運命には抗えない
24話 パーティーへの招待
ー音無 零sideー
やがて、1つの扉の前に辿り着いた。ここに来るまで誰1人として、会うことは無く、また当然の如く罠にも引っ掛からなかった。
また目の前にある扉も今まで通り過ぎていたものとは違っていて、高級感の溢れるものだった。
ここで立ち止まっていてもしょうがないので、勢い良く扉を開け放った。
「ほう、中々にお早いご到着じゃないですか。それと人の部屋に入る時はノックと入室の許可を取ると小さい頃に教わらなかっのかね?」
その声は扉の反対側、つまり、部屋の最奥から聞こえた。そこには全身をパワードスーツのようなもので覆った人がいた。
なんとなくさっき話した少女と同じことを言ってたな。わざわざ敵地で礼儀を守る奴がどこにいるんだ。
「ああ、そうだ。自己紹介をしなくてはいけませんね。私は墜落星。地球では、宇宙特別探索部隊の総隊長を務めさせてもらってるよ。、、、む、私が総隊長と言っても驚かないみたいだね。まるで最初からそう知っていたかのように」
知っているも何も当然だ。こっちは謎の少女から教えて貰ったのだから。まあ、それ自体が嘘だった可能性も考えていたが、どうやら墜落星が総隊長なのは本当のことだったようだ。
しかし、そんなこと教える義理はないのでそれを無視して、こっちから質問した。
「十日前にここでさらった女の子は何処だ」
「随分と喧嘩腰じゃないか。そもそも私が君たちに何をしたと言うのかね?流石の私もその態度に、、、」
「御託は結構!本題を話せ」
関係の無いことを話し始めたので、修正した。
「ふぅ、全く。何故そんなに話を効かないのか」
と言いながら、そいつは立ち上がった。
「それじゃあ、こちらも話すつもりは無い。と言いたいところだが、そういえば君は彼女の恋人だったね。なら、1つ教えておかねばならないかな?きっと今はみんなの玩具になってるよ?早く助けに行かなくていいのかな?」
「玩具」、その言葉に激吊しそうになるが、ここは冷静になる。一体誰のなんの玩具なのか考えたくなるが、ここで我を忘れてしまっては助けられるものも助けられなくなる。
「ん?随分と落ち着いてるんだね。そうか、君にとって彼女はそんな程度の存在なんだね。それを知ったら彼女はどう感じるのか気になるねぇ。そうだ、教えてあげよう。音無零は立花優希に対して全く恋心を持っていないと。それを伝えた時に彼女はどういう表情をするのかな?悲しむのかな?怒るのかな?それとも、、、」
「やめろ!」
その言葉の羅列に耐えられなかった。だから、大声を出して辞めさせた。でも、相手にとっては逆効果だったのかもしれない。
なぜなら、拒否するという事は、それは自分の弱点を露見させるという事にほかならないのだから。
だから、これ以上話すことは無用と感じた。だから、もう殺すことにした。
「、、、光線」
光線は古代魔術の1つ。古代魔術には読み方が難解なものが多く、単純に読んでも魔法が発動しないなんてものはざらである。
この魔法もその例に漏れず、意味のわからない読み方をしている。これは、辺りの熱を集め、熱線として放出する魔法だ。
普通、魔法とは何かしらの媒体を必要とするものだが、これはそういったものがなく、故に防御不可能の魔法となる。
奇襲としてはこれ以上のものはない為これで終わってくれればと思ったが、相手は危なげなくかわした。
「おっ、と。危ないねぇ。急に攻撃するなんて関心しないな。でもま、話題も無くなってきたし、ここら辺でお喋りはおしまいだね」
そう言ってそいつは腰から剣を取り出した。いや、それは剣と呼ぶには些か刀身が沿っているのが目立ち、更に刃が片方にしかなく取り回しが難しそうな代物だった。
「おや?君は刀という物を知らないのかね?それじゃあ、特別に教えてあげよう。こいつの銘は妖刀村雨。正しくはそのレプリカだけどね?それで刀というのは、」
そこでそいつは言葉を切った。そして、足を踏み込み、こちらに跳躍しながら、言った。
「人を効率よく惨殺するために開発された過去の産物だよ」
そう言いながら袈裟斬りをしてきた。それに対し、俺は左腰に吊るしていた神剣クラウソラスを引き抜き、そのまま斬りかかった。
その後、唾競り合いになるかと思われたが、1度刀と剣がぶつかりあった音が響いたかと思うと次の瞬間には相手は飛び退いていた。こちらが疑問に思っていると、
「刀は折れやすいからね。特に剣相手だとこちらは分が悪い。だから、早々に決めさせてもらうよ?」
そう言ってまた刀を取り出した。
