五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

魔人の憂鬱 7



珍しく関根の帰りが遅い
昼寝を通り越して熟睡する岩村と一緒にいるのは良くあるがそれにしても遅い
もう11時を回ってる
携帯に連絡しても返事は無い
「ユミ、何か聞いてるか?」
「いえ、私は何も聞いてません。連絡もありませんでしたし…」
場所は関根の部屋
契約主である関根と一緒に暮らしながら、時々ユミが遊びに来る。と言うのがいつものリズムなのだが
「別に大事件に巻き込まれてる訳では無いし心配する程でも無いと思うが」
「私は遅いと心配ですよ」
「俺が人間界に留まれてるって事は少なくとも死んでないって事だ。大丈夫だよ」
関根のピンチ
それこそ死んでしまえば魔力の供給が止まって俺も一緒に死ぬからな
とだけ言い捨てて携帯ゲーム機に向き直る
関根の安否も気になる。がそれよりも亮太が貸してくれた『信秀の要望』とか言うゲームが中々面白くてどうでも良くなってきた
ユミはと言うと甲斐甲斐しく関根の部屋の掃除をしている
下の階が亮太とミリアの部屋なので深夜でも大暴れして大丈夫なので堂々と掃除機をかけている
「さっさと告っちまえばいいものを…」
「何か言いましたか?」
「何も言ってねぇよ。気にしないでくれ」






「ただいま〜」
「お、ようやく家主様が帰ってきた」
「おかえりなさい関根くん!」
パタパタと自分専用のスリッパを鳴らしながら玄関へユミが走っていく
嫁だなぁ


「カライド」
「おぅ、おかえり」
「夏休みまであと何回学校に行くか分かるか?」
「ん?今日が金曜で土日月…テスト返却と終業式で2日だな」
「そう、正解だ。頑張れ」
「おぅ?おうよ」
何かあるのか?関根がすごく裏がありそうな顔をしている
こいつはすぐ顔に出るから簡単に見破れる
「強く、強く生きろ」
「普通で良いだろうがよ」
「そうだな…」
「関根くん、テストはどうでしたか?」
「片瀬さんのおかげで何とかなりそうだよ。ありがとう」
関根が優しげに微笑むとユミは満足と言わんばかりの満面の笑みを浮かべている
「俺もユミに習いたかったなぁ」
「ハハッ、岩村は鬼みたいだったろ?」
「修羅だよ修羅。亮太なんかアリスに滅茶苦茶殴られてたぜ」
「簡単に状況が想像出来ますね」
「自分はテスト受けないからってただ遊びに来てるだけだったのによ!」
「あれ、まだ聞いてない?小学校の勉強してるよあの子」
「マジかよ…」
「かけ算は出来るようになったってさ」
「アリスちゃんは賢い子ですから〜」




子供に、子供には負けたくない!
ならもっとしっかり勉強しろよ。就職できないぞ?
俺はもう自分の店持ってるよ!!
ならサボってんじゃねぇよ店長
うるせぇ!
……!
………!

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