異世界から勇者を呼んだら、とんでもない迷惑集団が来た件(前編)
26話
扉が消えたことで退路が消えましたが、自分に後悔などありません。
何しろ、扉を突破した先に広がる謎の木々が石造りの周囲に乱立する世界にて、最初に自分の視界に入ってきたのは床に倒れこむ3人の人族の姿と、その先で謎の人型の影に飲み込まれそうになっていたクラスメイトの1人であり、聞こえてきた悲鳴の主である六人部 箕梨さんの姿でした。
影は薄い笑みを浮かべています。
それはまるで、力なく腕を垂らしている六人部さんにとどめを刺そうとしていた様子であり、それを見た自分とポルックス氏と天族の方は同時に動きました。
「な、なんだよテメエら!?」
影が自分たちの乱入に気づいたようで、その表情が大きく狂います。
同時に、六人部さんから意識をそらすことに成功しました。
影が迎撃しようとしますが、その前にポルックス氏と自分が距離を詰めて、六人部さんを飲み込もうとしている黒い腕のようなものを蹴散らし、間一髪で六人部さんを引き離して救出することができました。
ヨホホホホ。油断大敵です。
六人部さんはひどい怪我でした。
腕を通して、影に飲まれた箇所は壊死したように朽ちており、穴だらけとなってしまっており、血がそこから溢れています。
呪いの類でしょうか。物理的な要因以外にその怪我はなんらかの干渉を受けているようでした。
呼吸も浅く、かろうじて意識がある様子ですが、明らかに命に関わります。
即座に腕の中に抱えた六人部さんに治癒魔法と解呪魔法をかけて傷を癒し、回復魔法を用いて失われた血と体力を補填させていきます。
その呼吸が安定したのを確認して、自分はひとまず間に合ったことに息をこぼしました。
「間に合いましたね〜」
「御無事デスカ?」
隣にポルックス氏が到着します。
銃撃を加えて影の意識を引きつけていてくれたようです。
天族の方も鳩さんから元の姿に戻り、他の3人の安全を確保していました。
「うっ…」
甲冑姿の女性、おそらくエレオノーラ少将と思われる兜を外している甲冑姿の女性が意識を取り戻していますが、ティルビッツ氏ともう1人の男性の意識はまだ回復していない様子です。
「クソが…誰だぁ、邪魔してくれたやつはぁ!」
そして、六人部さんを襲っていた影は、怒りの形相を浮かべてこちらを睨みつけてきました。
その身にまとう影が、怒りにより発散されるように広がっていき、その中から姿を現します。
形態は人型だが、その姿は人族とはかけ離れたものでした。
頭髪の代わりに鉄棘のマントみたいなのが頭頂から後頭部にかけてあり、右目があるべき場所には三つの黒く光る球体があります。左目のあるべき場所からはツノが伸びており、側頭部のと合わせていびつな形で双角が伸びています。
身体全体は両生類の様な鱗も毛皮も無い表皮に覆われながら、右腕はワニの鱗のような表皮に覆われており、7つの指からは鋭い鉤爪が伸びていました。
3つの黒い目と、自分の面の下の視線が交錯します。
「ポルックス氏、六人部さんをお願いします!」
「了解デス」
影の主が動くと同時に、自分はすぐさま六人部さんをポルックス氏に向かって投げて託し、自分の方は防護魔法を展開しました。
直後、影が伸びてきて自分の身体を貫通し、そのまま後ろのポルックス氏に伸びていきます。
天族の方とティルビッツ氏たちは防護魔法により影の攻撃から逃れることができたようです。ティルビッツ氏も起きたようですし、東田さんの言っていたウリヤノフ社会党総裁を支えて避難をしています。
ヨホホホホ。なんとか乗り切りました。ここまでくれば大丈夫です。
「湯垣殿!」
影に貫かれた自分を気遣ってくれたようで、ティルビッツ氏が叫んでいます。
ヨホホホホ。これは想定のうちですよ。むしろ貫いてくれなければその方が不都合でした。
自分の身体を貫いた影は、そのままポルックス氏と六人部さんを狙います。
しかし、治癒師の戦い方を知らない者には、その刃を届かせることはさせません。
ヨホホホホ。というわけで、治癒魔法を自分にかけます。
「まず1人だ! ヒャハハ! おら、死ねぇ!」
「ヨホホホホ。まだ0人ですよ」
「なあ!?」
治癒魔法により自分の身体が急速に修復されていきます。
それにより、自分の身体を貫いていた影が、逆に切り取られ、影の魔の手は六人部さんまで届くことなく止まりました。
「ポルックス氏、今のうちに六人部さんを安全なところにお願いします!」
影の主が自分の破天荒なやり方に驚いている隙に、ポルックス氏たちの方にも地面の石畳ごと巻き込んだ巨大で頑強な防護魔法による壁を形成します。
これによりポルックス氏と六人部さんの安全は自分が果てるまでは稼げるでしょう。
「クソが、逃がすか!」
