五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

魔術師舐めんな 2













どこだここは
促されるまま付いて行くと辿り着いたのは授業で使ったホールよりも大きなドーム
ちょうどコロシアムと言った感じで中央に行くにつれて位置が下がっている
何かのショーでもやるような空間にいるのはオレを含め6人だけ


「ここで公開処刑って感じか」
ポケットに手を入れて少しだけ警戒心を強める
手元に護身用の武器はいくつかある
けどこいつら何がしたい?
いじめるだけならどっか人目のつかない所でやれば良いのに
「この学校はな、学年で1番強い奴が1番偉い」
オレを囲むように歩いていた生徒の1人が急に話し始めた
「目立つ奴は片っ端から倒していって、今1番強いのが俺だ」
先頭を歩いていた生徒がドームの中央で足を止めて振り向く
と同時に思いっきり殴りかかってきた
大振りのテレフォンパンチもいい所だ
避けられないけど
「ぶぇ」
威力を後ろに逃がすため大げさに吹っ飛ぶ
地面を転がり立ち上がると途中でオレが逃げないように見張っていた後ろの生徒に捕まえられ、地面に組み伏せられた
頭を強く叩きつけ、右手を掴んで後ろ手に関節をキメられる
「強いヤツなら不意打ちしないんじゃないか?」
「勝つ事に手段は選ばない!」
「仲間使って大人数で襲いかかってる癖に?お前らはそれでいいのか?1番偉いやつに媚びへつらってその腰巾着で満足か?」
「そいつらは俺に負けてるんだよ。賢い奴らだ」
コイツ入学して1週間ぐらいで既に喧嘩しまくってんのか?勉強しろよ
「んで?お前らはオレにどうしろと?」
「詫び入れるなら半殺しで今日から俺の下に入れてやる。明日からは2年も締めるから俺の言う通りに動け」
あんま調子乗んなよ1年!
今すぐやってもいいんだぞコラァ!?
「ん?」
誰もいなかったはずの空間にいつの間にかちらほらと生徒が集まっている
ふと耳を済ませると
今年も始まったな
とか
何人挑んでくるのやら
など
「え?もしかしてこの学校そんな荒んでんの?まだ出来て間も無いんじゃなかったの?」
「勉強よりも身体鍛えてる方が教師は喜ぶぞー」
「あ?」
1番近い位置の席に見知った顔が現れる
銀色に染まった髪は地毛
ひどい猫背と痩せた身体
傍らには人形にも見える幼い女の子
「ほらほらさっさと終わらせろー」
『しめおとせー』
野次を飛ばすのは岩村
そしてその横の女の子
アリスは磁気ボードに文字を大きく書いてこちらに見せている
「見てねぇで助けろよ!」
「こんな面白い状況を止めるなんざ切腹してでもお断りだ」
『おなかすいたからはやく』
「殺さない程度でどうにかしろ。通過儀礼みたいなもんだ」
「む?つまり怪我させても良いのか?」
今まで(一応)手加減していたのは
暴力沙汰=退学、停学という措置が高校にはあると聞いていたから
本当だよ?
だから怪我させないようにしてればそのうち教師が助けてくれると思っていた
「佐久間も隅の方で見てるから安心しろ。やりすぎの場合は俺も止める」
「何ごちゃごちゃ言ってんだよ先輩!」
「話しかけてくんなよ田舎ヤンキー」
『いか、ざこAからE』



「コメディー」の人気作品

コメント

コメントを書く