異世界から勇者を呼んだら、とんでもない迷惑集団が来た件(前編)

ドラゴンフライ山口(トンボじゃねえか!?)

3話

 何日かかるのか見通しも立っていなかった最大の難関が、いきなり目の前に現れました。
 これって、偶然でしょうか?
 それともアルデバラン様の勘が冴えわたった結果なのでしょうか?
 ともかく、雪城さんは思ったよりも元気そうです。空腹以外に目立った異常もありません。女神様に授かりし千里眼・医療の診断です。疑う余地はないでしょうし、仮に間違っていたとすればそれは診断を下した自分の責任となるでしょう。
 なぜこんな森の中にいたのかについては、人のことを言えませんし何かを言い立てるつもりも毛頭ありませんが、何よりご無事でよかったです。


 雪城さんは瞬く間にヨブトリカ騎士を駆逐すると、頭のなくなったヨブトリカ王国の最初に殺した騎士の体を蹴り倒して、負傷している女性に手を差し伸べました。


「大丈夫というべきか、医者じゃないからわからないのだ。カムカムできるのだぞ?」


「……………」


 相変わらずといいますか、言動が支離滅裂ですが、雪城さんは女性を抱えて起こし猿轡を丁寧に外しました。
 しかし、意識のない女性はぐったりしたまま目を開けません。
 その顔を覗き込んでいた雪城さんは、ゆっくりと女性を下ろすとその手を胸の上にて組ませて、両手を合わせました。


「明日になれば目をさますはずならば、安心して眠ってくれたまえ」


 …瀕死ですが、まだ生きていますよ。
 自分はさりげなく、音を立てずに茂みから出ると、雪城さんのしゃがみながら両手を合わせている背中に近づいて、そこから治癒魔法を女性に施します。
 雪城さんの言動は召喚前からさして変わっていない様子です。
 自分とは違った意味での変わった人です。それでも、変わっていないというのは総じてその人に何らかの大きな心境の変化をもたらすような要因がなかったということでもあります。変化がないということは、雪城さんは浅利さんの追っ手に追われたりするようなことはなかったということでしょう。それは無事を示すものでもありますから、自分は内心安堵しています。
 今回は、間に合いました。ヨホホホホ。


 女性に向けて治癒魔法を行使しようとしたときでした。
 物音をたてずに近づいたはずなのですが、唐突に雪城さんがこちらに振り向きました。


「–––––ッ!?」


「…あ、どうも」


 何かの気配を感じ取ったのでしょう。
 能面を被った不審者がいるのです。普通の人ならばここで誰何するのですが、雪城さんは基本的に普通の言動はしないので、片手をひょいと上げてさも当たり前のように不審者である自分に挨拶をしました。
 流石ですね、雪城さん。


 自分も会釈で返すと、雪城さんの隣にしゃがんで瀕死の女性に対して治癒魔法を施しました。
 隠れてする予定が早速雪城さんに見つかりましたが、接触はすぐにでもするつもりでした。遅かれ早かれの違いですね。ヨホホホホ。
 酷い状態だった怪我が消えていきます。
 治癒魔法だけの場合、意識までは戻りません。
 セットとなるのが回復魔法ですね。これで失った血を補填して、意識を回復させることができます。
 回復魔法を施すと、女性の顔色も戻り、小さなうめき声とともにかすかに瞼が開き始めました。


 羽織っていたマントを服を破り取られてすっぽんぽんにされていた女性に被せます。自分の羽織っていたもので申し訳ないのですが、よくいるアイテムボックスのような便利な機能が自分にはありませんので、これで我慢してください。


「うっ…」


 自分の治療を一言も口を挟むことなく合掌していた雪城さんですが、女性の声がこぼれるのを聞くと一度片目を開けました。
 女性の方は、ゆっくりと意識が回復したようです。
 目を開き、呆然と辺りを見渡します。
 そして自分の能面を目に入れるなり、悲鳴をあげました。


「ヒャアアアアアァァァ!?」


「フゴッ!?」


 そして綺麗なキックを自分の側頭部に決めました。
 人族とは思えない火事場の馬鹿力がなす一撃に、首が明後日の方向を向いて動かなくなってしまいました。
 男に組み伏せられた後に気を失い、目を覚ましたらいきなり能面があったのです。このような反応を示すのはむしろ正常であり、先の一撃が体に異常が無くなったことを示しましたので、結果オーライということで良いでしょう。
 ヨホホホホ。真横を向いたまま動かない能面とか、これはこれでホラー要素がありますね。


 それを横で見ていた雪城さんは、その見事なキックに拍手をしました。


「おー。さすがだぞ、近藤。君の蹴りはいつ見ても色っぽいのだな」


 そう賞賛しながら、混乱している女性の方に手を置きます。
 グッと親指を立て、見事な蹴りを放った女性を賞賛しています。
 それに困惑する女性は目を白黒させながら呆然と雪城さんのことを見ています。
 混乱して状況が追いついていない様子ですね。
 ならばと、横を向いた状態で自分も拍手をしました。