「いいえ、逃げさせていただきます」
そして自分は追いかけようと自分のことを一瞬でも無視した影のぬしの方に瞬く間に間合いを詰め、発勁を初発から叩き込みました。
「ゴアッ!?」
直撃を受けた影の主が吹き飛ばされて床を転がります。
その身体から多数の影が飛び出しました。とはいえ、この場所に広がる闇の中からどこからともなく湧いてきて補充されましたが。
ですが、身体の内部と内臓にダメージを負う発勁であれば効いているはずでしょう。
そして、その隙に天族の方と向こう側の皆さんも動きます。
エレオノーラ少将を中心に、天族の方がアイリスの加護とか言っていた光の輪を盾として集まります。
「湯垣殿、ご無事ですか!?」
ティルビッツ氏の声に、自分は床に転がる影のぬしと彼らの間に立ちふさがるように駆けつけてから、ティルビッツ氏の声に頷きます。
「ヨホホホホ。自分はしぶとさが取り柄に近いですからね。ゴキブリ戦法を駆使する回復要員というやつです。ヨホホホホ」
「勇者殿」
エレオノーラ少将から声がかかりました。
エレオノーラ少将の素顔を見るのは今が初めてですが、戦闘中につきいちいち深く見ているわけにもいきません。第一、顔を隠しているのは自分も同じですので。しかもまだ素顔をさらしてませんし。
自分にとっては面こそが素顔なのです。ヨホホホホ。
ティルビッツ氏がウリヤノフ社会党総裁を支えて揃ったところで、エレオノーラ少将が甲冑の中から何らかの魔法が組み込まれていると思われる巻物を取り出しました。
「勇者殿、近くに。転移の魔法を組み込んだスクロールだ。今のうちにこれで離脱する」
エレオノーラ少将はスクロールを使用して、その場から離脱するようです。
ヨホホホホ。それならば大丈夫でしょう。
自分は頷きました。
「ヨホホホホ。では、皆さんも早く退避をお願いします」
「勇者殿?」
エレオノーラ少将が何を言ってるんだ?みたいな顔を向けてきました。
あれ? 何か違いますか?
…自分も一緒にということでしょうか? 
それはありがたいのですが、残念ながらあの敵に対しては抑えが必要です。
「ヨホホホホ。自分はここに残ってあの敵を足止めしなければなりません。おそらくカクさんたちはこの森のどこかにいます。加勢が必要なのは彼らの方でしょうから、早く行ってください」
気配でここにカクさん達がいることは把握できています。
そして、その近くにあの影と似たような、それでいながら違う、そして強大な気配を感じ取っています。明らかに、カクさん達には加勢が必要であり、同時に目の前の影のぬしを行かせるわけにはいきません。
なので、自分はここに残って皆さんを影ながら援護するというわけです。
影相手なだけに。ヨホホホホ。
…スミマセンでした。
「湯垣殿、しかし–––––」
なおも言い募ろうとするティルビッツ氏に、1つの薬を生成して渡します。
「ヨホホホホ。大丈夫ですよ、自分は。足止め程度であればできますとも。代わりにこの薬を持って行ってください。自分の職種しか扱えない女神様より授かりし貴重な『蘇生魔法』が込められている薬です。必要になるかどうかはわかりませんが、皆さんには必要でしょう」
「湯垣殿…」
影の主が立ち上がります。
自分はそれに対して、彼らの前にも防護魔法を展開して壁とします。
そして、ジェスチャーで早く行ってと伝えました。
それを見た彼らには、もう迷いはなくなったようでした。
エレオノーラ少将がスクロールを使用します。
転移魔法により、皆さんの姿も消えました。
ヨホホホホ。これで全員退避完了ですね。
防護魔法の展開を解いた時、土壁で遮られた場所には自分と立ち上がる影のぬしの2人のみが残されました。
「…テメエ、やってくれるじゃねえかよ」
影の主が立ち上がります。
どうやら、発勁はあまり効かなかった様子。その様は平然としていました。
その身体を再び影がまとわりついていきます。
どうやら、迷宮そのものに何らかの関係があるようですね。
今回の敵はかなり得体が知れません。
まとわりつく影といい、このわけのわからない暗い場所といい、謎が多いです。
対峙する影のぬしは、自分のことを睨みつけながら、かすかに表情に思案の色を浮かべます。
観察されているようですね。
「成る程、テメエも異世界から来たとかいう勇者の1人か。ヒヒヒ、逃げられたと思っていたが、代わりが転がり込んできやがった。妙な仮面つけていやがるが、見た所回復職だろ。手前が傷つくこと恐れねえなら時間稼ぎにはもってこいだな、確かに」
冷静に先ほどの攻防を通して、こちらの情勢を分析しています。
血が頭に上りやすいようですが、同時に思考回路はかなり切れるタイプのようですね。
影を自分が治癒魔法を用いて切断した際もさして動揺は見せなかった様子ですので、あの影を壊したところで本体に影響はほとんど無いようです。
