五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

帰還と変身









































「というわけで、息子生きてましたー♪」
「別に帰ってこなくても良かったんだが?」
「クソ親父ィ!!」
「このボンクラァ!」
ああ、取っ組み合い始めちゃいましたか


場所は移って学生寮前
今日の任務は終わり、車にぎゅうぎゅう詰めの状態で何とか帰って来れました
電話で良樹さんに連絡をとって任務完了の報告と亮太さんが戻ってきた報告を済ませるとここで待ち構えていました
「そもそもなんだその見てくれは。明らかに父親の俺と同い年位だぞ」
「知らん。本当に何も知らん」
亮太さんの言い分を要約すると2年前の戦いの後ずっと各世界を放浪していたとか
「時空の裂け目はわりとどこでも起きてるみたいでしょっちゅう吸い込まれては意味の分からん所に放り出されてた」
「どこに行ったか覚えてるか?」
「空気で何となくここはどの世界だーってのは分かるけどちゃんと理解出来たのは魔界だけだな。魔王ちゃんと会ったし」
「そこに俺とカライドが偶然立ち寄って今回連れて帰る事が出来ました」
「なるほどな。異界とは時の流れる速度が違うからそれだけ成長したと」
そうなんかもねーと頭を掻く亮太さんを見て納得しました
はじめてお会いした時と今の亮太さんとでは大きく成長しているのが見て取れるので
「10センチは伸びたな!」
「でもその見てくれで高校生は出来ないぞ。一応校長のジジイには俺からも言ってみるが」
「入れなきゃ困る!最終学歴中卒て!」
「残念ながらお前の親父である俺の最終学歴だ」
「あかんてそれ!!」
ウガーと頭を抱える亮太さんですが全体的に楽しそうです
「とにかく聞きたい事が多すぎてどうすりゃ良いのか分からん。1回病院に連れてくから今日は各々ゆっくり休んでくれていい。無理にとは言わんが学校もちゃんと行ってくれれば文句なしだ」
良樹さんは乗ってきた軽自動車の助手席に亮太さんを詰め込み運転席へと回る
「2人までなら付き添いで来てもいいが」
『私がっ!』
ソラと被ってしまいました
2人で照れながら後部座席に乗り込みます
「えー?美空とミリアだけー?お前ら心配じゃないのー?」
「ついさっき魔界で会ったし」
「俺は報告受けてたし」
「どうでもいい」
「クソボケェ!」
四者四様の反応を見せています。
付き合いが1番長いだけにそれ程心配していないようですね
「ケッ!じゃあな雑魚ども!」
「その口に雑草でも詰めてやろうか?あ?」
「ゴメンネイワムラクンサヨウナラ」
いつもの光景ですね
落ち着いたところで良樹さんが車を発進させると座席に深く腰を降ろします
「つっっかれた……」
「しばらく寝てろバカ息子」
「そうするわ」
と言って亮太さんはすぐ寝息を立ててしまいます
車に寝るとたちまち眠るところも変わっていない
「本当に、帰ってきてくれたんですね」
「うん」
横でソラが返事をしてくれました
亮太さんはもう返事も出来ないくらい深い眠りについています

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