少年愛玩ドール

成瀬瑛理

怒り

彼は自身のコレクションルームに入ると、持っているステッキで飾っている花瓶を叩き割った。そして、怒りを爆発させるように手当たり次第に集めた骨董品を壊し始めたのだった。
「アーバンのやつ、私を裏切ったな! 私に愛玩ドールを与えておきながらも、それを私から取り上げるとは……! よくもピノを……! 私のドールを返せぇーっ!!」
彼は裏切られた気持ちで一杯になると、物を壊して憂さ晴らしをした。それを見ていたパーカスも、彼の怒りに触れてはならないと黙ってそこに佇んだ。ローゼフは部屋中を荒らすと、不意に目の前にフォントボーの鏡に気がついた。そこに映っていたのは、怒りに染まっている自分の顔だった。彼はハッとして我に帰ると、酷い嫌悪感に襲われた。ピノを拐われたあまりに、彼は自分を見失っていたことにようやく気がついた。彼は持っているステッキを床に落とすと鏡の前に佇んだ。
「どうか頼む! 私に教えてくれフォントボーの鏡よ、ピノは今どこにいる……!? 頼むからあの時みたいに教えてくれ……!」
彼は鏡に触れると切実に祈った。馬鹿げていると思うが、それに頼るしかなかった。前、鏡は彼にピノの居場所を教えてくれた。今回も居場所を自分に教えてくれるんじゃないかとわずかに期待した。でも、いくら祈っても鏡は応答しなかった。ローゼフはガックリと肩を落とすと、そこにしゃがみこんでため息をついた。
「フッ……。私は一体、何をやっているのだ……。おとぎ話に出てくる鏡ではあるまいし、鏡が人の声に反応するなどあり得ない……」
ローゼフは酷く落ち込むと、ピノを失ったショックで自分の頭を抱え込んだ。
「ああ、ピノ……! すまなかった……! どうか私を許してくれ、オーランドの罠に引っ掛かるなどとはどうかしている……! もっと早くに気がつくべきだった! それなのに私は……! くそっ! あの時、お前から傍から離れるんじゃなかった! ああ、私のピノ……! どうか無事でいてくれ……!」
彼は祈るような気持ちでピノのことを強く思った。するといきなり鏡の中から母の声が突然、聞こえてきた。

「少年愛玩ドール」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く