発勁を叩き込んた際には一度悲鳴をあげたので全く効かないということは無いと思うのですが、立ち直りがかなり早い様子です。影のぬしもまた、治癒魔法を用いる可能性もあります。
どうにも、魔族や天族、人族とは雰囲気が違うと言いますか、今までこの世界であってきた存在とは何か根本的なことが異なるような、そんな気配を影のぬしからは感じます。
おそらく、魔族とか天族では無いでしょう。ポルックス氏は魔族皇国の元帥、すなわち最上位の将帥ということになります。同格の存在を識別できないということは無いでしょうし、あそこまでためらいなく上官を攻撃することもしないでしょう。ポルックス氏も天族の方も、この影のぬしを見た目は明らかに未知の敵との邂逅にでる表情を浮かべていましたので。同様にティルビッツ氏とエレオノーラ少将も同じ反応を示していました。以上から、この影の主は魔族でも天族でも人族でも無いということが当てはまるはずです。
ならば何者なのかという疑問に行き着きますね。
それに関しては戦ってみてからでないとわかりません。
しかし、人族と見た目は変わらない自分のことを多少観察した程度で勇者と、それも異世界からの勇者と見抜くとは、影の主はかなりの慧眼を持っている様子です。
代わりに転がり込んできたとも称していましたし、六人部さんのこともわかっていたようですね。
そして、今の台詞から影の主は何らかの目的があり、それに異世界からの勇者を用いる必要があるということが判別できます。
あのまま行けば六人部さんのことを殺していたことから察するに、死体でも使用できる何かということなのでしょうか?
影のぬしの目的については不明瞭ですが、推測できることはあります。
前述の通り、影の主は恐らく人族でも魔族でも天族でも無いということ。
影のぬしには何らかの目的があり、そのために異世界からの勇者を必要としていること。自分に狙いを切り替えたことから推察するに、生死は問わず、職種も問わず、性別も問わずでしょう。
そして、異世界という概念を承知しており、その存在を見極めることが可能ということ。これらでしょうか。
兎にも角にも、この森は何らかの迷宮であることは推測できます。
影のぬしの目的がどうであれ、皆さんに向けて見栄を切った以上は、自分は精一杯足止めをさせて頂くとしましょう。
カクさん達のこともありますし。この影の主がひとまずの目標を自分にロックオンしてくれたことはむしろ僥倖です。転移魔法とかで六人部さんを追われてはお手上げでしたから。
「ヨホホホホ。では、参りましょうか」
「ヒヒヒ…てめえごときが俺に挑むってのか? 確かに足止めにはもってこいだがな、回復しか出来ない奴に何ができんだよ!」
影のぬしに対して、初対面ではありますが自分は自己紹介をせずに構えをとります。
今回は少々、いえかなり強いといいますか、性質が違う相手ですので、名乗りは控えて挑むとしましょう。
発勁は効くようですので、今度は強く打ち込んでみますか。
あの表皮の様子を観察するに打撃より斬撃の方が効きそうですが、槍は無くしているので贅沢は申せません。
考えてみれば、『治癒師』の職種に直接的な攻撃を行える機能はないですね。
それを補って余りある恩恵がありますので、この職種を授けていただいたことには深く感謝しております。
ひとまず、保険として蘇生魔法を仕込んでおきましょう。これで一度死んでも復活が可能となります。
ゲームの世界にはあって当然みたいな感覚で普及している蘇生魔法ですが、実際のところ扱える事実には大きな背徳感もあります。生命を弄んでいるような感覚ですね。
そうはいっても、禁忌であろうとも大事な仲間と死別してしまうよりはマシですので自分は遠慮なく使いますが。
外道、と? ヨホホホホ。自分が外道だ下衆だというのはいつものことで、もはやネスティアント帝国の皆さんも承知していることです。むしろ、自分としましてはもっと面と向かって外道呼ばわりして欲しいですな。ヨホホホホ。面だけに。
…申し訳ありません。自分の所為で、一気に気温が下がってしまいました。
「ヒヒヒ。いいぜ、好きなだけ準備しろよ。つっても、どう足掻こうが結果は変わらねえ。お前は死んで生贄、それでダメなら他の勇者を生贄にするだけだ。この迷宮、『魔導の森』でユェクピモ様に勝てる奴は居ねえからなあ!」
余裕の様子の影のぬし、ユェクピモ氏はケラケラと笑いながらさりげなく名乗りもあげました。
ついでに目的もこぼしています。
生贄、ですか。勇者を用いる必要があるというのは、先のユェクピモ氏の発言より推測できます。
そして、迷宮とその名前もこぼしましたね。情報漏えいを嬉々として行うタイプのようですな、ユェクピモ氏は。
