運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.2 16話 分岐点

 今回で50話到達しました!だからと言って何かをする訳ではありませんが、、、。

 引き続き「運命には抗えない」をよろしくお願いします!








 これは、トラデリー城に鬼が攻めてくる前まで時を遡る。

 その時スミスはゴーレムをけしかけた時の考察に浸っていた。

「ふむ、、、。あんなにも弱い者が団長をしているのか。ということは、鬼滅団の人員が不足しているということか?いや、攻略をしているのならば人員は充分以上のはずだ」

 彼は鍛冶師であるが、頭が良い。本来鍛冶師は鍛冶の技術を頭に取り込むためにそれ以外の知識は殆ど知らない。

 だが、彼は異例で鍛冶以外に1級品の戦闘知識を持つ。それこそ、神が与えたと思わせる程のものを。

「やはり、足でまといか、、、。だが、貴重な神器持ちだ。埃をかぶせるには勿体ない人材、、、。どうにか」

 そこまで呟いた所でスミスは近づいてくる気配に気づいた。それに驚くことなく、むしろ遅いと言わんばかりのため息をつきながらそちらを向いた。

「、、、」

「そうか。なら、オレは行く。後は任せた」

「、、、」

 その気配は2言言葉を発した後気配を消した。その事を確認したスミスは、王都へ向かうのだった。

 それからしばらくしてスミスは王都に着いた。

「、、、この空気は好きになれないな。空気がまずい」

 スミスがそう思うのもそのはず。なぜなら、彼はここしばらく人のほとんどいない山奥で暮らしていたのだから。

「用を済ませたら、さっさと帰るか、、、」

 ちなみにこの王都の外壁や城門には所謂門番というものが居ない。変わりにあるのがスレイヤーやトレーダー達の詰所だ。基本的に王都に入れないのは鬼だけで、その他は大罪人くらいだ。

「そもそもこのご時世に法を守らないやつなんてごく1部だ。まあオレには法があるだけ良いと思うんだが、、、」

 そんな無意味なことを呟きながら、スミスは会議室に着いた。そして、時を見計らって堂々と扉を開け放ち、叫んだ。

「またせたな」

 その言葉に会議室にいた誰もが驚いた。そして、間髪入れずこう紡いだ。

「戦力が足りないと聞いた。もし、オレの要求に応えてくれるなら、その侵略者とやらの戦力3万と同等の力を持った奴らを貸してやろう。条件付きでな」

 皆が展開についていけない中、1人声を出す者がいた。

「あ、貴方は!」

「ヴァルキリー、知ってるのか?」

 遅れてグランブレイバーが問いただした。それに頷いた後、

「彼は我々大10師団を助けてくれたお方です。攻略後の謎の泥人形三体を難なく屠るだけの力を持っています」

 既にゴーレムの話は全師団長には伝えられていたので、その言葉を聞いた直後からスミスへの視線が変わった。

 覇気や力量その他色々な値踏みを一瞬で行った彼らのうち1人、グリムが話しかけた。

「お前、中々強ーじゃねぇか。いいぜ、その話乗ってやるよ」

「話が早くて助かる。まず、戦力の話だが、幹部レベル以外はこちらが担当し、また完全に指揮系統の指名はオレが担当する」

「良いだろう。その方がそちらとしても好都合そうだし、こちらとしても嬉しい限りだしね。それで?要求とは?」

 グランブレイバーのその発言にスミスはこう応えた。

「オレをこの作戦中のみ鬼滅団に入れて欲しい。もちろん出来る限り武器は作る。だから、敵の幹部若しくは頭首の相手をさせて欲しい」

「待ってくれ。如何に貴方が強いとしてもそのような事を受ける訳には、、、」

「良し、それで話は了承した。一時的に鬼滅団に入団させることと、侵略者の大部分の戦力を担当して貰うこと。これで契約は成立だ。異論はないな?」

 ヴァルキリーの静止を聞かずグランブレイバーはスミスに尋ねた。答えは聞かなくとも分かっている通り、

「ああ、それでいい」

「よし、ここに契約は交わされた。スリーパー、全部記憶したかな?」

「ふわぁ、もちろんだよ、、、」

 彼女は第5師団団長、スリーパー。任務中以外はほとんど眠っている変人だ。しかし、眠っている間でも周りの声はよく聞こえていて、さらに記憶力はかなりいい。

「では、準備があるから失礼させて貰う。、、、ああそうだ。武器は彼女に順次渡していく。オレに用がある時は彼女に言ってくれ」

 そう言ってスミスは会議室を後にした。ちなみに彼女と指定されたのはヴァルキリーだった。







追記:一部不要な記号の削除(2020/3/20)

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