「こっちは妖刀村正。レプリカなのは変わらないがね。でもこれでこちらは二刀流。君の勝算は格段に減ったという事だ」
そう言ってまたこちらに跳躍してきた。先ほどと同じように右手に持った村雨で袈裟斬りをしてきたので、同じように対処した。
次にさっきとは違う事。つまり、左手に持った村正でがら空きの右の横腹を狙ってきた。
これで勝ったと確信したのか相手の意識はほとんど左手に集中されていた。故に回避不可能。しかし、その分防御は疎かになっていた。だから、その隙に魔法を使った。
「、、、風翔」
これは本来空を飛んで移動する魔法なのだが、それを利用して、魔法剣士は突進する時に使う。こうした唾競り合いで少しの力の差がバランスを崩す要因となる場面でとても有効となる。
「うおっ!」
案の定そいつは壁まで勢い良く吹き飛ばされた。しかし、そこまでダメージを受けてはいないようで、
「今のは驚いたな。このパワードスーツがなかったら即死だったよ」
と言いながら普通に立ち上がった。そのことに内心舌打ちしていた。
「はあ、そろそろ飽きてきたからパーティーをしようじゃないか」
急にそんなことを言い、指を鳴らした。瞬間そいつの後ろの壁がせりあがって行った。その空いた空間には人1人歩けるくらいの通路があった。
奥からコツンコツンと誰かが歩いてくる音が聞こえた。そして聞く度に何故かここから逃げ出したいという衝動が沸き起こった。
「ああ、そうだ。パーティーは大勢で行うものだからね。ついでにこいつらにも登場してもらおうかな」
そうしてまた指を鳴らした後天井のあちこちに穴が開き、人型のロボットが沢山降ってきた。その数約20。俺1人に対して明らかな過剰戦力だ。
そうしている間に通路を歩いてきていたのか、そこにまた1人人が増えていた。
「お待たせしました、総隊長様」
その声を聞いて、やはりと思った。さっき逃げ出したいという思いは間違いじゃなかったと。
「ああ、来たかね。随分と遅かったじゃないか。何か問題が発生したのか?」
見た目も何もかも完璧で、全く疑う要素なんてない。
「いえ、全くありませんでした。全ては私の責任」
世界がこんなにも残酷だなんて知りたくなかった。知りたくもなかった。
「私、ゆうきの1個人の責任ですので」
追記:一部表記の修正(2020/8/21)
やがて、1つの扉の前に辿り着いた。ここに来るまで誰1人として、会うことは無く、また当然の如く罠にも引っ掛からなかった。
また目の前にある扉も今まで通り過ぎていたものとは違っていて、高級感の溢れるものだった。
ここで立ち止まっていてもしょうがないので、勢い良く扉を開け放った。
「ほう、中々にお早いご到着じゃないですか。それと人の部屋に入る時はノックと入室の許可を取ると小さい頃に教わらなかっのかね?」
その声は扉の反対側、つまり、部屋の最奥から聞こえた。そこには全身をパワードスーツのようなもので覆った人がいた。
なんとなくさっき話した少女と同じことを言ってたな。わざわざ敵地で礼儀を守る奴がどこにいるんだ。
「ああ、そうだ。自己紹介をしなくてはいけませんね。私は墜落星。地球では、宇宙特別探索部隊の総隊長を務めさせてもらってるよ。、、、む、私が総隊長と言っても驚かないみたいだね。まるで最初からそう知っていたかのように」
知っているも何も当然だ。こっちは謎の少女から教えて貰ったのだから。まあ、それ自体が嘘だった可能性も考えていたが、どうやら墜落星が総隊長なのは本当のことだったようだ。
しかし、そんなこと教える義理はないのでそれを無視して、こっちから質問した。
「十日前にここでさらった女の子は何処だ」
「随分と喧嘩腰じゃないか。そもそも私が君たちに何をしたと言うのかね?流石の私もその態度に、、、」
「御託は結構!本題を話せ」
関係の無いことを話し始めたので、修正した。
「ふぅ、全く。何故そんなに話を効かないのか」
と言いながら、そいつは立ち上がった。
「それじゃあ、こちらも話すつもりは無い。と言いたいところだが、そういえば君は彼女の恋人だったね。なら、1つ教えておかねばならないかな?きっと今はみんなの玩具になってるよ?早く助けに行かなくていいのかな?」
「玩具」、その言葉に激吊しそうになるが、ここは冷静になる。一体誰のなんの玩具なのか考えたくなるが、ここで我を忘れてしまっては助けられるものも助けられなくなる。
「ん?随分と落ち着いてるんだね。そうか、君にとって彼女はそんな程度の存在なんだね。それを知ったら彼女はどう感じるのか気になるねぇ。そうだ、教えてあげよう。音無零は立花優希に対して全く恋心を持っていないと。それを伝えた時に彼女はどういう表情をするのかな?悲しむのかな?怒るのかな?それとも、、、」