それだけ自信があるということでしょう。傲慢になることは、相応の手札を持っているということに他ならないですから。
そういえば、『ユェクピモ』と名乗りましたね、影のぬしは。
この名前はソラメク王国でヨブトリカ王国の方から伝えられた物語に登場する敵役の名前と同じですね。
ユェクピモ。異世界よりの侵食者。英雄重家の敵。
たしかそれによるとユェクピモは現実世界では干渉できない霊のような存在であり、自身はクロノス神の世界を侵略して作り変えた己の世界である迷宮に住まうといわれているそうです。
迷宮の中においては、ユェクピモは無害な存在から無敵の存在となるといいます。
それは迷宮内においてユェクピモは世界そのものであり、創造主としての力を行使できるからとかなんとかと言います。
古い伝説の物語と聞きますが、それを名乗る存在がこうして出てきました。
「ヨホホホホ。本物、ですか?」
「あ? そうか、信じられねえってか?」
念のための確認の意味合いも込めた問いを発します。
伝承におけるユェクピモは怪物だと言いますが、目の前にいるのはまあ人型といえば人型ですから。いつかの下手くそなキメラに比べれば、まだ怪物要素は少なく思えます。
とはいえ、名前といい異質な気配といい、そしてこの迷宮といい、かなり伝承にあるユェクピモに近い要素が多くある存在ですから、本物ということもあるでしょう。
そんな自分の問いに、ユェクピモ氏は鼻を鳴らしました。
「ケッ! くだらない前話に乗るつもりなんぞねえんだよ、ゴキブリ野郎。異世界の勇者だ何だと知らんがな、はっきりしてるのはお前が死ぬことだよ!」
 ユェクピモは、床を蹴って一息に間合いを詰めてきました。
しかしゴキブリ野郎とはひどいい草ですな。ゴキブリに失礼ではないですか!
直情的に突っ込んできたユェクピモの鋭い腕の攻撃をかわして、すれ違いざまに発勁を叩き込みます。
「グア!?」
ユェクピモ氏の声が変わり、再び飛ばされて、石畳の床を転がります。
やはり発勁は効くようですな。先の一撃はかなりの力を込めてありますので、今度は効果があると思うのですが。
そう考えていた自分の視線の先で、ユェクピモから影の塊が抜けて、再び森の周囲の闇から影が伸びてユェクピモの欠損を埋めていきます。
すると、まるで発勁のダメージを切り取って捨てたように、ユェクピモは立ち上がってきました。
「ヒヒヒ…調子に乗んなよ、底辺野郎が。言ったはずだぜ、この魔導の森では俺は無敵、お前が勝てる見込みはないってなぁ!」
「…なるほど」
立ち上がったユェクピモの様子を見て、からくりの1つが判明しました。
ユェクピモはクロノス神の世界では他者に干渉することができないですが、迷宮においてその実体を得たとき認識されることがあるといいます。そこで初めてユェクピモに対して手が出せるようになったという事なのでしょう。
それはつまり、迷宮の中でなければユェクピモを傷つけることはできないということになり、必然的にユェクピモとの戦闘は迷宮内になりがちなのでしょう。
ですが、今の様子を見てわかったことがあります。
この迷宮にたちこめる闇。それがユェクピモに支援を行っているのでしょう。
ユェクピモの世界となっているのだから当然と言えば当然かもしれませんが、それはつまりユェクピモを傷つけるにはユェクピモの作った世界で戦闘を行う必要があるということなのでしょう。
世界に支援を受けた敵と対峙するということになります。なるほど、外では無害、内では最強ということですか。これに関してもヨブトリカ発祥の伝説に出る、ユェクピモに関する伝承と一致しますね。
ここまで証拠を揃えられては認める他ないでしょう。
この異質な気配を纏う敵は、異世界の侵食者であるユェクピモに違いないですね。
そして、それは斬撃だろうと打撃だろうと、効くことには効くものの即座に修復されてしまうということです。
ユェクピモ氏も人のこと言えないと思いますよ。思いっきり、ゾンビ戦法ではないですか。
「ヒヒヒ…お前じゃ、俺には絶対に勝てねえよ」
「もとより勝つことが目的というわけではありませんが、それはそれとしまして。ヨホホホホ。自分を打ち倒さない限り、他の方に危害を加えさせることはいたしませんよ。ヨホホホホ」
余裕のユェクピモ氏に自分も挑発こみの言葉を発します。
すると、ユェクピモ氏の額に青筋が立ちました。
「なんだと、このクズ…! この迷宮で俺様の相手をすることがどういうことか、その身に刻み込んでやる!」
ユェクピモ氏は短気ですな。
まずは小手調べ。煽りつつ発勁などにより攻撃を加えて、効きそうな場所や修復できない弱点などを探りつつ、攻略の順序を立てていきましょう。
襲いかかるユェクピモ氏に、自分は構えをとって迎え撃ちます。
