少年愛玩ドール

成瀬瑛理

舞踏会

その日のお昼頃、2人はオーランドの屋敷へと向かった。森の中を馬車で揺られている道中、ローゼフは一人黙ったまま気乗りしていない様子だった。彼は持っているステッキを握ると、何かを思い詰めた表情でため息をついた。その隣でピノは馬車の中で無邪気にはしゃいでいた。
「わーいわーい! お外だー! はやーい! 馬車って面白い乗り物だね、ローゼフ!?」
ピノは大きな声を出して騒ぐと、無邪気にはしゃいで喜んでいた。そして、窓から身を乗り出して外の景色を眺めた。
「ピノ、少しは黙ってなさい……!」
「え~! だって初めてお外に出られるんだよ!? ボクね、今凄く楽しい気分!」
「あー、わかったから少しは落ち着きなさい! いいかピノ、今日は舞踏会に出席するんだ。向こうについたら礼儀正しくしてなさい。いいね?」
「うん、わかった!」
ピノはローゼフの話を理解すると、素直に返事をして手を挙げたのだった。
「まったく、なんて能天気なんだ。まあ、いい……。それより、あとひとつ伝えておく。周りにお前が生きた人形だと言うことは決して話すな、わかったな?」
「うん! ボク誰にも話さないから安心して?」
ピノはそう答えるとローゼフの不安をよそに、窓を覗いて楽しそうに歌い始めた。

          

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