少年愛玩ドール

成瀬瑛理

馬車に乗るとそこにはオーランドがいた。ピノはハッとするのもつかの間に、馬車はゴトッと大きな歯車の音を立てて動き始めた。ローゼフが以前、オーランド公爵には気をつけなさいという言葉が脳裏に過った。そう思った瞬間、全身が小刻みに震えあがった。そんな怯えているピノに、オーランド公爵は優雅な物腰で話しかけた。
「何をそんなに怯えているんだね、ピノ君。どこに向かおうとしていたのかな?」
「……ローゼフのところだよ」
「お止めなさい。彼のところに行っても、きみはただ不幸になるだけだ」
「そ、そんな事ないよボクは……! お願い、馬車を止めて……!」
ピノは震えた様子で今にも泣き出しそうだった。しかし、オーランドは話を続けた。
「私だったらきみを悲しませたりはしない。きみが悲しんでいるのは彼のせいだ。違うかい?」
「ち、違う……!」
「彼はね、きみの愛から逃れたいのだ。だからベアトリーチェの所に行くんだよ――」
「ローゼフが……ボクの……?」
「そうだよピノ君。彼は人間で、きみは人形だ。2人とも住む世界が違い過ぎる。きみの愛が彼を苦しめていることに何故気づかない?」
「ボ、ボクがローゼフを……?」
「ああ、そうだとも。表向きはきみに愛を囁くが、それが本当に彼の真実とは限らない。もしかしたら偽りかも知れないだろ?」
オーランドがそう話すと、ピノは思わず言い返した。
「そんなことないもん! ローゼフはボクを抱き締めてくれる! 優しく笑ってボクに話しかけてくれる! ボクにキスしてくれるもん!」
ピノはそう言って言い返すと、ついに大きな声で泣き出した。

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