五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

帰還と変身 5

「何が起きてんだ…」
「とりあえず体温を下げないと!」
「ちょっと待てアツシ」
「他に方法が無いだろう!?良いな良樹!父親のお前の同意がいる!」
「おい」
「うるさい!!子供の命がかかってるんだぞ!!」
アツシと呼ばれた担当の先生は診察の時とは打って変わって声を荒らげている
亮太の左手を握る私は水差しの中身を魔力で凍らせて亮太の首を触る
熱い、氷がすぐに溶けていく
蒸気があがるほどの発熱に人間の身体が耐えられるわけもない
「赤髪の女の子は氷の魔術師だね!?そのまま首を冷やしてあげるんだ!!」
「はい!」
私は指示された通りに亮太の首に触れる
焼けたアスファルトのような温度に思わず手を引っ込めそうになるのを我慢していると亮太と目が合う
「大丈夫。何か落ち着いてきた」
「しっかり起きなさい!」
意識が朦朧としているのか探るように私の手を亮太の右手が握ってくる
「いや何かホント…落ち着いてきた」
「無理しなくて良いから!!」
「亮太さん!亮太さん!!」
亮太に跨るミリーも力一杯呼びかけている
「いや大丈夫大丈夫。熱いとか何かそんなんじゃない」
「何言ってんの!?」
「君!自分の名前は言えるかい?」
「あ、はい川元亮太14歳です。彼女募集中です」
「おいアツシ」
「ん?」
良樹さんが先生の肩をトントンと叩くと先生はハッとした顔になり途端にため息を吐く
「いや何か本当に大丈夫なんで」
「だろうね、そう言えば前にも1人いたんだよ。君みたいな症状の人間が」
先生がもういいよと声をかけてきたのでとりあえず亮太の首に当てた手を放す
右手は握ってるけど
























「あれ?」
亮太の手が私の手と同じ位の大きさになってる?
「2人とも、ちょっとバカ息子から離れてみ?面白いから」
言われた通りミリーを引き剥がして距離をとってみる
点滴針は抜け、あちこちびしょびしょに濡れた服と髪
「くっそ寒い」
「普通に風邪をひいてしまうね。着替えをとってくるよ。その姿には少し大きすぎる」


「え?」
「何ですかこれ…」
「予想出来なくは無かったけどこれはちょっと面白いな」
「何だよクソ親父」
「黙れクソガキ!上様と呼べ!」
「何が上様だオレよりチビのくせに!」
「なら今の自分をよく見てみろチビ」
チッと舌打ちをして真っ暗な窓ガラスに亮太が目をやると動きが止まった
そりゃあ止まるよね
「ほ?」












































「おめでとう。おっさんから子供に退化したぞチビ息子」
「オレちっちゃくなってません!?」

「コメディー」の人気作品

コメント

コメントを書く