五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

決着 VS魔王 1











































「本当に申し訳ない!!」
「ごめんなさいっ!」
「こらこらカライド、魔王様も目覚めた瞬間大きい声を出さないで下さい」
結局救急車で運び込まれた病院で2人の意識が戻るまで正座待機からの土下座
目覚めた瞬間自分達の側で頭を下げる魔人2人に驚き鈍く響いてくる鈍痛に頭を抑えつつ状況を少しずつ理解していった
「って言うのが今の状況、お分かりか?」
「大体分かったわ。つまり私らは負けたってことね」
「うん、そうだよザコ共。修行が足りてなかったいてぇ!」
美空が横たわっていたベッドの端に腰掛けながら説明をしていた亮太の横腹に布団の中から突き刺すように蹴る
「本当にごめんなさい!まさか2人があんなに弱いとは思わなくて…!」
「えっと魔王様、謝ってます?馬鹿にしてます?」
「バカデュラン!たとえ事実でももう少し言い方考えろ!」
「うぎゅう…また殴った。でもでも本当にごめんなさい!」
カライドにパチンと頭を叩かれもう一度深く頭を下げる魔王
威厳は欠片も見られずそこにいるのは歳の近い1人の女の子
気高く思えた深い赤色の髪はシュンと少しボリュームダウンしたような気がする
「でも魔王様の言う事も分かるんです。まだまだ私達弱いんで…」
「まぁ弱いのはお前だけで魔術師としては片瀬ちゃんの方が何枚も上手だけどなっハン!」
2度目のキックは先程よりも鋭さが増していた
自身の近くで横たわりお腹を抑えて悶える師匠を見つめるその目は人を見るのではなく、ゴミを見る目そのもの
「師匠の教え方が悪いんじゃないの?」
「お、同じように教えてんじゃん…お前だけ2年でどっかおかしくなってるぞ……片瀬ちゃんは比較的真っ直ぐに伸びてんのに、多少仕事もこなしてたとは聞いてるけど実戦で変な癖がつきすぎてる」
「無茶苦茶やってたからね」
「それに関しては後々師匠としてお説教してやるからな。覚悟しとけ」
「ふんっ」




「ま、まぁでも一瞬とは言え魔王様をその気にさせたのは上出来だと思うよ片瀬さん」
「ありがとうございます関根くん。でも」
「でもも何も無いよ!俺1人なら足下にも及ばない方なんだから」
「関根くんがそこまで言うなんて、魔王様一体どれぐらい強いんですか?」
「強いと言っても大した事は無いよ?手合わせでカー君にも亮太にも負けてるし」
『え!?』
亮太、カライド、魔王以外の声が被る
「やっぱり魔界勇者様は格が違うぜ」
「辞めてくれ亮太、今はただ武器売ってるだけだ」
「そう言えばシストが良く遊びに来てると言うか下手したら私より長く魔王城にいるけどお店、大丈夫?」
「えっ!?」
「優秀な妹を持つと大変だな勇者様」
「…1回戻ろうかな」
「それがいいと思うよカー君。そろそろ婿に来て欲しいし」
「丁度夏休みも始まるし、良いんじゃねぇの?」
「ちょっと行ってくるわ…デュランは黙ってろ」
頭を抑えながらブツブツとお店の再建へと思考を巡らせるカライドは一回り小さく見える


「ちょちょちょ!それより魔王様、今かなり重要な事言わなかった!?」
「そうです!川元くんが勝ったってどういう事ですか!有り得るんですか!?」
「ひでぇ!?オレもそこそこやれる男だっての」
「うーん、まぁ事実だし?後数年前急に現れた人間にも負けたよ。レータって名乗る馴れ馴れしい人」
「人間が魔界に?」
関根が反応すると魔王はコクコクと頷く
「レータと名乗る背の高い綺麗な女の人だったよ。丁度亮太と良樹を足して割った様な」
「ん?」
「いや、どことなーくやっぱり亮太に似てる気がするよ。ねぇカー君」
「うーん短剣量産して叩き売りでもして…」
「そいつはもう駄目だ魔王。何か手掛かりになるようなものは無いか?」
「あ、メモを預かってるからこれ良樹にでも渡しといて欲しいかな」
と言ってドロドロの影の中から鎧と同じように小さな紙を取り出して亮太に手渡す
B5サイズの紙は折りたたまれており、一見は普通のメモ用紙にしか見えない
ガサガサと亮太がそれを開けると一瞬目が見開き次にへへっと小さく笑う



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