精霊物質の精霊執行官<エンフォーサー>

loop55

全ての始まり

ー10年前ー

辺り一体が緑に囲まれ、心地よい日光と共に木の葉をななびかせる風が吹いていた。

そんな自然豊かな場所に相反している男女三人がいた。

1人は黒いスーツに身を包み2人を見守っていた。

その先には年不相応な銀色の回転式拳銃を持った少年。

一方の少女もこれまた年不相応の銀色の日本刀を持った少女だった。

静けさの中、それは刹那の出来事であった。

ババッ、バババッ!

ヒュッン、ヒュッン!

銃弾や氷の塊が交差していた。

少年は銃弾を放ち、少女の周りには氷の塊が浮遊していた。

ドシーン、ガリーン!

ヒューン、ガリーン!

二人の放った銃弾や氷の塊はそれぞれ避けたり、撃ち墜としていた。

実力はほぼ互角と言えたため、勝敗には時間がかかると思われた。

だが、少女が銃弾を撃ち墜とすより先に少年は氷の塊を無力化していた。

そして、少年の下には魔法陣が展開された。

ーフゥーンー、ヒュッーン!

少女が銃弾を全て撃ち墜とし終わったと同時に魔法陣は軽く光を上げた時、少年はその場には微かに残った残像しか無かった。

次に少年を視認出来たのは少女の後ろで拳銃を構えている姿だった。

だが、少年は引き金トリガーを引かなかった。

「俺の勝ちだな」

少年は拳銃を上に向けた。

少女は日本刀を下へと降ろした。

「あーもうっ!今日こそ勝てると思ったのにー。少しは手加減してよー」

少女はほっぺたを膨らませていた。

その姿はまるで人形であった。

「手加減したら怒る癖に」

そこへ、見守っていた一人の女性が座っているベンチへと向かい腰掛けた。

「二人とも良くここまで頑張ったわね。
悠夜は基礎執行シフト上手く使えるようになってくれたからお母さん、安心したわよ」

少年の頭を撫でていた。

「うん!」

少年は無邪気に喜んでいた。
そして、女性は少女の頭も撫で始めていた。

「〜〜ちゃんも強くなったわね。ちょっと前まで氷の制御が出来なかったのにここまで自在に操れるようになっていてびっくりしたわよ」

「ありがと!おばさん!」

女性は少年と少女の無垢な笑みに微笑んでいた。

プルルル、プルルル

女性のポケットにあるスマホから着信音が鳴っていた。

「分かったわ」

女性は頷きスマホを切っていた。

「お母さん、そろそろ時間みたい。ごめんね。悠弥、〜〜ちゃん」

少年と少女の顔が曇り、今にも泣きだしそうだった。
確かに普通の少年少女が駄々をこねることかもしれないが、これは普通とは・・・・訳が違った。

少年は涙声で言った。

「もう、会えないの・・・・」

「ごめんね。お母さん達のせいで悠弥に辛い思いさせて」

その返答はもう、表向きでは会えないと言う答えになっていた。

「最後に二人にプレゼントよ。家に帰ったら開けなさい」

そうして、二人へと大小の大きさの違う木箱を渡した。

「それじゃあね、悠弥、〜〜ちゃん」

そして、間髪明けず去っていった。

女性の目には涙がうかんでいた。

それと同様に少年にも涙がうかんでいた。

そして、女性は遠くへと消えていった。

「大丈夫、悠君」

少女は少年へと寄り添っていた。

隣には今にも大声で泣き出しそうな少年がいたのだった。

「・・うん・・」

「無理しなくても良いんだよ。泣きたいたら泣いたらいいと思う。私が傍にいるからね」

うわーーーーーん!

その言葉を聞いた途端、少年は少女に抱きつき泣き叫び始めた。

少年は限界まで我慢していたためこの言葉ひとつで何もかもが壊れさっていた。


数分後

少年は泣き止んだが、目は真っ赤に腫れ上がっていた。

「ありがと、〜〜ちゃん。もう大丈夫だから」

「うん。それでさ、これから悠君はどうするの?」

「父さんと東京に行くよ。もう、京都ここにはいらねないから」

それを聞いて少女は落胆していた。そして、悲しそうな声で訊いていた。

「そう、なんだ・・。それじゃ、離れ離れだね・・・・」

それは事実上、もう逢えないということだった。

「う、うん」

「「・・・・」」

二人の間に何にも音のない、ただ、草木が風に揺れる音だけだった。

その時、少年は大きく息を吸い込んだ。

それは、何かをここに決心したように見えた。

そして、少年は少し不安そうな表情を見せた。

「ね、ねぇ。もしさ、この先どこかで再会したらさ・・」

「うん」

「ぼ、僕のお嫁さんになってよ!//」

少年は下を向いていたがこの瞬間、少女の方を、じっと見つめた。

ダメかもしれないというさっきまでの不安を物ともしない真っ直ぐとした眼差しで。

「・・・・」

少女の顔はまるで林檎のようにみるみる紅くなっていた。

それを隠すかのように下を向いていた。

だが、少年にはそれが困っているように見えた。

それをフォローするようにこう言った。

「嫌なら無理しなくていいから。だけど、これだけは最後に伝えたったかった・・」

「・やじゃない//」

「?」

少年にはそれが聞き取れなかった。

それを察して少女はもう一度言った。

「だから、その嫌じゃない//」

「え?」

少女は人差し指同士を付けたり離したりしていた。

「だ、だって、私、悠君のこと好きだったから・・//」

「本当に?」

「うん。再会したら‥‥悠君のお嫁さんになる//」

「僕が〜〜ちゃんを絶対に見つけ出すから。その時まで待っててよ」

「うん!約束だよ!それまで、お別れだね悠君‥‥」

少女にはさっきとは打って変わって笑顔が見えた。



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