少年愛玩ドール

成瀬瑛理

髪飾り

ピノは雨の中、小さな体を震えさせながら涙に暮れた――。
ボクは人形なのに、なんで寒さを感じるんだろう。
ボクは人形なのに、なんで悲しいんだろう。
ボクは人形なのに、なんで心があるんだろう。
一層、人形のままいた方が幸せだったかも知れない。
ボクには薇がない。
ボクはローゼフの愛で動いている。
彼の愛がなくなったら、ボクは壊れて動けなくなるのかな……。
ローゼフに会いたい。
ローゼフにもう一度抱き締めて欲しい。
ボクにはローゼフしかいないんだ。
ローゼフがいないとボク死んじゃう……。
ローゼフ……ローゼフ大好き……。
ピノはローゼフから受けた仕打ちに対して、純粋なまでに彼のことを想った。彼に嫌われてなじられても、ピノにはローゼフしかいなかった。ピノは寒さに凍えながら、彼に会いたいと強く願ったのだった――。


ピノは間もなくして意識が遠退いた。重たい瞼を閉じる時、そこにローゼフの姿が映った。彼が名前を呼ぶと、優しそうな顔でぎゅっと抱き締めてくれた。ピノはそれが嬉しかった。最後にもう一度、彼と出会えて心から喜んだ。これが幻でもいいとピノは思った。その温もりと優しさが本物なら、それでいいと…――。


雨が止むと空はいつの間にか晴れて、朝日が昇っていた。そして、鳥達の鳴き声でピノはベッドの上で目を覚ましました。そしてふと目を覚ますと隣には彼がいた。
「おはよう、気分はどうだ…――?」
彼は優しげな表情で話しかけると、ピノのオデコに触って髪を撫でた。ピノはこれが幸せな夢だと感じた。
「ローゼフこれは夢……? 夢でもいいや、ローゼフ優しいから夢だよね……? ボク、ローゼフのこと怒らしたから嫌われちゃったんだ……。顔も見たくもないって言われちゃった……。ボクなんて消えちゃえばいい……。うっうっ……ひっく……ぐすっ……」
ピノは悲しげにそう話すと、辛い記憶を不意に思い出した途端、瞳から涙を流して泣いた。ローゼフは泣いているピノをぎゅっと腕の中で抱き締めた。
「バカなことを言うな……! お前が消えたら、私も死ぬ……! すまなかったピノ、どうか私を許して欲しい……!」
「ロ……ローゼフ、これは夢……?」
「夢ではない、現実だ……! お前がいなくなって私は酷く後悔した。辛くあたってすまなかった…! お前が無事に見つかって本当によかった……! もうどんなことがあっても離さない……! ピノ、お前を愛してる…――!」
「ローゼフ……! ローゼフ、ボクも大好き! だってボクにはローゼフしかいないから、ローゼフがいないとボク死んじゃうよ……! だからお願い、ボクを離さないで……! ローゼフの傍にずっといさせて……!」
ピノは幼い子供のように泣くと、彼にしがみついて大きな声を出して泣きじゃくったのだった。

「少年愛玩ドール」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く