「ほら、彼も賞賛しているのだ。怪我は大丈夫か、坂本?」


 そこに来て、ようやく自分の容体を心配してくれる見知らぬ人という認識がなったのか、坂本(仮称)さんはコクコクと頷きました。
 容体の確認ができた雪城さんはうんうんと頷き、坂本(仮称)さんの肩に手を置きます。


「よし、坂本。私が誰か分かるか?」


「あ、貴女は…?」


 困惑しながらも、まずはそれを尋ねたくなるだろうという問いを女性が発します。
 それに対して、雪城さんは若干衝撃を受けたような表情となりました。


「ば、馬鹿な…!? 君は私の顔を忘れたというのか、桜井!」


「初対面ですよ!?」


 もう耐えられなくなったのか、とうとう女性がツッコミました。
 まあ、雪城さんと会話すると、必ずツッコミ役に振られますからね。基本的にまともな会話してくれませんから。


 気絶前の状況を思い出し現状を鑑みてみれば雪城さんが命の恩人であることは明白でした。
 それに気づいたらしい女性は、いくら耐えられなくなったとはいえ命の恩人に対してツッコミを入れる真似をしてしまったことに、思わず雪城さんに対して頭を下げました。


「も、申し訳ありません! どなたか存じませんが、い、命を助けていただいた方を…」


 それは綺麗な土下座であり、被せていたマントが落ちてしまいました。
 自分は目線をそらせていたというか、明後日の方向に首が曲がっていたおかげではらりと落ちて流れてきたマントが視界に入っただけで済みましたが、場合によっては鉄拳制裁を即時に食らっても文句の言えないラッキースケベ展開になっていたでしょう。


 かなり慌てている様子ですが、雪城さんはそんなことを気にするような方ではありません。
 まだ意味不明な拍手を続ける自分の横で、雪城さんは女性の肩を掴んで土下座をやめさせると、大声をあげました。


「落ち着くんだ、飯島! 君が謝ることなど、何も無いのだぞ」


「…? いえ、あの…私の名前は…」


「皆まで言うな。君が無事なら、それで私は十分なのだ。ところで近藤」


「人の名前をちょくちょく変えるのやめてください!」


 またツッコミましたね。
 まだ敬語を忘れないあたり、尊敬に値します。
 というわけで、拍手〜。ヨホホホホ。
 もうお前消えろ!と? ヨホホホホ。邪魔なら退く、されど目障りならば退かないのが 煽り魔というやつです。ヨホホホホ。


 ツッコミを入れられた雪城さんは、ひるむように女性から手を放して、衝撃を受けたような顔をしながらブレないといいますか、会話を成立させません。


「ああ、坂本…君は、お姉ちゃんの顔も忘れるのか…。私は、妹が心配でここまで来たのに…!」


「いったいいつ、貴女と私の間に血縁関係ができたのですか! あと、外見判断で申し訳ないのですが、おそらく私が年上ですよね!?」


「落ち着くべきだぞ、ルーズベルト!」


「せめて統一しろ!」


 とうとう、ルーズベルト(仮称)さんが敬語を忘れて立ち上がりツッコミを入れました。
 ヨホホホホ。自分もボケ役ではありますけど、初対面の方からいきなりこの短時間でここまでの素晴らしいツッコミを引き出す力はありません。
 まあ、いきなり坂本とかからルーズベルトに変更したのですから。もう、ツッコまなければいられなくなる気持ちはわかります。ヨホホホホ。


 自分は今度はその見事なツッコミに対して拍手をしました。
 ヨホホホホ。さっきから拍手しかしていません。
 自分が今回偽装することにしているマウントバッテンという人物の設定は、どうせ能面被っていることですし、変態のままでいいでしょう。
 自分としてはそれの方がしっくりときますので。
 真面目にやれと言われれば真面目な性格も演じますが、それはそれで気持ち悪いでしょう。なのでこのまま変態でロクデナシで外見からして怪しさ満点で気持ち悪い人物でいきたいと思います。


「ドクター! お嬢様がご乱心です、落ち着かせて下さい!」


 雪城さんは先ほどから拍手しかしていない自分の背中に回り込みました。
 自分を盾にしようという算段なのでしょう。
 自分の方はなんと呼ばれるのかと若干楽しみにもしていたのですが、「ドクター」ということにされました。
 まあ、気ままに大陸を渡り歩く流浪の変態藪医者ですので、あながち間違ってはいないかもしれません。
 自分は曲げられている首をそのままにお嬢様(仮称)の方を向き、相手に対して顔を横に向けながら宥めにかかります。


