Ghost crown ~普通、死霊の僕に子供を預けますか?~
第四話 朝食はゴブリン!?
*****
さて、あの二人が起きる前に軽く朝食をこしらえることにする。
先ずは食材の説明から―――
・取れたて小鬼……一匹
・シロダケ……二本
・醤葉……少量
・チャダケ……四本
・苳房……少量
はじめに、焚き火に火を着け、その上に水の入った鍋を念力で浮かせます。水を沸騰させると、その中へ小鬼の腕と足、シロダケを二本入れます。
小鬼は普通に焼いただけでは苦くて美味しくは無い。しかし、塩分を多く含んだシロダケと一緒に湯通しする事であの独特な苦味を取ることが出来る。
濃い緑色の小鬼が薄緑になったのを確認し、鍋から取り出すと、石と鉄の板で作ったかまどの上に置く。そして、醤葉を念力で絞り、垂れた焦げ茶色の液体を小鬼にかけた。すると、辺りには香ばしい臭いが漂う。んー良い香りだ。鼻がなくて感じないけど。
焼いている間にもう一品。朝から肉だけ! ってのも喉を通らないだろうから、スープを作ることにする。
先ほどの湯通しに使った水とシロダケは捨て、新しい水を組むと再び沸騰させる。今回は沸騰まで待たずに冷えた水と一緒にチャダケを入れます。このチャダケは冷えたまま食べると食えたものじゃないが、水と一緒に暖めるとだんだん溶けていき、チャダケが溶けた水は甘くコクがある飲み物として、町などでは人気の飲み物だ。
沸騰して、チャダケが溶けるとその中に苳房を入れる。苳房は直径3㎝長さ2mの植物で、日の良く当たる場所でまるで天を目指すかのように真っ直ぐ生えている。この苳房は僕の好物で、スープや煮込み料理など何でも使える。良く出汁を吸うのだ。
苳房はチャダケが溶けた水を吸い込み、黄緑色をした自らの体を薄茶色へと染めた。
夜中村にある家から持ってきた、木の器にそれぞれの料理を盛り付け完成である。
『小鬼ステーキとチャダケスープの出来上がり! 何てね』
時刻は夜明け前、大体5時ぐらいか。村の農民は起きて身支度する時間だし、兵士たちも朝稽古で上官にしごかれ始める頃だろう。
生前の僕は良く礼拝堂で祈りを捧げてたんだったな。今となっては祈る姿勢すら出来ないし、祈りを捧げて神聖属性の魔力を浴びたら消滅しそうだからやらないけど。
『二人の様子を見てくるか』
そう呟いて、小屋へ向かった。
*****
殺風景で何にも特徴と言う特徴が無い、木で出来た小屋の扉を開ける。昨日幼女が座っていた椅子には誰も居らず、ベッドで二人スヤスヤと眠っていた。
やっとあの子も眠ってくれたみたいだ。僕が近づくと母親が目を覚まし驚いたように起き上がる。
「ここは!?……!?」
どうやら何故ここで寝ているのか分かっていないようだ。そして、僕を見るなり口を開いて言葉が出ないと言わんばかりの表情で見つめられた。
起きて目の前にゴースト居れば、そりゃホラー物だしね。人間先ずは第一印象が大事なのは知っている。僕は出来るだけ言葉を選び発言することを決めた。
『えーと、気が付きましたかご婦人。僕の名前はマーリン。昨日始末した大烏に大体の事情は聞きました。僕は敵ではありませんのでどうか警戒なさらずに』
彼女はポカンとした表情をすると、息を呑み口を動かした。
「………どうやらそうみたいですね。助けてくださりありがとうございます、九賢者が一人『白聖のマーリン』様。お初にお目にかかれて光栄です」
納得したのか? いやいや、それに生前呼ばれた『白聖』の二つ名は名乗っていないのに、何故分かった? 今のこの姿は魔物のゴーストだし、たとえ生前の二つ名を名乗られたって疑うようなものだ。何者だこの人。
僕は咄嗟に彼女に対して、鑑定を発動させた。
【鑑定levelが足りません】
何ですと!? 鑑定耐性持ちですか、ただのご婦人ではないらしい。
「あぁ…… 私とした事が…… すみません。いつもの癖で鑑定を使ってしまいました。ステータスを覗いたことは謝ります」
『いえ、お気になさらず。少し驚いただけです。 それに僕も鑑定してしまいましたし…… 弾かれましたけど。貴女のお名前を聞いても?』
「失礼しました。私はアレミラと言います。マーリン様の鑑定が弾かれるということはこの指輪に高いお金を払ったかいがあったと言うことですね」
彼女、アレミラが小指にはめた指輪を見せる。サファイアが埋め込まれたあまり装飾の少ない指輪だった。
『なるほど、マジックアイテムですか』
マジックアイテム、あらゆる効果や能力を装備者に与える魔法の道具。作成するにも見つけるにも時間と労力がかかり、その値段に平民にはとても手が出せない。
それを買ったと言ったアレミラさんは、それなりの生まれ、または位の人なのだろう。
「はい。それよりマーリン様。私が寝ていた間の経緯と、前マーリン様が倒された大烏の話をしていただけませんか?」
