少年愛玩ドール

成瀬瑛理

略奪

広大な庭を歩きながらピノは2人を探した。しかし、2人とも上手く隠れすぎてピノにはわからなかった。そして、あちこち歩いて2人を探したがなかなか見つからず、ピノはその場でグズリ始めた。パーカスはコッソリと物陰から出ると、近くに隠れているローゼフに話しかけた。
「ローゼフ様、どうやらピノがグズリ始めたようですな」
「ああ、もう降参ってところか? そろそろ出てやらないと可哀想だな……」
「そうですね。では、もっと見つけやすい場所に隠れましょう」
「ああ、そうだな――」
2人は意気投合をするとピノの近くに移動したのだった。その頃、近くで物音がするとピノは茂みから声をかけた。
「あ、ローゼフみーつけた!」
そう言って指をさすと、茂みからは声が返ってこなかった。ピノは不思議そうに首を傾げると、再び茂みに向かって声をかけた。
「ローゼフみーつけた! 今度はローゼフが鬼だよ?」
ピノはそう言って無邪気に声をかけると、茂みに近づいた。すると突然、茂みの奥から黒服姿の男が現れた。その瞬間、ピノは驚いて悲鳴を上げた。
「キャアアアアッ!!」
ピノが大きな悲鳴を上げると、2人はとっさに駆けつけた。すると怪しい仮面をつけた黒服姿の男がピノの口をとっさに塞いだ。そして、その場から連れ拐おうとしていた。
「おい、待て貴様!」
「ローゼフ助けてっ!!」
「ピノ!」
男はピノを担ぐと近くに置いていた馬に乗った。そして、馬に鞭を入れて素早く走らせた。ローゼフは目の前でピノが連れ拐われると、頭がカッとなってすぐに追いかけた。
「貴様、ピノをどうするつもりだ!? 私のドールを返せぇ―っ!!」
ローゼフが慌てて馬を追いかけていると、近くにいた馬車使いの者が騒ぎを聞きつけた。そしてとっさに馬車に繋いであったロープをほどくと、彼に声をかけた。
「ローゼフ様、これを……!」
「すまんアルベルト! 馬を借りるぞ!」
彼は白い馬に颯爽と股がると、鞭を入れて直ぐに走らせた。そして、後を追いかけたのだった。

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