第3話～前夜～

　今日は勇者パーティーが村に来ている・・・
　
　なんでも、この村に聖女がいると、女神様からの神託を授かったそうだ。

　司祭様の長い話が終わり、僕達は一列に並んだ。今回は特別に、十二歳の子供たち8人と、十一から八歳までの女の子が鑑定を受ける事になった。

「ユウくん！頑張ろうね!」

　ユウの幼馴染で、許嫁でもあるキラが言った。
　キラは栗色の髪と瞳の可愛らしい女の子である。
　彼女は、こんな自分にも優しく接してくれるいい子だ。

「お兄・・・・頑張ろう・・・！」

 ユウの三歳下の妹のユナが言った。
　ユナは僕と同じ黒い髪、黒い瞳で、肌が白く人形のような美しさがある、将来はきっと美人になるだろう。

「えっと、頑張る必要は無いと思うんだけど・・・」

「気分だよ、気分！」

「そう・・・・気分・・・」

「そうかなぁ？」

　そうこう、しているうちにキラ、ユナ、僕の順で鑑定を受け、家へと帰った。結果は、次の日に貰うことになっている。なんでも、鑑定書が出来るのには時間がかかるそうだ。

　僕達は明日を楽しみにしながら、家へと帰った・・・・






～その日の夜中、村長の家～

ドンドン！

　何者かが、乱暴に扉を叩いた。

ガチャッ

　村長が扉を開けると、そこには、顔面蒼白の神父がいた。

「神父様・・・こんな夜中に何用ですかな？」

「・・・・・に・・・・・・ちが・た・・・」

　神父が、なにかに耐える様に掠れた声で呟いた。

「？、しっかりして下さい！神父様！」

「は、はい・・・」

　神父は深呼吸をしてしばらくすると、少し落ち着いたのか、ゆっくりと話し出した

「ま、まずは聖女が二人と、武の勇者出ました・・・・」


「なんと！？武の勇者が！！それに、聖女が二人も！・・・・それは・・・ある意味問題ですが焦るほどのことではないのでは？それで、誰だったのですか？」

「聖女ですが、キラとユナでした。そして、勇者は、ゲーズでした」

「・・・それで、何をそんなに焦っていたのですかな？」

「運命スキル死持ちがでたのです・・・」

「っ！・・・い、いったい、だ、だ、誰が・・・」

「ユウです・・・」

「！・・・とても私には、判断できない・・・」

「で、では、どうすれば・・・」

「勇者様に伺おう・・・」

「・・・はい」

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運命スキル：　　
　運命スキルはその者の今後の人生を決めるスキルである。とても珍しく発言するものは、そうそういない・・・
　勇者とあれば、その者は勇者となり、魔王とあれば魔王になる。
　さらに、このスキルには、　死と言うものがある。
　この　の部分にある文字が入ることにより、
　焼死、溺死、感電死、失血死、ショック死、切断死、貫通死、圧死、餓死、等
　その者の死に方を決めるという残酷なスキルである。
　このスキルの恐ろしところは、いつ死ぬのかが分からないという点と、周りを巻き込む可能性がある点だ。
　そのため、そのスキルが見つかった者は追放または見つかり次第殺される・・・

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　その日の夜中、村の大人達は教会へと集められ、勇者から話を聞いた。

　皆最初は渋っていた別に殺す必要はないのではと・・・

　だが、勇者は
「そんなことをすれば別の誰かが被害に会う！今この場で殺してしまうことが一番良いのだ！」

　それでも村人達は渋った・・・決してユウの為では無い・・・自らの手を汚さずともそれに関わるのに少なくない罪悪感があるからだ・・・

　が、金貨の話を聞き誰もが手のひらを返した・・・・

　ユウの両親とキラの両親は最後まで渋っていたが、二人が聖女であることと、自分の妾として迎え入れることをはなすと、顔色を変え、同意した・・・・




　




　それは起こった・・・





　誰しもが一喜一憂する日・・・・





　これからの人生が決まる、人生最大のイベント・・・・・





　少年の人生は・・・・・・





　自分の村の村人・・・・・・・






　自分の家族、許嫁までもが裏切り・・・・・・






　終わりを迎える・・・・・・・