何しろ、扉を突破した先に広がる謎の木々が石造りの周囲に乱立する世界にて、最初に自分の視界に入ってきたのは床に倒れこむ3人の人族の姿と、その先で謎の人型の影に飲み込まれそうになっていたクラスメイトの1人であり、聞こえてきた悲鳴の主である六人部 箕梨さんの姿でした。
影は薄い笑みを浮かべています。
それはまるで、力なく腕を垂らしている六人部さんにとどめを刺そうとしていた様子であり、それを見た自分とポルックス氏と天族の方は同時に動きました。
「な、なんだよテメエら!?」
影が自分たちの乱入に気づいたようで、その表情が大きく狂います。
同時に、六人部さんから意識をそらすことに成功しました。
影が迎撃しようとしますが、その前にポルックス氏と自分が距離を詰めて、六人部さんを飲み込もうとしている黒い腕のようなものを蹴散らし、間一髪で六人部さんを引き離して救出することができました。
ヨホホホホ。油断大敵です。
六人部さんはひどい怪我でした。
腕を通して、影に飲まれた箇所は壊死したように朽ちており、穴だらけとなってしまっており、血がそこから溢れています。
呪いの類でしょうか。物理的な要因以外にその怪我はなんらかの干渉を受けているようでした。
呼吸も浅く、かろうじて意識がある様子ですが、明らかに命に関わります。
即座に腕の中に抱えた六人部さんに治癒魔法と解呪魔法をかけて傷を癒し、回復魔法を用いて失われた血と体力を補填させていきます。
その呼吸が安定したのを確認して、自分はひとまず間に合ったことに息をこぼしました。
「間に合いましたね〜」
「御無事デスカ?」
隣にポルックス氏が到着します。
銃撃を加えて影の意識を引きつけていてくれたようです。
天族の方も鳩さんから元の姿に戻り、他の3人の安全を確保していました。
「うっ…」
甲冑姿の女性、おそらくエレオノーラ少将と思われる兜を外している甲冑姿の女性が意識を取り戻していますが、ティルビッツ氏ともう1人の男性の意識はまだ回復していない様子です。
「クソが…誰だぁ、邪魔してくれたやつはぁ!」
そして、六人部さんを襲っていた影は、怒りの形相を浮かべてこちらを睨みつけてきました。
その身にまとう影が、怒りにより発散されるように広がっていき、その中から姿を現します。
形態は人型だが、その姿は人族とはかけ離れたものでした。
頭髪の代わりに鉄棘のマントみたいなのが頭頂から後頭部にかけてあり、右目があるべき場所には三つの黒く光る球体があります。左目のあるべき場所からはツノが伸びており、側頭部のと合わせていびつな形で双角が伸びています。
身体全体は両生類の様な鱗も毛皮も無い表皮に覆われながら、右腕はワニの鱗のような表皮に覆われており、7つの指からは鋭い鉤爪が伸びていました。
3つの黒い目と、自分の面の下の視線が交錯します。
「ポルックス氏、六人部さんをお願いします!」
「了解デス」
影の主が動くと同時に、自分はすぐさま六人部さんをポルックス氏に向かって投げて託し、自分の方は防護魔法を展開しました。
直後、影が伸びてきて自分の身体を貫通し、そのまま後ろのポルックス氏に伸びていきます。
天族の方とティルビッツ氏たちは防護魔法により影の攻撃から逃れることができたようです。ティルビッツ氏も起きたようですし、東田さんの言っていたウリヤノフ社会党総裁を支えて避難をしています。
ヨホホホホ。なんとか乗り切りました。ここまでくれば大丈夫です。
「湯垣殿!」
影に貫かれた自分を気遣ってくれたようで、ティルビッツ氏が叫んでいます。
ヨホホホホ。これは想定のうちですよ。むしろ貫いてくれなければその方が不都合でした。
自分の身体を貫いた影は、そのままポルックス氏と六人部さんを狙います。
しかし、治癒師の戦い方を知らない者には、その刃を届かせることはさせません。
ヨホホホホ。というわけで、治癒魔法を自分にかけます。
「まず1人だ! ヒャハハ! おら、死ねぇ!」
「ヨホホホホ。まだ0人ですよ」
「なあ!?」
治癒魔法により自分の身体が急速に修復されていきます。
それにより、自分の身体を貫いていた影が、逆に切り取られ、影の魔の手は六人部さんまで届くことなく止まりました。
「ポルックス氏、今のうちに六人部さんを安全なところにお願いします!」
影の主が自分の破天荒なやり方に驚いている隙に、ポルックス氏たちの方にも地面の石畳ごと巻き込んだ巨大で頑強な防護魔法による壁を形成します。
これによりポルックス氏と六人部さんの安全は自分が果てるまでは稼げるでしょう。
「クソが、逃がすか!」
「いいえ、逃げさせていただきます」
そして自分は追いかけようと自分のことを一瞬でも無視した影のぬしの方に瞬く間に間合いを詰め、発勁を初発から叩き込みました。
