運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.2 プロローグ

 その日、ウィード星の希望が打ち砕かれた日より、数年前の時、遥か遠方で争いが起きていた。

 人と鬼の争い。それはいつの時代から始まったかはもはや定かではない。彼らは常に己が身体を鍛え上げてきた。

 そして、鬼はその強靭な肉体は遺伝子構造をも変えた。それは、親の強さの1部をを子に託すことが出来るようになった事だ。

 劣勢に立たされた人類は、辛うじて鍛治技術の向上によって生き長らえていた。

 そこに現れたのが神器じんきと呼ばれる武器達だった。それらは人の作った物よりも遥かに超越した性能を持っていた。

 これに歓喜した人々はみな手に神器を持ち鬼に挑もうとした。だが、それは叶わなかった。

 なぜなら、神器には唯一無二の適応者・・・にしか扱うことが出来なかったのである。

 研究は進み、神器の使用者にはある一定の法則がある事が分かった。

 それは、強い感情。

 神器を手に取るその瞬間、感情を昂らせる症状が確認されたという。

 そして、この少女もその1人。

 貧しいが、平和に暮らしていた少女とその両親。村は辺境に位置していたが、別段不便に感じることも無く、人々は生活していた。

 そんなある日、鬼が攻め込んできた。その数は約十体。町ならばこの程度造作もなく蹴散らすことが出来ただろう。

 しかし、ここは村。警備などに削げる人なんていなかった。故に鬼達は次々と村人を殺して行った。

 手で、脚で、爪で、牙で、、、。少女の家族もそれは例外では無かった。

 逃げるため生き残った村人達は近くの森林まで行った。だが、戦い慣れてる鬼と違い、昨日まで農業しかしていなかった村人達が逃げ切れる道理など無く、次々と捕まっては殺されて行った。

 突然、その少女の背中は押された。バランスを上手く取れず、そのまま転んでしまった。

 逃げなくちゃいけない。

 その少女はそう思っていた。しかし、その時見えてしまった。

 さっきまで一緒に逃げてきた両親の骸を。

 ただそれは首から先が潰れていて、両親・・と正しく判断できる顔は存在していなかった。

 だが、少女は悟ってしまった。それが両親だった物だと。

 両親がいなくなってしまった哀しみ、両親を殺した鬼への怒り、怒りから湧き上がるドス黒い復讐心。それだけがまだ幾らも年を重ねていない少女の心を満たして行った。

 その時、少女の右手の辺りから眩い閃光が溢れ出した。その場にいた少女、鬼は我慢できず目を塞いだ。

 目を開けた時にそこにあったのは白銀に輝いた1つの剣だった。それを見た鬼は焦ったかのように少女に攻撃を仕掛けた。

 少女は反射的に剣を取り、構えた。この時少女には世界が止まったかのように感じられた。それでも、自分だけが普通に動くことが出来た。

 そして、初めから剣の扱い方を知っていたかのように剣を振りかざし、鬼の首を切り落とした。切り口からは血が噴水のように吹き出て、その辺りを赤く染め上げた。

 普通の子供なら、これだけで気絶してしまうことは想像に難くないが、その少女は全く動じることなく、ほかの鬼達も殲滅していった。

 それから、少女は鬼を滅ぼすことを胸に誓った。故に王都と呼ばれる場所の鬼殲滅を目的とする部隊に入隊するのだった。



 Episode 力こそ






 今日2本目ですね。ep.2とはEpisode 力こその略です。

 これは書く予定が無かったのですが、一応物語に入り込みやすいよう、制作しました。

 背景はウィード星とはまた違う惑星での出来事です。

追記:一部表記の削除(2020/5/8)

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