運命には抗えない
ep.2 20.5話 被害
   ースミスsideー
「うわあああ!助けてくれぇ!」
   この世界は平等ではない。そのことに気づいたのは遥か昔。
「頼みます!この子は、この子だけは!」
   今泣き叫んでいるものたちも心の内で「何故こんな目に遭わねばならぬのか」と思っているだろう。
「お母さん、どこにいるの?お母さああん!」
   だが、これは報いだ。本来ならばあの人間たちが受けるべきだったものだ。
「きゃああ!や、やめて、殺さないで!」
   完全に八つ当たりだ。しかし、こうすることでしか己が内に秘めた憎悪を消すことは出来ない。
「お、終わりだ。この世の終わりなんだ!アハハハハ!」
   こうしてみていても人間は本当に愚かだ。無策に逃げ回り、挙句の果てに大声をあげる始末。
   自らの行いが鬼を引き寄せていると何故わからないのか、というのは少し意地悪か。何せ奴らは普段から自分の身の安全を外部に依存しているからな。
   こういった場合の対処など知らなくて当然であろう。そこで隣にグロスの気配を感じた。
「4大都市全ての殲滅が確認した」
   どうやら、物思いにふけっている間に作戦の第一段階は難なく終わったらしい。目の前のピアラシーク城の方を見ても悲鳴ひとつ聞こえてこないあたり本当なのだろう。
「そうか、それで鬼の被害は」
「それが、、、」
   ここでオレは初めてグロスが困惑しているのを見た。だが、そんな迷いはすぐに消え去った。
「鬼の被害は、、、0です」
「なんだと」
   なるほど、グロスが言い淀んでいた理由はそこか。しかし今はそんなことはどうでもいい。
   何故被害がなかったかについての方が重要だ。如何に弱いとは言え城には鬼専門の殺し屋であるスレイヤーが常駐しているはずだ。
   掃討は出来なくとも半分程は殺られると思っていたのだが、、、。
   まあ、上手くいったと片付ければ良い話か。多少の計画のズレはあるもの、一々気にしていてはいけないからな。
「どうする、王よ」
   どうやら、応えないオレに痺れを切らしたらしい。いつもならこの程度の時間でとやかくいう奴ではないが、恐らく復讐を前にして心が昂っているのだろう。
「いや、計画は続行だ。鬼滅団の動きはどうなっている」
「それは、、、。こちらに向かっている。どうやら奴らは全勢力を差し向けてきた訳では無いらしい。第1師団を除いた奇数番の師団を率いているようだ」
「ふむ、予想通りだな。では全ての鬼を王都へ向かわせろ。我々は交戦開始後に背後から奴らを叩く」
「仰せのままに」
   スレイヤーがいないことは気になるが、ここまで来て止まるわけにはいかない。
「うわあああ!助けてくれぇ!」
   この世界は平等ではない。そのことに気づいたのは遥か昔。
「頼みます!この子は、この子だけは!」
   今泣き叫んでいるものたちも心の内で「何故こんな目に遭わねばならぬのか」と思っているだろう。
「お母さん、どこにいるの?お母さああん!」
   だが、これは報いだ。本来ならばあの人間たちが受けるべきだったものだ。
「きゃああ!や、やめて、殺さないで!」
   完全に八つ当たりだ。しかし、こうすることでしか己が内に秘めた憎悪を消すことは出来ない。
「お、終わりだ。この世の終わりなんだ!アハハハハ!」
   こうしてみていても人間は本当に愚かだ。無策に逃げ回り、挙句の果てに大声をあげる始末。
   自らの行いが鬼を引き寄せていると何故わからないのか、というのは少し意地悪か。何せ奴らは普段から自分の身の安全を外部に依存しているからな。
   こういった場合の対処など知らなくて当然であろう。そこで隣にグロスの気配を感じた。
「4大都市全ての殲滅が確認した」
   どうやら、物思いにふけっている間に作戦の第一段階は難なく終わったらしい。目の前のピアラシーク城の方を見ても悲鳴ひとつ聞こえてこないあたり本当なのだろう。
「そうか、それで鬼の被害は」
「それが、、、」
   ここでオレは初めてグロスが困惑しているのを見た。だが、そんな迷いはすぐに消え去った。
「鬼の被害は、、、0です」
「なんだと」
   なるほど、グロスが言い淀んでいた理由はそこか。しかし今はそんなことはどうでもいい。
   何故被害がなかったかについての方が重要だ。如何に弱いとは言え城には鬼専門の殺し屋であるスレイヤーが常駐しているはずだ。
   掃討は出来なくとも半分程は殺られると思っていたのだが、、、。
   まあ、上手くいったと片付ければ良い話か。多少の計画のズレはあるもの、一々気にしていてはいけないからな。
「どうする、王よ」
   どうやら、応えないオレに痺れを切らしたらしい。いつもならこの程度の時間でとやかくいう奴ではないが、恐らく復讐を前にして心が昂っているのだろう。
「いや、計画は続行だ。鬼滅団の動きはどうなっている」
「それは、、、。こちらに向かっている。どうやら奴らは全勢力を差し向けてきた訳では無いらしい。第1師団を除いた奇数番の師団を率いているようだ」
「ふむ、予想通りだな。では全ての鬼を王都へ向かわせろ。我々は交戦開始後に背後から奴らを叩く」
「仰せのままに」
   スレイヤーがいないことは気になるが、ここまで来て止まるわけにはいかない。
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