少年愛玩ドール

成瀬瑛理

閉ざされた過去

「そうだ。全員消えればいい……。いなくなればいいんだ……。僕を影で笑っていた奴も……。僕を馬鹿にしていた奴も……。心配するフリして本当は楽しんでいた奴も……。僕の悪口をみんなに言ってた奴も、みんなみんな消えればいい……! そして誰もいなくなって僕は初めて心から穏やかになれるんだ……! そうだ。だから僕はみんなから遠ざかるんだ。初めから誰とも会わなければ、傷つかずにすむから…――」
心を閉ざしてゆく自分の姿を垣間見ると、ローゼフは不意に呟いた。
「そうだ……。ここは私が作り上げた空っぽの世界だ。誰もいない私だけの空っぽの世界…――」
彼はそう呟くと辺りを見渡した。 すると、周りは彼の部屋に形をかえた。
「私は父と母をいっぺんに亡くして、ずっと孤独だった。でも、その孤独も自分が作り上げたんだ。私はあの時、まだ幼かった。そして、信じれる者は誰もいなかった……。だから私は心に壁を作ってまわりから遠ざかった。信じることも傷つくことも怖かったからだ……。ピノが私の所に来てからは、少しは自分の世界が変わったようにみえた。でも、何も変わらなかった。ピノは私のもとから消えた……。やはり私は孤独なままだった…――」
彼は暗闇の中でポツリと呟くと、悲しげな顔でそこに佇んだ。すると後ろからピノの声が聞こえてきた。
「ローゼフ……」
「ああ、ピノ……! ここにいたのか! 探したぞ! もうどこにも行くな……!」
ローゼフは抱き締めようと咄嗟に両手を伸ばした。すると突然、ピノは泡のように弾けた。
「あ、あぁ……! ピノ……! ピノ……! ピノォ――ッ!!」
彼は悲痛な声でピノの名前を呼んで叫んだ。すると次の瞬間、ベッドの上でパッと目覚めたのだった。

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