僕の大事なモノは猫に取られました

逃亡者

どうしてこうなった…!

5月のある日僕は、教室の窓からぼんやり外をみていた。
  どうしてこうなったんだろう…
僕の名前は、水島優希
高校に入学したばかりのどこにでもいる普通の男子高校生だった…
だったのだ…昨日まで…
窓の外を見ながら今では遠い過去に思える昨日を思い出す。



「おはよう」「おはよう」「おはよう」
学校中に飛び交う爽やかな挨拶をくぐり抜け僕は、下駄箱の扉を開けた。
ヒラ…
ラブレター、コレは、問題じゃないいつものことだ。
昼休みを待って僕は、ラブレターの指定の場所へ向かった。校庭の隅にある大きな桜の木…いかにもな告白スポット
入学してからここにくるのは何度目だろう…
そんな事を考えていると手紙の主がやって来た。
がっしりしたガチムチお兄さん…
「優希ちゃん!君が好きだ」
そう、僕は男にモテる。
小柄で中性的な見た目もあってやたら男にモテるのだ…
「むりです。僕男なんで…」
90度のお辞儀でことわった。
「…大丈夫!君が男という事は、愛の前ではささやかな問題に過ぎない!
ジェンダーフリー!セックスマイノリティだ!」
訳のわからない事を叫びながら抱きついて来た。
「そういう意味合いの言葉じゃないでしょ!」
思いっきり顔面にグーパンチ!
そのまま僕は校舎に引き返した。そして夕方、下校の時間!
寮に向かいトボトボあるく
「ゆうき〜」
後ろから大きな声と大きな体で走ってくるやつがいた!
「隼人!部活は?」
大谷隼人 空手部所属で、小さい頃から一緒にいる幼馴染だ!
「誰かさんが部長を顔面KOで病院送りにしたから中止」
隼人は笑いながら答えた
「にしてもお前モテるなぁ」
「男にモテてもうれしくないし」
ふくれっ面で答えてみた!
「そんだけ可愛けりゃ仕方ないんじゃないか?」
「隼人までそういうこという!」
「悪りぃ悪りぃ!でも、なにかととくだろ?」
「得したこととか無いし!隼人のバカァ」
隼人を突き飛ばしダッシュで逃げた…
寮に戻る気がしなかったから僕は川添いの道を一人で歩いた。
ニャー ニャー
か弱い猫の鳴き声辺りを見渡した。
木下にダンボールが置いてあった。僕はゆっくり近づき中を見る!
中には、赤い首輪の付いた黒い子猫が入っていた。
「捨て猫かな?」
「ゴメンね!寮だから連れていけないんだ…」
ミャーミャー
つぶらな瞳で見つめてくる
カワイィ…
今ならわかるア◯イフルのチワワのオッサンの気持ちが…
「飼い主が見つかるまでだよ…」
僕は、子猫をカバンにいれて、寮に連れて帰った。
誰にも見られないように部屋にダッシュで…
カバンから子猫を出して、ベットの上に下ろした。
帰り道にコンビニで買った牛乳を100均で買った容器に入れて子猫に差し出す。
すると驚くほどの速さで飲み干した
ミャー!
おいしーといったのだろうか!
それから、夕食とお風呂をすませ、部屋に戻り眠りにつくまで、子猫に愚痴を言ってみた。
少し気が晴れるような気がして…
「なんで僕は、こんな見た目なんだろう?背は伸びないし童顔だし。いっそ女の子だったら幸せだったのかな?」
「お前に言ってもわからないよね!
おやすみ!明日飼い主探そうね。」
そして深い眠りについた。



次の朝
ムニ!
何か柔らかい物が体に当たる感覚で目を覚ました。
まだ寝ぼけた頭で考える。
そっか子猫と一緒に寝たんだっけ…
そして目を開けて驚いた…
「えっええええええええええええ!」
隣には黒い子猫ではなく、全裸の女の子が寝ていたのだ…
「なんですか…うるさいですねぇ…」女の子が目を覚ます。
「だ、誰?」
「わたし?ウカです!」
女の子は、猫のような背伸びをしながら答えた。
「いや、名前とかよりなんでここに?」
「なんでって、あなたが一緒に寝ようってベットに入れたんじゃないですか!」
「僕、童貞です…」
頭がこんがらがって変な事を口走っていた。
「あっ、そういう事じゃなくて、昨日の黒猫です」
すっごく冷静にありえない返しをされた。
「ねこ…」
「そう…正確には猫に化けてたわたし神様見習いのウカなんですけど!

「神様見習?」
「そう!人間界に来て、人間を幸せにする修行をしてたんです。
その証拠にあなたの願い1つかなえましたよ!」
僕を指差す
「僕の願い?」
「うん!寝る前に言ってたでしょ!
女の子になりたいって…」
沈黙が場を支配した。
恐る恐る体を触って見る!
そこには、あるはずのものがなく…
無いはずの膨らみが2つあった。
「…僕の…ちん◯んがー」
「そんなに泣くほど喜ばなくても!」
ウカは、やーねといった仕草でいう。
「違う…女になりたかったんじゃ無いんだ!僕のちん◯んかえせぇ!」
泣きながらウカにしがみつく
「えっ違うんですか?
困りましたねぇ!願いは1人一個なんですよ!
取り敢えず女の子として幸せになってください」
窓を開け遠くを見つめながら、ウカはいった。

「じゃ、」
そういうと慌てて猫の姿になり窓からにげていった!



そして現在
もう一度言おう
どうしてこうなったー!

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