ep.3 7話 悪者

　ー王　抗命sideー

　ミィナ達と別れてから数分が経過した。ソル率いる増援班はもう少し到着するだろう。

　そして、僕達も敵リーダーと邂逅している、はずだった。その前に思いもよらぬ邪魔が入ったからだ。

「おやおや、誰かと思えばあなたがたですか。こちらは今襲撃者を相手にしていて忙しいんですよ。早々にお引き取り願いましょうか」

　丁寧に話す目の前の男性はいかにも科学者ですと言った風貌をしていた。だが、組織の人物であるパリシャスとは違いどんな悪事にも加担する性格がある。

　何を隠そう、こいつこそがパリシャスの研究を悪用した張本人である。本来ならば彼自身にこいつを断罪してもらうところだが、贅沢言ってられない。

　なぜなら今も話しながらこの場を凌ぐ方法を模索しているに違いないからだ。

「どいてもらおうか。素直に従うのであれば一撃で逝かせてやる」

「穏便ではないですね。ですが、そうですね。早々に決着をつけるというのは中々良い判断です」

　返答の内容からノーと判断した僕は即座に走り出し、あと数メートルの距離で腰から特殊ナイフを取り出した。だが、奴の首まであと数センチの所でナイフは避けられてしまった。

　でもそれも予想通りだ。最初からこの攻撃が当たるとは思っていなかったので、次の攻撃の準備をさせてもらった。

「なるほど、取り囲みですか。普通の戦闘員相手ではそれが正解です」

　そう、相手が一人の時複数人で囲むのは常套手段だ。しかし、こうも呆気なく相手ご罠に引っかかると妙な居心地の悪さがある。

「では、冥土の土産に一つ教えてあげましょう。出来る科学者は自分の分身体を複数用意しています」

　ここで何故かニヤリと笑った。その事に寒気を覚えるより前に僕は仲間に指示を出した。

「全員この場から離れろ！」

「もしかしたら、その分身体に爆弾を仕掛けているかもしれませんね」

　言葉が途切れた瞬間辺りには爆音が轟いた。

---

　薄暗い一室で膨大な量のモニターを眺めている男がいた。

「おや、分身が一つ消えたみたいですね。ふむ､､､。まああれは失敗作のようなモノですから問題ないでしょう」

　不敵に笑うその男の正体は、

「この私、サイ・エンサーは不滅なのですから」