さて、あの二人が起きる前に軽く朝食をこしらえることにする。
先ずは食材の説明から―――
・取れたて小鬼……一匹
・シロダケ……二本
・醤葉……少量
・チャダケ……四本
・苳房……少量
はじめに、焚き火に火を着け、その上に水の入った鍋を念力で浮かせます。水を沸騰させると、その中へ小鬼の腕と足、シロダケを二本入れます。
小鬼は普通に焼いただけでは苦くて美味しくは無い。しかし、塩分を多く含んだシロダケと一緒に湯通しする事であの独特な苦味を取ることが出来る。
濃い緑色の小鬼が薄緑になったのを確認し、鍋から取り出すと、石と鉄の板で作ったかまどの上に置く。そして、醤葉を念力で絞り、垂れた焦げ茶色の液体を小鬼にかけた。すると、辺りには香ばしい臭いが漂う。んー良い香りだ。鼻がなくて感じないけど。
焼いている間にもう一品。朝から肉だけ! ってのも喉を通らないだろうから、スープを作ることにする。
先ほどの湯通しに使った水とシロダケは捨て、新しい水を組むと再び沸騰させる。今回は沸騰まで待たずに冷えた水と一緒にチャダケを入れます。このチャダケは冷えたまま食べると食えたものじゃないが、水と一緒に暖めるとだんだん溶けていき、チャダケが溶けた水は甘くコクがある飲み物として、町などでは人気の飲み物だ。
沸騰して、チャダケが溶けるとその中に苳房を入れる。苳房は直径3㎝長さ2mの植物で、日の良く当たる場所でまるで天を目指すかのように真っ直ぐ生えている。この苳房は僕の好物で、スープや煮込み料理など何でも使える。良く出汁を吸うのだ。
苳房はチャダケが溶けた水を吸い込み、黄緑色をした自らの体を薄茶色へと染めた。
夜中村にある家から持ってきた、木の器にそれぞれの料理を盛り付け完成である。
『小鬼ステーキとチャダケスープの出来上がり! 何てね』
時刻は夜明け前、大体5時ぐらいか。村の農民は起きて身支度する時間だし、兵士たちも朝稽古で上官にしごかれ始める頃だろう。
生前の僕は良く礼拝堂で祈りを捧げてたんだったな。今となっては祈る姿勢すら出来ないし、祈りを捧げて神聖属性の魔力を浴びたら消滅しそうだからやらないけど。
『二人の様子を見てくるか』
そう呟いて、小屋へ向かった。
*****
殺風景で何にも特徴と言う特徴が無い、木で出来た小屋の扉を開ける。昨日幼女が座っていた椅子には誰も居らず、ベッドで二人スヤスヤと眠っていた。
やっとあの子も眠ってくれたみたいだ。僕が近づくと母親が目を覚まし驚いたように起き上がる。
「ここは!?……!?」
どうやら何故ここで寝ているのか分かっていないようだ。そして、僕を見るなり口を開いて言葉が出ないと言わんばかりの表情で見つめられた。
起きて目の前にゴースト居れば、そりゃホラー物だしね。人間先ずは第一印象が大事なのは知っている。僕は出来るだけ言葉を選び発言することを決めた。
『えーと、気が付きましたかご婦人。僕の名前はマーリン。昨日始末した大烏に大体の事情は聞きました。僕は敵ではありませんのでどうか警戒なさらずに』
彼女はポカンとした表情をすると、息を呑み口を動かした。
「………どうやらそうみたいですね。助けてくださりありがとうございます、九賢者が一人『白聖のマーリン』様。お初にお目にかかれて光栄です」
納得したのか? いやいや、それに生前呼ばれた『白聖』の二つ名は名乗っていないのに、何故分かった? 今のこの姿は魔物のゴーストだし、たとえ生前の二つ名を名乗られたって疑うようなものだ。何者だこの人。
僕は咄嗟に彼女に対して、鑑定を発動させた。
【鑑定levelが足りません】
何ですと!? 鑑定耐性持ちですか、ただのご婦人ではないらしい。
「あぁ…… 私とした事が…… すみません。いつもの癖で鑑定を使ってしまいました。ステータスを覗いたことは謝ります」
『いえ、お気になさらず。少し驚いただけです。 それに僕も鑑定してしまいましたし…… 弾かれましたけど。貴女のお名前を聞いても?』
「失礼しました。私はアレミラと言います。マーリン様の鑑定が弾かれるということはこの指輪に高いお金を払ったかいがあったと言うことですね」
彼女、アレミラが小指にはめた指輪を見せる。サファイアが埋め込まれたあまり装飾の少ない指輪だった。
『なるほど、マジックアイテムですか』
マジックアイテム、あらゆる効果や能力を装備者に与える魔法の道具。作成するにも見つけるにも時間と労力がかかり、その値段に平民にはとても手が出せない。
それを買ったと言ったアレミラさんは、それなりの生まれ、または位の人なのだろう。
「はい。それよりマーリン様。私が寝ていた間の経緯と、前マーリン様が倒された大烏の話をしていただけませんか?」
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