五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

魔人の憂鬱 11

「人間界とは良い所じゃ。何でもあるのう」
「それだけは同意するぜ」
午前11時
信秀の要望が面白すぎて出発が遅れたが予定通り近くのモールまで2人で来てみた
さすがに魔王の服装が目立つので背格好が似ていたリムに服を着させてもらい二輪車で訪れた
バイクと言う奴は本当に便利だ
アクセルを回しクラッチを繋げば歩くよりよっぽど早く楽に移動が出来る
おかげで短縮出来た時間はこの偉そうな喋り方の迷子を探すのに全て使い果たした




「次元の扉を開いた方が早く移動出来ると思うぞ?」
「魔界じゃねぇんだから今のお前には無理だ。大人しく連れられてろそして二度とはぐれるな」
「何じゃ偉そうに」
「ここじゃお前より偉いんだよ」
「嘘じゃ。我より偉い者など存在せん」
「人間界舐めんな。偉い奴はいくらでもいる」
「ぶぅ」
「むくれたって可愛くねぇぞ」
「鎧、纏ってやろうか?」
「今のお前が1番綺麗だ」
「よろしい。靴を舐めろ」
「靴舐めるぐらいなら土舐めるわ」
「ならば舐めてみせよ」
「すまんかった。だが靴は舐めないぞ」
「カー君のくせに生意気じゃ」


建物内をうろうろと散歩
魔王はキョロキョロとせわしなく見回してはあれは何だ、これは何だと質問攻め
本当にただ遊びに来ただけなのか?
魔界の長自ら動く必要のある重大な問題が発生したのかと思ったんだが
「カー君、腹が減った」
「あぁはいはい。何か食うか?」
「カツ丼と言う物が食べてみたいのじゃが」
「どこで覚えたそんなもん……ん?」


どうでもいい会話の最中、ふと肩を叩かれた
多少気は抜いていたがそれでも俺に気付かれずに触れてきたという事はそれなりの実力の持ち主………
「ようカライド?」
「山口ッ……」
面倒な奴に会ってしまった
精一杯の笑顔を浮かべているがその手は肩を握り潰さんばかりの威力で乗せられている
心なしか唇も噛んでいるようで血が滲んでいる
「お前はもう…海行かなくてイイなぁ…?」
「何言ってんだよ。行こうぜ海」
「ならその彼女は誰だ!!俺らの友情は!?」
「山口、落ち着け」
「リア充か!?隠れリア充かお前!?さっさと彼女作って夏の思い出準備万端ってか!?」
「彼女などではない」
あまりの握力に驚いて動けない俺に魔王が助け舟を出してくれた
ありがてぇ。伊達に魔王なんて座についてねぇな
「そう…我はカー君の彼女ではない。妃だ」
「デューちゃん!?冗談はやめて!!」
「屋上へ行こうぜ…久々にキレちまったよ」
「いだだだだだだ!!」
肩が握りつぶされる
これは危険だ!
「山口、ステイだ」
「ギャン!?」
「アビッ!!」
バチバチと電流が走り肩の手は緩んだ。が、鳥谷の突然の攻撃に身体がピンと伸び倒れ込んでしまう
「ごめんよカライド。君を見た途端こいつ見た事ないスピードで走って行ったから追いつくのに時間がかかった」
「ロスタイムはほぼ無かったぜ鳥谷…ただ電流は辞めてくれ」
「何じゃ情けないのう」
「うっせ」

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