「ゴアッ!?」
直撃を受けた影の主が吹き飛ばされて床を転がります。
その身体から多数の影が飛び出しました。とはいえ、この場所に広がる闇の中からどこからともなく湧いてきて補充されましたが。
ですが、身体の内部と内臓にダメージを負う発勁であれば効いているはずでしょう。
そして、その隙に天族の方と向こう側の皆さんも動きます。
エレオノーラ少将を中心に、天族の方がアイリスの加護とか言っていた光の輪を盾として集まります。
「湯垣殿、ご無事ですか!?」
ティルビッツ氏の声に、自分は床に転がる影のぬしと彼らの間に立ちふさがるように駆けつけてから、ティルビッツ氏の声に頷きます。
「ヨホホホホ。自分はしぶとさが取り柄に近いですからね。ゴキブリ戦法を駆使する回復要員というやつです。ヨホホホホ」
「勇者殿」
エレオノーラ少将から声がかかりました。
エレオノーラ少将の素顔を見るのは今が初めてですが、戦闘中につきいちいち深く見ているわけにもいきません。第一、顔を隠しているのは自分も同じですので。しかもまだ素顔をさらしてませんし。
自分にとっては面こそが素顔なのです。ヨホホホホ。
ティルビッツ氏がウリヤノフ社会党総裁を支えて揃ったところで、エレオノーラ少将が甲冑の中から何らかの魔法が組み込まれていると思われる巻物を取り出しました。
「勇者殿、近くに。転移の魔法を組み込んだスクロールだ。今のうちにこれで離脱する」
エレオノーラ少将はスクロールを使用して、その場から離脱するようです。
ヨホホホホ。それならば大丈夫でしょう。
自分は頷きました。
「ヨホホホホ。では、皆さんも早く退避をお願いします」
「勇者殿?」
エレオノーラ少将が何を言ってるんだ?みたいな顔を向けてきました。
あれ? 何か違いますか?
…自分も一緒にということでしょうか? 
それはありがたいのですが、残念ながらあの敵に対しては抑えが必要です。
「ヨホホホホ。自分はここに残ってあの敵を足止めしなければなりません。おそらくカクさんたちはこの森のどこかにいます。加勢が必要なのは彼らの方でしょうから、早く行ってください」
気配でここにカクさん達がいることは把握できています。
そして、その近くにあの影と似たような、それでいながら違う、そして強大な気配を感じ取っています。明らかに、カクさん達には加勢が必要であり、同時に目の前の影のぬしを行かせるわけにはいきません。
なので、自分はここに残って皆さんを影ながら援護するというわけです。
影相手なだけに。ヨホホホホ。
…スミマセンでした。
「湯垣殿、しかし–––––」
なおも言い募ろうとするティルビッツ氏に、1つの薬を生成して渡します。
「ヨホホホホ。大丈夫ですよ、自分は。足止め程度であればできますとも。代わりにこの薬を持って行ってください。自分の職種しか扱えない女神様より授かりし貴重な『蘇生魔法』が込められている薬です。必要になるかどうかはわかりませんが、皆さんには必要でしょう」
「湯垣殿…」
影の主が立ち上がります。
自分はそれに対して、彼らの前にも防護魔法を展開して壁とします。
そして、ジェスチャーで早く行ってと伝えました。
それを見た彼らには、もう迷いはなくなったようでした。
エレオノーラ少将がスクロールを使用します。
転移魔法により、皆さんの姿も消えました。
ヨホホホホ。これで全員退避完了ですね。
防護魔法の展開を解いた時、土壁で遮られた場所には自分と立ち上がる影のぬしの2人のみが残されました。
「…テメエ、やってくれるじゃねえかよ」
影の主が立ち上がります。
どうやら、発勁はあまり効かなかった様子。その様は平然としていました。
その身体を再び影がまとわりついていきます。
どうやら、迷宮そのものに何らかの関係があるようですね。
今回の敵はかなり得体が知れません。
まとわりつく影といい、このわけのわからない暗い場所といい、謎が多いです。
対峙する影のぬしは、自分のことを睨みつけながら、かすかに表情に思案の色を浮かべます。
観察されているようですね。
「成る程、テメエも異世界から来たとかいう勇者の1人か。ヒヒヒ、逃げられたと思っていたが、代わりが転がり込んできやがった。妙な仮面つけていやがるが、見た所回復職だろ。手前が傷つくこと恐れねえなら時間稼ぎにはもってこいだな、確かに」
冷静に先ほどの攻防を通して、こちらの情勢を分析しています。
血が頭に上りやすいようですが、同時に思考回路はかなり切れるタイプのようですね。
影を自分が治癒魔法を用いて切断した際もさして動揺は見せなかった様子ですので、あの影を壊したところで本体に影響はほとんど無いようです。
