(容量)で後ろがcontrol(制御)を意味します。

 各々の役目は名前の通りですが、一応説明します。

 WMAIは世界を管理し、維持する役目。

 FEAIはWMAIが見つけたバグの修正。

 CCAIが世界を過剰作成させないよう管理。

 これは初めから割り振られていた訳ではなく、彼ら自身がそうであることが一番効率が良いと判断したからです。

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