五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

ラノベの主人公かよ 9

「はいはーい。そろそろ皆終わったかなー?負けた方は腕立てよーいはじめー」
「今回は負けといてやるよ川元!次は負けないからな!」
「次があればねー」
担任の合図で生徒の半数が腕立て伏せを開始する
おぉ、東條くん早い早い。流石柔道部














と、言っているところで授業は終了
ちなみにオレの邪魔をした後根っちは東條くんを含めた地属性魔術師に使い方を教えに来ていたらしい
お前の授業は良いのか


午前中ずっと同じ空間にいたため外に出ると目が痛い
「よく晴れてんなー」
「川元君初授業お疲れ様。大丈夫だった?」
「おー委員長、余裕余裕」
パタパタと駆け寄ってきた委員長は本当に心配そうな表情をしていた
「ほんと?無理してない?」
「大丈夫だってー。何をそんなに心配してんの?」
「初日に多かったんだけど魔力切れで倒れる人がいたから気になって…」
魔力切れ
人体に流れている魔力の総量が少なくなると生命維持が困難になる
人間を貯水タンク
魔力を水
魔術を蛇口だと授業では習うらしい
蛇口を絞って水を出せば消費を少なく抑える事が出来るが経験でしか消費量の調節が出来ないため魔力欠乏症になるのは新米の通過儀礼
「になるって先生が」
「ほほー」
親切丁寧な説明ありがとう委員長
まぁ、知ってんだけどオレ
「大丈夫だよ。自分の限界は知ってるから」
「そう?苦しかったりしたらすぐ言ってね?」
それだけ言い残して委員長は仲の良いであろう女子生徒数名とお弁当を抱えて走り去ってしまう
根っち、片瀬ちゃん、健治の3人は授業の後片付けだとかで先生に付いて行ってしまったので今は1人
授業が終わる頃には魔力も使い果たし一部青かった髪の色も元に戻ってしまった
とりあえず戻った教室では生徒達が各々ガヤガヤと談笑している
どこの学校でもよく見る昼の風景
こう見る限りじゃ普通の、ごくごく普通の高校なんだろうな
授業前に受け取った特大弁当箱を開けてぼっち飯としますか
身体は縮んでも食べる量は変わらない
成人男性2人分
蓋を開ければ形が疎らなおにぎりと冷凍食品と卵焼きのオンパレード
退院してから初のちゃんとした食事、堪能させてもらいます!!
あ、午後の授業前に魔力の補給しないといけないから急いで食べて片瀬ちゃんを探さねば


「後で片瀬ちゃんにまた頼まないとなぁ」
「由美に何を頼むの?」
「おぅっ!?」
つまみ上げたおにぎりを口に放り込んだ瞬間に後から声をかけられた
顔の真横に赤い髪が目に入ったため美空だとそこで分かった
「もぐもぐ」
「ちゃんと授業受けましたか?」
「もぐっ」
「それなら良かったです」
反対側からニコニコとしたミリアも現れる
「何でお前らいんの?」
「困ってんじゃないかなって様子見しに来てあげたのよ」
感謝しなさい、と美空は言いながら机の横から頬杖をついてこちらを観察している
「おにぎり美味しいですか?美味しいですか?」
また逆方向よりミリアがやたらと感想をせがんでくる
おいしいおいしい
「2年生の優秀な生徒は授業アシスタントとして1年生に教えたりするんだって。今日はじめて聞いたよ私」
「なるほどね。たしかに片瀬ちゃんは適任かも知れないな」
「由美はってどういう意味よ由美はって」



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