第4話～絶望～

　その日は村の様子がいつもと違っているような気がした・・・

　だがユウは、ステータス鑑定の結果がわかるからだと思い・・・特に気にしなかった・・・・・・
















(僕は今、村から離れた森の中の木に拘束されている・・・)





　自分のステータスがわかる為、その日は一日ソワソワしていた。夕食を食べながら、次に僕達の家に神父様が来ると言われ僕はとても緊張していたのを覚えている・・・

　ただ、夕食を食べ終えた後の記憶が無い・・・なんでこんなことになってるんだ・・・・・・





　周りには、松明を持った村の人達・・・子供は何が起こるのかわかっていない様子だったが、大人は皆敵意のこもった目で僕を見ている・・・

(なんで？どうして？)

　焦りと恐怖が僕を支配する・・・・・・

　そうこうしている内に、三人の人が僕の前に出てきた・・・
　
　一人は勇者・・・聖勇者・・・

　もう一人は、今日勇者であることが判明した。この村の少年・・・ゲナード

そして、最後の一人・・・僕の幼馴染であり、許嫁であるキラ・・・彼女はいつもと違いこちらを冷たい目で見ていた・・・


　聖勇者が村人達の方を見て言った。

「これより、村人ユウの処刑を行う！！」

(処刑？処刑だって！？)

「ちょっ、ちょっと待ってくれ！なんで僕が処刑なんてされないといけないんだ？キラ！君からも言ってくれ！！」

　僕がそう言うと、キラは顔を歪め

「あのね、私はもう貴方の婚約者じゃないの。言うだけで虫唾が走るわ」

「もう、彼女は聖女で僕の第二婦人になることが決まっているんだよ・・・」

　そう言って聖勇者が僕に近づき・・・

　ドグッ

　僕の腹を殴った・・・

「グガッ！ゲホッガホッ！」

「君は生きてちゃ、いけないんだよ・・・運命スキル死持ち・・・つまり、欠落者なんだから」

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《欠落者》
　運命スキル死を持つ者をさす。己の運命が確定している。死ぬまでの道が既に決まっている。自分の人生を自分で決めることが出来ない者。
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「なん・・・で・・・」

　僕は絶望した。なんで、僕が・・・
　僕はまだ・・・

「べ、別に殺さなくても、追放でいいじゃないか・・・なんでこんな・・・」

「そんなことをしたら、別のところで誰かが巻き込まれるかもしれないだろう？」

「絶対に人には、近ずかない・・・だ、だから・・・」

　聖勇者は僕に近ずき村人達に聞こえない、キラ達には聞こえるような声で言った。

「僕はね、これが初めての任務なんだ。初めての任務で、千年に一人現れるという欠落者を見つけ出し、対処をすれば民からの人気も上がるだろう・・・だから、僕の為に死んでくれ・・・」

「まあ、素晴らしい考えですね」

「さすがだぜ。兄貴！」

　キラ達は口々に聖勇者を賞賛した。

　それを聞き、僕は益々絶望した・・・

(なんで、なんで、なんでなんでなんでなんで！僕がこんな奴の為に・・・！)

「そ、そうだ！お父さん！お母さん！」

　僕は藁にもすがる思いで助けを求めた・・・

「すまない・・・これも世の為だ・・・」

「そうよ・・・だから、死んでちょうだい・・・」

　僕の希望はあっさりと打ち砕かれた・・・

「あ、そうそう。ここには来てないけど君の妹も聖女だったから・・・」

　聖勇者はそう言って醜く顔を歪め・・・

「僕が貰うことになったから・・・」

　それを聞き、僕は絶望のどん底へと叩き起され、何も考えられなくなった・・・
















　そして、処刑が始まった・・・