五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

4人集まれば 1

「多分核になる部分がどっかにあるからそこを狙う!」
左手に剣を持ち、大きな魔族の全体を見据える
じっと見たところでその『核』が分かるわけではないと判断して魔族と正面から向かい合ってタコの左方向へ駆け出す
「健治、上から注意引いといてくれ!その間に弱点探してみるから。リムと片瀬ちゃんは下がって逃げてくれて良い!援護サンキュー!」
小さく頷いて予備動作なく上昇していく健治
数分間動きっぱなしで息の上がっているリムと魔力の枯渇で苦しそうな由美を先程逃げ込んだ森の方へと促す
「美空も一緒に逃げとけ」
「やだ」
自身の跡を追いかけてくる美空にシッシッと手を振るが即答で拒否
「アンタがいない間私も頑張って強くなったの。一緒に行く」
「ホント〜?」
ニヤニヤと意地悪な笑いを浮かべながら後ろを振り返るが自信に満ちた目にこれ以上は無駄と判断。黙って並走していく
「どうしますか亮太さん!」
「下だ!さっき足の間の胴部分から光ってる物が見えたから一度確認する!」
魔族の側面部が見え始めた辺りで急に崖から飛び降りる




魔術師として亮太がとる戦法
有り余る魔力量で力押し、というパターンが多く、その場その場で柔軟に対応も取れる万能型と称されていた
「魔力で道を作るから付いてこい!」
その戦法の一つとして自身の扱う属性である水と氷を使い足場を作ったり相手の足を止めたりと言ったことを得意とする
今回もそれでタコの足の間から中に潜り込むと決めていた






が、
「あれ」
いつもならここでバーっと、と呟いて落ちていく
「うそ、ワタシの魔力なさすぎ?」
「亮太さーん!?」
真っ直ぐ墜落していく亮太を追いかけミリアが空中で足をつかみあげる
「やばいやばい忘れてたわ。オレ今魔力無いんだ」
あちゃーと言いながら頭をガシガシと掻く
「重い…!」
「え、ウソ!?太った!?」
そう言われて自由落下は止まったもののジワジワと高度が落ちている事に気付く
「亮太!ミリー!」
追従して飛び降りるのを躊躇った美空が上の方で叫んでいる
ふと意識を周りに向けると数本の触手が迫ってきている事に気付く
「やべ…ミリア離せ!」
「えぇっ!?でも離したら…」
「海面に叩きつけられるかヌルヌルの触手に叩かれるかどっちが良い!?」
「亮太さん、強く生きて下さいさようなら」
「え、ちょっ、もうちょい慈悲とか無いのおおぉぉぉぉ………」
パッと手を離して迫ってきた触手のうち2本を避けて1本を斬るミリア
残りは亮太を追いかけて行く



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