運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.2 26話 大将見参

「あぁー、もう時間じゃん、、、」

   そう呟くのは少女、皐月杏だった。

「なんの事だ?」

   それに対するは、大剣を携えるスミスであった。

「わたしの目的はテキトーに暴れ回って、混戦になった所である場所に向かうこと。だから出来ればそこを通してもらえると助かるなー」

「そんな要求、飲む訳がないだろう?第一さっきまでの変な口調が取れてるぞ。余裕が無くなってきたのか?」

   スミスの言う通り、杏のサイコパスな口調がなくなり、普通の人のものとなっていた。

「ヤダなぁ。普段からあんな口調なことないから。アレは仕事の顔なんだからさ」

   普通に話しているように見える彼らだが、その裏では幾重にも重なる斬撃の攻防が繰り広げられていた。

「じゃあ、仕方ないね」

   杏はそう言うと隠し持っていた針をスミスに投げつけた。もちろんそれはただの針ではなく毒を盛ったものである。

   本能的にそれを察したスミスは慢心せずそれをかわし追撃をかけようとしたが、既にそこに彼女の姿は無く、変わりに十数人の雑兵が迫ってきていた。

   その光景を落ち着いて見極め、大剣を構えた。そして一瞬それが煌めいた後そこには既に誰もいなかった。

悪魔回帰デビルモード、刹那」

   悪魔回帰刹那とは刹那の間のみ悪魔の力を発揮するものである。その力は人の間では禁忌とされ、忌み嫌われている。

「さて、次は」

「おうおう、野郎どもが世話になった見てぇだなあ」

   杏を追いかけようとしたスミスだが、そこへ現れたのはこの星に攻めてきた宇宙賊の大将だった。

「どうやら、貴様が異人共の長のようだな」

「おうともよ。俺がこの宇宙賊の頭、宇宙海賊かいぞくかいぞくだ。よく覚えときなあ」

   そう言いながら腰に吊るした二丁のサーベルを引き抜いた。

「そうか、、、。つまり貴様を殺れば他の奴らを一々相手にしなくても良くなるってことか」

   海賊の行動に呼応するように彼もまた大剣、ファントムカイザーを構えた。

「はっ!残念だったなぁ。ここにきた野郎どもはどいつもこいつもその程度じゃ止まらねぇよ!」

   その言葉でまたここでも戦いが始まった。既にこの海岸ではそんなことが起こり続けていた。

   この泥沼化した戦いを終わらせるにはどちらかが果てるまで続くだろう、、、。








「これは、、、っ!!、、、やりす、、、いや、まだ様子見だ。あまり手を加えるべきじゃない。ぼくは出来るだけありのままの世界を見たいんだ」


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