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クロ猫のクロウ

◇第2話◇ 神龍フェルブ


「今日はやけに大漁だなぁ…」

鉱石集めも俺の日常の一部だ。ハーレン村は昔から火山地帯だったこともあり、軒を連ねる山のほとんどで希少な鉱石が生まれている。

特にこのフェルブの山は、シルフィアと呼ばれる鉱石が有名だ。現世で言うサファイアのような物で、価値が高いこともそうだがそもそも"神龍フェルブ"の山ということもあり、コレクターすら手を出さない。故に、高値で売れる。

「こんなとこかな…、ん…?」

あの紅い光…もしかして…。
数歩歩いた所に雑に転がっていた紅い石を手に取った。

「やっぱり…ブルネットだ…!」

魔石ブルネット。古代覇王の首飾りとしても有名な超希少価値の鉱石だ。
まさか、フェルブの山にあったとは…。これ売ったらいくらに化けるんだ…!?

「って…うおっ!?」

まだまだいっぱいある!奥に行くほどに量が増してる!まだまだ取れるとか今日はすごい日だな!

「やば…袋が小さすぎたか…。でも、まぁ、幸せな重さってことで…」

ズン、と短く山が揺れた。

「地震かなぁ…」

またズン、と短く山が揺れる。しかもそのスパンが徐々に速くなってくる。

「もしかして大地震に…うわっ!」

袋にパンパンに入った鉱石が揺れた拍子に地面にぶちまけられた。
なおも続く揺れは次第にその音を大きくした。というより、近づいてきてる?

あれ…?まさか…。


""あそこは神龍の棲む山なんだからね!""


「あーぁ…俺の第2の人生もここまでか…」

巨大な影が目の前で大きく揺れた。






恐る恐る振り返ると、巨大な爪と無数の牙、小振りな鰹位の紅い眼、そして、無数の刺し傷。

「ん…?刺し傷?」

身体を折り曲げながらゆっくりとこちらへ近づく龍の目と俺の目が合った。

殺される。

本気でそう思った。
でも、奴は気にしていないかのように目を瞑り、ゆっくりと休み始めた。

「寝て…るのか…?」
【寝ていない…】
「うわっ…!声でかっ…!」
【貴様…何者だ…?王国の騎士か…?それとも、盗賊か…?】

あれ、2択なの?村民っていう選択肢は無いの?

【答えぬか小さき者よ…】

いや、逆に村民って言われたらビックリしてくれるかも?もしかしら「気に入った!」とか言って仲間になってくれたりとか?

あるかもしれない…!

「村民だ!」
【え…村民…?】

引かれたァァァァァァ!?

【村民が何でここにいんの…?】
「え、えっと…鉱石取りに…?」
【…え?】

引かれた上に馬鹿にされた!?

「っていうか!その刺し傷…」
【"弱き者"には関係ないことだ…】
「関係なくないだろ…!ほっとけないし!」
【村民に何ができる?】

とことん馬鹿にされてんな。
ま、馬鹿にされるよな、"普通の村民"なら。
俺は神様に助けられた得意…あ、いや、徳井?

「俺は徳井点だ…!」

それまで薄開きだった瞼は、シャッターのように勢い良く上がると、紅い眼でこちらを睨んだ。

【特異点…だと?グ、グ、グハハハハハハハハハハハハ!】
「え、笑うとこなの!?」
【成程…。道理であのブルネットがお前の近くにあるわけだ…!】

龍は立ち上がり、体の倍はある羽を広げた。台風直撃並みの風を一身に感じ、腰が砕けた。

【貴様名は…?】
「ユーリ…。ユーリ:セイペスト…」
【覚えておこう、"我が主よ"…!そして、覚えておくがよい!我が名は緋眼神龍フェルブ!】

大きな声は地響きが消えると共に薄れていった。
巨大な爪が頭の上で器用に無限の字を描いた。

【我が主よ…!願いを…言え…!それが叶ったとき初めて、我が宿願は叶う…!】

「願い…?」

願い…か…。このハーレン村に来たときに思ったことがる。
この国には、村民や騎士、盗賊の他にも数多の魔族と呼ばれる種族が存在している。
忌み嫌われる存在なんて、この世に誰もいない。助けられる者は助ける。
それが亡くなったおばあちゃんの遺言だった。

「俺の願いは…」

だから、こう思うことは自然の摂理っていうか、妥当というか、お節介というか…。まぁ、だからこそ俺なんだろうけど。

「全ての種族が笑って暮らせる世界を作りたい」
【その願い…聞き届けた…!】


◇第2話◇ 神龍フェルブ          fin.


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