発勁を叩き込んた際には一度悲鳴をあげたので全く効かないということは無いと思うのですが、立ち直りがかなり早い様子です。影のぬしもまた、治癒魔法を用いる可能性もあります。
どうにも、魔族や天族、人族とは雰囲気が違うと言いますか、今までこの世界であってきた存在とは何か根本的なことが異なるような、そんな気配を影のぬしからは感じます。
おそらく、魔族とか天族では無いでしょう。ポルックス氏は魔族皇国の元帥、すなわち最上位の将帥ということになります。同格の存在を識別できないということは無いでしょうし、あそこまでためらいなく上官を攻撃することもしないでしょう。ポルックス氏も天族の方も、この影のぬしを見た目は明らかに未知の敵との邂逅にでる表情を浮かべていましたので。同様にティルビッツ氏とエレオノーラ少将も同じ反応を示していました。以上から、この影の主は魔族でも天族でも人族でも無いということが当てはまるはずです。
ならば何者なのかという疑問に行き着きますね。
それに関しては戦ってみてからでないとわかりません。
しかし、人族と見た目は変わらない自分のことを多少観察した程度で勇者と、それも異世界からの勇者と見抜くとは、影の主はかなりの慧眼を持っている様子です。
代わりに転がり込んできたとも称していましたし、六人部さんのこともわかっていたようですね。
そして、今の台詞から影の主は何らかの目的があり、それに異世界からの勇者を用いる必要があるということが判別できます。
あのまま行けば六人部さんのことを殺していたことから察するに、死体でも使用できる何かということなのでしょうか?
影のぬしの目的については不明瞭ですが、推測できることはあります。
前述の通り、影の主は恐らく人族でも魔族でも天族でも無いということ。
影のぬしには何らかの目的があり、そのために異世界からの勇者を必要としていること。自分に狙いを切り替えたことから推察するに、生死は問わず、職種も問わず、性別も問わずでしょう。
そして、異世界という概念を承知しており、その存在を見極めることが可能ということ。これらでしょうか。
兎にも角にも、この森は何らかの迷宮であることは推測できます。
影のぬしの目的がどうであれ、皆さんに向けて見栄を切った以上は、自分は精一杯足止めをさせて頂くとしましょう。
カクさん達のこともありますし。この影の主がひとまずの目標を自分にロックオンしてくれたことはむしろ僥倖です。転移魔法とかで六人部さんを追われてはお手上げでしたから。
「ヨホホホホ。では、参りましょうか」
「ヒヒヒ…てめえごときが俺に挑むってのか? 確かに足止めにはもってこいだがな、回復しか出来ない奴に何ができんだよ!」
影のぬしに対して、初対面ではありますが自分は自己紹介をせずに構えをとります。
今回は少々、いえかなり強いといいますか、性質が違う相手ですので、名乗りは控えて挑むとしましょう。
発勁は効くようですので、今度は強く打ち込んでみますか。
あの表皮の様子を観察するに打撃より斬撃の方が効きそうですが、槍は無くしているので贅沢は申せません。
考えてみれば、『治癒師』の職種に直接的な攻撃を行える機能はないですね。
それを補って余りある恩恵がありますので、この職種を授けていただいたことには深く感謝しております。
ひとまず、保険として蘇生魔法を仕込んでおきましょう。これで一度死んでも復活が可能となります。
ゲームの世界にはあって当然みたいな感覚で普及している蘇生魔法ですが、実際のところ扱える事実には大きな背徳感もあります。生命を弄んでいるような感覚ですね。
そうはいっても、禁忌であろうとも大事な仲間と死別してしまうよりはマシですので自分は遠慮なく使いますが。
外道、と? ヨホホホホ。自分が外道だ下衆だというのはいつものことで、もはやネスティアント帝国の皆さんも承知していることです。むしろ、自分としましてはもっと面と向かって外道呼ばわりして欲しいですな。ヨホホホホ。面だけに。
…申し訳ありません。自分の所為で、一気に気温が下がってしまいました。
「ヒヒヒ。いいぜ、好きなだけ準備しろよ。つっても、どう足掻こうが結果は変わらねえ。お前は死んで生贄、それでダメなら他の勇者を生贄にするだけだ。この迷宮、『魔導の森』でユェクピモ様に勝てる奴は居ねえからなあ!」
余裕の様子の影のぬし、ユェクピモ氏はケラケラと笑いながらさりげなく名乗りもあげました。
ついでに目的もこぼしています。
生贄、ですか。勇者を用いる必要があるというのは、先のユェクピモ氏の発言より推測できます。
そして、迷宮とその名前もこぼしましたね。情報漏えいを嬉々として行うタイプのようですな、ユェクピモ氏は。
それだけ自信があるということでしょう。傲慢になることは、相応の手札を持っているということに他ならないですから。
