少年愛玩ドール

成瀬瑛理

閉ざされた過去

ローゼフの意思とは関係無しにもう1人の自分の声が暗闇の中の光景から聞こえてきた。
「これは嘘だ……! 父上と母上は死んでなんかいない……!」
もう1人の自分は深い悲しみに暮れると、祭壇の上に置かれていた薔薇を全て払い除けて泣き叫んだ。
「父上ーっ! 母上ーっ! ワァアアアアアッ! どうして私をおいて逝ったのですか! 私も一緒に……!」
もう1人の自分は取り乱したように叫ぶと、床に両手をついて泣き叫んだ。ローゼフはその様子を暗闇の中で呆然と見つめた。自分の中で思い出したくもない辛い過去を記憶の底から掘り返されると、彼は言葉を失って悲しんだ。すると、また暗闇の中でヒソヒソと声が聞こえてきた。
「彼はもう何年も屋敷に閉じ籠ってるそうじゃないか、亡くなった両親のことがよほどショックだったんだろう。しかし、いつまでもってわけにはいかないだろう。彼に付き添っているパーカスが気の毒に――」
ローゼフは暗闇の中から聞こえてくる声に言い返した。
「お前達に一体何がわかる……! お前達は父と母が死んだあと、私の財産目当てで近づいてきた癖に……! お前ら汚れた大人は人の弱味につけこんで、私から財産を奪おうとした! そして私が孤独で寂しかった時、手すら差し伸べなかった癖に笑わせるな! お前達なんて私の世界から消えればいい!」
ローゼフは暗闇に向かって叫ぶと、自分の中でおさえていた感情を爆発させた。 すると、もう1人の自分が囁いた。

          

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