五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

魔人の憂鬱 4

「どうだカライド!」
驚いた
本当に鼻からメンマ出しやがった
明らかに鼻の穴よりデカいメンマを、鼻から出しやがった
「山口、お前本当に人間か?魔界にもそんな事するヤツいなかったぞ」
ずるんズルンとメンマを吸い込んだかと思うと今度はボリボリと咀嚼し始めやがった。
汚ぇ
「そもそも魔界ってラーメンあるの?」
「ない。調理は焼くぐらいしかしない」
「そりゃ見かけないだろうね」
鳥谷の言うことも最もだ
今でこそ人間界の食事には慣れたがこっちに来た頃は毎日が驚きだった
まず味があり、調理というものが存在する
食に対する魔界の認識は生命維持のために何かを口にいれるだけ
「食べ物のためだけにここにいるってのも悪くないなぁ」
「カライドは夏休み帰ったりするの?」
「悩んでる所。店と妹が気になるけど別に良いかなとも思ってんだ」
「店?」
「あぁ、俺武器屋やってんだ。一応店主」
『武器屋の店主⁉︎』
2人が声を揃えて驚く。あれ?
「え、何かマズい?」
「いや、何も悪くは無いけど…」
「カライドってすげーんだなー。ビックリして鼻からメンマ出ちまったぜ。食べる?」
「それはおかしい、食べる?じゃねぇよ聞いてくんな」
自慢したいのかこいつは
「何だっていいけどさ。どうすんの?」
「海行こうぜ海!」
「すぐそこにあるじゃねぇか」
「馬鹿だなぁカライド。ホントに馬鹿だなぁ」
鼻からメンマ出す変態に馬鹿と呼ばれる。ちょっと腹立つ
「海水浴場って場所があるんだよ。海で泳ぐための砂浜があって色んな人が訪れる」
「水着の姉ちゃん見るだけならタダ!しかもナンパに成功すりゃ大人の階段エスカレーターになっちまうってなもんだ!」
「へぇ、楽しそうじゃん。気を付けてな」
「お前も来るんだよ」
「んなとこ行ってもなぁ…」
行けばきっと楽しいとは思うがナンパ目的で行くとなるとちょっと
「ま、バレなきゃいいか」
「んじゃカライドも参加、と」
「誰かバレるとまずい相手でもいるのか?」
「ん?あー…亮太にな。あいつ多分補習だから」
「やたらと皆が気にかけてるロン毛の1年か。あいつ面白いよな!馬鹿な感じが!」
「うん、お前によく似てるよ山口」
「お?へへっ」
照れてんじゃねぇよ山口。馬鹿にされてるぞ
「じゃあまた携帯に連絡いれるよ。他にも来る奴いるし」
「頼むわ鳥谷」



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