「やめろ!」
その言葉の羅列に耐えられなかった。だから、大声を出して辞めさせた。でも、相手にとっては逆効果だったのかもしれない。
なぜなら、拒否するという事は、それは自分の弱点を露見させるという事にほかならないのだから。
だから、これ以上話すことは無用と感じた。だから、もう殺すことにした。
「、、、光線」
光線は古代魔術の1つ。古代魔術には読み方が難解なものが多く、単純に読んでも魔法が発動しないなんてものはざらである。
この魔法もその例に漏れず、意味のわからない読み方をしている。これは、辺りの熱を集め、熱線として放出する魔法だ。
普通、魔法とは何かしらの媒体を必要とするものだが、これはそういったものがなく、故に防御不可能の魔法となる。
奇襲としてはこれ以上のものはない為これで終わってくれればと思ったが、相手は危なげなくかわした。
「おっ、と。危ないねぇ。急に攻撃するなんて関心しないな。でもま、話題も無くなってきたし、ここら辺でお喋りはおしまいだね」
そう言ってそいつは腰から剣を取り出した。いや、それは剣と呼ぶには些か刀身が沿っているのが目立ち、更に刃が片方にしかなく取り回しが難しそうな代物だった。
「おや?君は刀という物を知らないのかね?それじゃあ、特別に教えてあげよう。こいつの銘は妖刀村雨。正しくはそのレプリカだけどね?それで刀というのは、」
そこでそいつは言葉を切った。そして、足を踏み込み、こちらに跳躍しながら、言った。
「人を効率よく惨殺するために開発された過去の産物だよ」
そう言いながら袈裟斬りをしてきた。それに対し、俺は左腰に吊るしていた神剣クラウソラスを引き抜き、そのまま斬りかかった。
その後、唾競り合いになるかと思われたが、1度刀と剣がぶつかりあった音が響いたかと思うと次の瞬間には相手は飛び退いていた。こちらが疑問に思っていると、
「刀は折れやすいからね。特に剣相手だとこちらは分が悪い。だから、早々に決めさせてもらうよ?」
そう言ってまた刀を取り出した。
「こっちは妖刀村正。レプリカなのは変わらないがね。でもこれでこちらは二刀流。君の勝算は格段に減ったという事だ」
そう言ってまたこちらに跳躍してきた。先ほどと同じように右手に持った村雨で袈裟斬りをしてきたので、同じように対処した。
次にさっきとは違う事。つまり、左手に持った村正でがら空きの右の横腹を狙ってきた。
これで勝ったと確信したのか相手の意識はほとんど左手に集中されていた。故に回避不可能。しかし、その分防御は疎かになっていた。だから、その隙に魔法を使った。
「、、、風翔」
これは本来空を飛んで移動する魔法なのだが、それを利用して、魔法剣士は突進する時に使う。こうした唾競り合いで少しの力の差がバランスを崩す要因となる場面でとても有効となる。
「うおっ!」
案の定そいつは壁まで勢い良く吹き飛ばされた。しかし、そこまでダメージを受けてはいないようで、
「今のは驚いたな。このパワードスーツがなかったら即死だったよ」
と言いながら普通に立ち上がった。そのことに内心舌打ちしていた。
「はあ、そろそろ飽きてきたからパーティーをしようじゃないか」
急にそんなことを言い、指を鳴らした。瞬間そいつの後ろの壁がせりあがって行った。その空いた空間には人1人歩けるくらいの通路があった。
奥からコツンコツンと誰かが歩いてくる音が聞こえた。そして聞く度に何故かここから逃げ出したいという衝動が沸き起こった。
「ああ、そうだ。パーティーは大勢で行うものだからね。ついでにこいつらにも登場してもらおうかな」
そうしてまた指を鳴らした後天井のあちこちに穴が開き、人型のロボットが沢山降ってきた。その数約20。俺1人に対して明らかな過剰戦力だ。
そうしている間に通路を歩いてきていたのか、そこにまた1人人が増えていた。
「お待たせしました、総隊長様」
その声を聞いて、やはりと思った。さっき逃げ出したいという思いは間違いじゃなかったと。
「ああ、来たかね。随分と遅かったじゃないか。何か問題が発生したのか?」
見た目も何もかも完璧で、全く疑う要素なんてない。
「いえ、全くありませんでした。全ては私の責任」
世界がこんなにも残酷だなんて知りたくなかった。知りたくもなかった。
「私、ゆうきの1個人の責任ですので」
追記:一部表記の修正(2020/8/21)
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