「お嬢様、落ち着ましょう。こちらの方は貴女の窮地を救った命の恩人なのです」


「私はお嬢様じゃないですし、貴方とも初対面です! …はっ! す、すみません! またも恩人に対してこのような…」


 お嬢様(仮称)は自分に対しても切れているツッコミをかましてから、自分の口にした台詞にハッとして慌ててまたも土下座をしました。


「本当に申し訳ありません!」


「お嬢様が頭を下げる事はありません!」


「田村よ、私の方が年上かもしれないのだぞ!」


「頼むから会話をして下さい!」


 そして土下座に対して示した自分たちの反応に、またもツッコミを入れてきました。
 どうやら、本当に元気そうですね。顔が横を向いて動かないので見えませんけど。
 見えたら見えたで大惨事ですね。ヨホホホホ。


 雪城さんはそばに落ちていたマントを広い、お嬢様(仮称)に羽織らせました。


「寒いだろ、近藤。ドクターのマントだ。これを羽織り、露出狂となって街へ向かうのだぞ。そう、街の人の前に通せんぼして、『この衣装が目に入らぬか!?』と叫び、マントをバサッと–––––」


「ありがとうございますって、素直に言わせて下さい! 街には行きますが露出はしません!」


「街への道を知っているのですか!?」


「ええ–––––って、ヒヤアアァァァ!?」


「ドエッ!?」


 雪城さんが余計な言葉を加えたことにまたも冴えたツッコミをしたお嬢様(仮称)ですが、そのツッコミの中に聞き捨てならない言葉を聞いて、自分はおもわず詰め寄りました。
 街への道を知っていると聞き、それを聞こうと詰め寄ったのです。
 つまり、真横を向いた能面を被った変態が急接近してきたわけでして、驚いたお嬢様(仮称)が自分を突き飛ばしたのです。
 それが幸運というか偶然というか、自分の鳩尾にクリーンヒットしまして、自分はそれでダウンさせられました。


「あわわ! も、申し訳ありません!」


「い、いえ…大丈夫ですので」


 治癒魔法を施し、首と鳩尾のダメージを回復します。
 ようやく元どおりといいますか、能面が正面を向く状態に戻りましたが、今度は雪城さんが自分の頭を押しのけてといいますか、自分の上に乗っかり頭を押し込んでお嬢様(仮称)に顔を近づけました。


「ウィルソン! 腹が減ったぞ! 街に行こう!」


「私はウィルソンではありません!」


 回復魔法で癒したはずなのですが、すでにツッコミによる疲労が表情に出ながら、何度目かになるお嬢様(仮称)のツッコミが森に響きました。




 とりあえず一旦落ち着きまして、自分と雪城さんは改めてお嬢様(仮称)と向かい合いました。
 自分が使っていたマントに身を包む、ちなみにその下は全裸にされてしまっているお嬢様(仮称)は、改めて自分たちに謝罪と感謝の言葉を述べて頭を下げてから、名乗りました。


「名乗りもせずに申し訳ありませんでした。私はリュドミラ・スヴェルトルフ。ジカートリヒッツ社会主義共和国連邦軍、プラフタ共和国国境防衛第六陸上中隊所属の狙撃兵スナイパーです。先ほどは窮地を救っていただき、誠にありがとうございます」


 礼儀正しいですね。
 真っ当な教育を受けている方のようです。
 相手が名乗ったのにこちらが返さないわけにもいかないでしょう。
 というわけで、自分から名乗ることにします。


「ルイス・マウントバッテンと申します。出身はヨブトリカ王国ですが、今は大陸を渡り歩き治癒魔法による治療を行う流浪の医師です」


 ヨブトリカ王国出身を名乗る際に、先ほどのリュドミラさんを襲撃した騎士のこともありましたので、あくまで出身というだけで国の思惑には関わりのない旅人であるという面を主張した自己紹介とします。
 さすがに、いつものふざけた感満載の自己紹介はいたしません。
 湯垣ゆがき 暮直くれただとして戻ってくるまで、「ヨホホホホ」も口に出すことは封じるとしましょう。
 心中では言いまくりますがね。ヨホホホホ。
 リュドミラさんはヨブトリカ王国出身と聞いてかすかに顔を強張らせましたが、自分が治癒魔法を用いた医師であるということを言うと怪我を治してくれたのだと気づいたらしく、警戒をすぐに解いてくれました。


「本当に、ありがとうございました。そして、誠に申し訳ありません」


 リュドミラさんが再度頭を下げてきます。
 それが何に対する謝罪であるか、自分も承知しているので、気にしていませんと首を横に振ります。実際、意識の戻ったばかりの患者を驚かせた自分の方が悪かったので。
 医者としてそれは欠陥だろ、と。ヨホホホホ。そういう抜けているようなポンコツな点も含め、マウントバッテンという人物の設定なのです。


