五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

魔術師舐めんな 6

「そりゃどうも…」
おかしい
高い天井を見上げながらうまく働いていない頭で思考を巡らせる
自分の予想ではこう、地味だけど最初の1人みたいに一撃で悶絶させるつもりだったのにいつの間にかボコボコにされていた
「まぁ、別に大したダメージじゃないんだけどもさ」
「なっ!?」
余裕ぶって亮太を見下していた高井は一瞬驚いた表情を見せるが悟られないようにすぐ引き締める
「なぁなぁ根っち!」
「なんだ?」
「これ何でもありなん?武器使っていいん?」
「一応喧嘩なんだからバーリトゥード(何でもあり)だろうよ。ただ常識の範囲内でな」
「ほほー。じゃあこれ預けとくね」
と言いながらおもむろに制服のズボンを脱ぎ捨てるとパンツの中に手を突っ込むと何かを掴んでそれを関根の足下へ滑らせる
「おい、まさかお前」
「これがオレのマグナムってな!」
うまい事言ったぜ的なドヤ顔でズボンを履いてない下半身のまま腰に手を当てている
亮太の突飛な行動に歓声にも似た悲鳴があがる
『ウォオオオオオオ……』
「おいおい騒がないでくれよ、照れちゃうじやねぇか」
上は着たままパンツだけのアンバランスな姿に女子生徒は一心不乱に携帯のカメラのシャッターを切り、一部男子生徒も同様にカメラを向けている
その瞬間関根は亮太が寄越してきた物をサッとポケットにしまい込んでいる
「いやー困っちゃうね!たっはー」
「たっはーじゃねぇぞチビ」
「何だとこの不良もどき!」
もどき呼ばわりされた高井は再び突進を開始し、顔を狙って拳を放っていくが、その場にしゃがみ込んだ亮太にはかわされ、置き石のように丸まった亮太に引っかかり足を取られ転倒させられてしまう
「ズボンぐらい履かせろやー」
「チッ!避けてんじゃねぇ!」
「避けなきゃ痛いじゃんかよー。あと写真撮りすぎ!ギャラ発生すんぞおい!」
いそいそとズボンを履き直しシャッター音が収まったところで観客席に向けて指をさしながらギャーギャーと叫んでいると高井は5メートル程の距離から炎の球を亮太に向け野球のサイドスローの様に投げつける
「おらよ!」
「髪は漢女オトメの命!」
叫びながらすんでの所で回避し、後ろに逸れた球は観客席に座っていた一般生徒めがけて飛んでいく
しかしその球を容易く弾いた男子生徒は
「ようやくらしくなってきたじゃねぇか。もっとやれ1年生!」
と更なるヒートアップを望んでいるらしい
それに併せ周りの生徒達も更に騒がしくなっていく




「面白くなってきたな!」
「ロン毛の方に1000円だ!」
「俺はヤンキーに1500円!」
「俺もヤンキーにだ!1800円!」
「オレはオレに2000円!!」
「はいはいベットするならこの箱に入れてけー」
岩村とアリスが持った箱の中にそれぞれ生徒達は財布から叫んだ金額を投げ入れていく
「何やってんだチビ!」
「うるせぇ!何かと金がかかるんだよオレは!!」

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品