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好嫌生死喜怒哀楽

香月 玄_コウヅキ ハル

進行

 私が大人になるまで、そう遠くはないんだろう。
遠くはないそれまでの日々を、歩く歩く。


 私の好きな、ある作家がいた。
彼女は物語の中で云った。
“地獄への道は、善意で舗装されているんだ”と。
それなら私が歩いているこの道は、父なる神のもとである天へと続いているのだろうか。


 私
歩く歩く歩く
ずっとずっと
歩いてた。


 でも、そろそろ疲れたんだ。
だから、でも、私はノロノロ歩く。
手首には緋い一線。

 先の見えない全てに、
絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望絶望
辛いしうざったいし、全くもう駄目かもしれない。
死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。




 もう、疲れた。




『さぁ、この腐った世界に革命を!この美しい世界に変革を!』
 そんな私に、あるひとがそう言って手を差し伸べてくれた。

『ねぇ、こんな言葉を知ってる?
“時が物事を変えるって人はいうけど、実際は自分で変えなくちゃいけないの。
___アンディ・ウォーホル”
変えよう、クソみたいなこの美しい世界を。
今、変えよう。
子供の僕達に変えることが出来るのは、とても小さな範囲だけど。
残念なことに大人になっても僕達人間は“時”には勝てない。
だけど何もしないよりはいいと思う。
人間だって…子供だって、何か出来ると思うんだ』
 そう言ってくれた私の好きなあのひとが、死んだ。


 立ち止まれなかった。

 立ち止まりたくなかった。


「大丈夫、まだ進める。
あのひとが途中まで一緒歩いてくれた道だ。
疲れたら誰か探して寄りかかろう。何も恥ずかしがることなんか、ない」



 私が立ち止まりそうになったあの時、彼と出会えたように、歩いていればまた道の途中で“大切になるかもしれない誰か”に出会えるかもしれない。




だから











さぁ、
今日も
歩こうか。

(End)




“私”はきっと探していた、求めてたんだ。
心の支えを。

“彼”は言った。
『強い者こそ下手(したて)であれ、謙虚であれ!
弱い者は卑屈になるな。
なにを世界の全てをわかったような気でいる?
ほら見てよ、まだ先は長いじゃん』


あぁそうだ、
“私”はまだ何も知らない。


“私”は未だ“彼”の事は忘れられない。

だけど、

だからこそ、進めるんだろう。

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