 最後に残った雪城さんは、自分とリュドミラさんに見つめられると、小首をかしげました。
 黙ってやる仕草も普通に可愛らしくていいのですが、だいたいその後で崩します。
 小首をかしげたのち、突然何かに思い至ったように頷くと、リュドミラさんの肩を叩きました。


「佐久間!」


「リュドミラです!」


 即座に返され、怯んだ雪城さんは、自分の肩に手を置いて耳打ちしてきました。


「…佐久間でいいと思わんかね、ドクター?」


「…お嬢様だったのでは?」


「リュドミラですって! ドクターも便乗しないでください!」


 普通に聞こえていましたので、便乗した自分も含めまとめてツッコミを入れられました。
 それにまったく同じように衝撃を受けたような表情となって、自分と雪城さんは後ずさります。
 その反応にもリュドミラさんはしっかりとツッコミを入れていました。


「何で同じ反応なんですか! というか、仲が良いですね!」


「「…こちらの人とは初対面ですが、何か?」」


「初対面なのかよ!」


 また敬語が抜けるツッコミが出ました。
 自分と雪城さんがハモってまったく同じ答えを返したので、そうなるでしょう。
 そしてツッコミを入れてから、リュドミラさんは軽く呼吸を整えてから、意外だと言ってきました。


「随分息があっていますので、つい知り合いなのかと思ったのですが…」


「私はドクターの名前を今知った」


「自分はまだこちらの方の名前も存じませんので」


 実際は知っていますけど、あくまでもマウントバッテンとしては雪城さんとは初対面ですので、名前も聞いておりませんし知らないということにしておきます。
 そこに来てようやく、雪城さんが何かを思い出したようにポンと拳を手のひらに落とすようにして打ち、自己紹介を自分だけがしていないことに気づきました。


「そういえば、私の名前知らないのか?」


 リュドミラさんと一緒に頷きます。
 すると雪城さんは胡座のまま腰に手を当てて胸を張り、名乗りました。


「私の名前は雪城ゆきしろ 環菜かんなだぞ。いろんな人に会話をしてくれと頼まれる人気者なのだ」


「人気があるから会話をしたいという意味じゃないですよね、それ!」


 鋭いツッコミがリュドミラさんから飛びました。
 リュドミラさん、スルーを許さないかなりのツッコミ気質の持ち主のようです。
 自分はさりげなく噴き出すような仕草をしました。


「ふふ…おふたりとも、仲がよろしいのですね」


「嫉妬か、ドクター?」


「失礼ですが、ドクターも大概ですよ」


 ジト目で抗議してくるリュドミラさんに対し、雪城さんはうんうんと頷いています。


「松井から見て私とドクターは仲良し、ドクターから見て私と松井は仲良し。結論は、私の人徳のもとに人の好感は自然と集まるというものだな」


「んなわけあるかーい! あと、リュドミラです!」


 自分を抗議している最中でもツッコミは欠かさないリュドミラさんです。
 もう、雪城さんと相方になったらいかがでしょうか? と思いますね。ヨホホホホ。


 雪城さんは調子に乗っているぞと言わんばかりのドヤっとした笑みを浮かべながら、うんうんと頷きリュドミラさんの肩を叩きます。


「うんうん。それも一種の愛情表現なのだろう? 君こそ我が愛しの妹だぞ、ルーズベルト」


「私も貴女も姓はルーズベルトじゃないないよね!」


「姉妹の繋がりに、血縁なんていらないのだぞ。そうだろ近藤?」


「血縁がなければ姉妹と言えません! あと、リュドミラですって! 何回言えば覚えてくれるんですか!」


「私見ですが…ざっと、千回ほど言えば覚えるかもしれませんね」


「ドクター!?」


 会話をしてくれない雪城さんと、遠巻きに面白がるだけの自分と、双方にさえているツッコミを入れまくるリュドミラさんです。


 すっかり体調も良くなっているようですから、そろそろ街への道を尋ねるとしましょう。
 そう思い、ツッコミが止まないリュドミラさんに道を尋ねようとした時です。
 雪城さんが突然、自分の肩にしがみついてきました。


「マズイことになったぞ、ドクター! 命に関わるかもしれない!」


「ッ!?」


 その声の大きさに、思わずリュドミラさんも警戒して辺りを見渡します。
 雪城さんはかなり慌てているようですね。
 それが何であるかを承知している自分は、温かい目を向けて答えを待ちます。


「腹が減ったぞ!」


 ズコッ!
 思わずそんな効果音が幻聴で聞こえてくるくらいに、リュドミラさんは見事にこけてくれました。
 ヨホホホホ。面白いものが見られそうですね。ツッコミが居てくれるだけで、変態と変人になるかもしれなかった旅が賑やかで面白いものになりそうです。

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