そういえば、『ユェクピモ』と名乗りましたね、影のぬしは。
この名前はソラメク王国でヨブトリカ王国の方から伝えられた物語に登場する敵役の名前と同じですね。
ユェクピモ。異世界よりの侵食者。英雄重家の敵。
たしかそれによるとユェクピモは現実世界では干渉できない霊のような存在であり、自身はクロノス神の世界を侵略して作り変えた己の世界である迷宮に住まうといわれているそうです。
迷宮の中においては、ユェクピモは無害な存在から無敵の存在となるといいます。
それは迷宮内においてユェクピモは世界そのものであり、創造主としての力を行使できるからとかなんとかと言います。
古い伝説の物語と聞きますが、それを名乗る存在がこうして出てきました。
「ヨホホホホ。本物、ですか?」
「あ? そうか、信じられねえってか?」
念のための確認の意味合いも込めた問いを発します。
伝承におけるユェクピモは怪物だと言いますが、目の前にいるのはまあ人型といえば人型ですから。いつかの下手くそなキメラに比べれば、まだ怪物要素は少なく思えます。
とはいえ、名前といい異質な気配といい、そしてこの迷宮といい、かなり伝承にあるユェクピモに近い要素が多くある存在ですから、本物ということもあるでしょう。
そんな自分の問いに、ユェクピモ氏は鼻を鳴らしました。
「ケッ! くだらない前話に乗るつもりなんぞねえんだよ、ゴキブリ野郎。異世界の勇者だ何だと知らんがな、はっきりしてるのはお前が死ぬことだよ!」
 ユェクピモは、床を蹴って一息に間合いを詰めてきました。
しかしゴキブリ野郎とはひどいい草ですな。ゴキブリに失礼ではないですか!
直情的に突っ込んできたユェクピモの鋭い腕の攻撃をかわして、すれ違いざまに発勁を叩き込みます。
「グア!?」
ユェクピモ氏の声が変わり、再び飛ばされて、石畳の床を転がります。
やはり発勁は効くようですな。先の一撃はかなりの力を込めてありますので、今度は効果があると思うのですが。
そう考えていた自分の視線の先で、ユェクピモから影の塊が抜けて、再び森の周囲の闇から影が伸びてユェクピモの欠損を埋めていきます。
すると、まるで発勁のダメージを切り取って捨てたように、ユェクピモは立ち上がってきました。
「ヒヒヒ…調子に乗んなよ、底辺野郎が。言ったはずだぜ、この魔導の森では俺は無敵、お前が勝てる見込みはないってなぁ!」
「…なるほど」
立ち上がったユェクピモの様子を見て、からくりの1つが判明しました。
ユェクピモはクロノス神の世界では他者に干渉することができないですが、迷宮においてその実体を得たとき認識されることがあるといいます。そこで初めてユェクピモに対して手が出せるようになったという事なのでしょう。
それはつまり、迷宮の中でなければユェクピモを傷つけることはできないということになり、必然的にユェクピモとの戦闘は迷宮内になりがちなのでしょう。
ですが、今の様子を見てわかったことがあります。
この迷宮にたちこめる闇。それがユェクピモに支援を行っているのでしょう。
ユェクピモの世界となっているのだから当然と言えば当然かもしれませんが、それはつまりユェクピモを傷つけるにはユェクピモの作った世界で戦闘を行う必要があるということなのでしょう。
世界に支援を受けた敵と対峙するということになります。なるほど、外では無害、内では最強ということですか。これに関してもヨブトリカ発祥の伝説に出る、ユェクピモに関する伝承と一致しますね。
ここまで証拠を揃えられては認める他ないでしょう。
この異質な気配を纏う敵は、異世界の侵食者であるユェクピモに違いないですね。
そして、それは斬撃だろうと打撃だろうと、効くことには効くものの即座に修復されてしまうということです。
ユェクピモ氏も人のこと言えないと思いますよ。思いっきり、ゾンビ戦法ではないですか。
「ヒヒヒ…お前じゃ、俺には絶対に勝てねえよ」
「もとより勝つことが目的というわけではありませんが、それはそれとしまして。ヨホホホホ。自分を打ち倒さない限り、他の方に危害を加えさせることはいたしませんよ。ヨホホホホ」
余裕のユェクピモ氏に自分も挑発こみの言葉を発します。
すると、ユェクピモ氏の額に青筋が立ちました。
「なんだと、このクズ…! この迷宮で俺様の相手をすることがどういうことか、その身に刻み込んでやる!」
ユェクピモ氏は短気ですな。
まずは小手調べ。煽りつつ発勁などにより攻撃を加えて、効きそうな場所や修復できない弱点などを探りつつ、攻略の順序を立てていきましょう。
襲いかかるユェクピモ氏に、自分は構えをとって迎え撃ちます。
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