運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.3 3話 救出

 ー王 抗命sideー

 一巡り回想を終えた僕は現実に戻った。時間を確認するとちょうど次のステップへと進んでいる頃だった。

 同時に他のメンバーも僕らのところに集まってきた。人数を数え、全員がいることを確認してから指示を出した。

「もうすぐエンジンが破壊される頃だ。先の爆発に加えれば、奴らの指揮系統は完全に乱れるだろう。その隙に僕らは捕虜の回収を絶対に成功させるんだ!」

 言い終わったあとに直ぐに行動を開始した。事前に船の構造は把握済みだから、最短距離での作戦遂行が可能だ。

 そして、ほとんどの捕虜を解放し、担当区分の最後の捕虜の回収を行っているのだが、ここで問題が生じた。

「¥@$%#!!」

 問題とは何も僕に言葉が通じないことではない。僕が欠陥品・・・であるからであって、欠陥品・・・ではない僕以外にはきちんとした言語となって聞こえているからだ。

 では、何が問題なのかと言うと、目の前の捕虜の女性、いや、正しくは少女がこちらの案内を断っていて、更にはついてくるとまで言っているらしい。

 らしいと言うのも僕が直接聞いている訳ではなく、隣にいるミィナから通訳されているからだ。

「ねぇ、どうする?」

 と、僕の脳内で話題になっていることなどまるで知らないミィナが問いかけてきた。

 ここで捕虜に対して行う行動は大きくわけて二つだ。

 一つは殺害。なぜなら、捕虜には人権がないので、どのような扱いをしても良いと考えられているからだ。

 だけど、今のような場面でとる手段ではない。

 もう一つは気絶させて強制連行。これは至極一般的なやり方でここにいる捕虜達もこの方法で送り込まれたのだと思う。

 だからこのやり方も却下だ。もし、僕らが奴らと同じようなことをすれば仲間だと思われかねないし、連行中に奴らに見つかった時も逃げることしか出来ない。

 故に仕方なく連れていくことにした。

「今いる捕虜をまとめあげられたら連れて行ってもいい、、、と伝えてくれ」

「りょーかい!」

 善は急げとか昔の日本人は言ってたらしいが、まさにその言葉を目の前で見た気がした。なぜなら、先程まで不安の残るような顔だった捕虜達の顔が期待の一色になったからだ。

「約束してしまったものは仕方ない、連れていくぞ。ただし、一度安全な場所まで捕虜を連れていくぞ」

 そうして僕らはひとまず仮拠点まで引き返すことにした。

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