少年愛玩ドール

成瀬瑛理

髪飾り

「なんだまだいたのか盗っ人が! お前の顔など見たくもない! さあ、この屋敷から直ぐに立ち去るがいい!」
ローゼフがそう言って冷たく言い放なつと、ピノは急に泣き出した。
「やだやだ! ローゼフ捨てないで! ボク良い子にするから捨てないでぇ!」
「うるさい! お前の顔など、私は見たくもないと言っているんだ! 人形の分際でなんて愚かなヤツなんだ! さあ、この鞄をもって今すぐ家から出て行け!」
「ローゼフ様おやめ下さい、どうかピノの話しを聞いてやって下さい……!」
「使用人の分際で私に意見をするな! お前もここから追い出すぞ!?」
「ロ、ローゼフ様……!」
パーカスは彼の怒り狂う様子に困惑すると、戸惑いを見せて口を接ぐんだ。ピノは悲しくて泣くと、ローゼフの足にしがみついた。
「やだ捨てないで! ローゼフの傍にいさせて! ボクにはローゼフしかいないの……! ローゼフがいないと死んじゃうよぉ!」
ピノは泣きながら彼の足下にしがみつくと、瞳から大粒の涙を流したのだった。だが、ローゼフはピノの言葉すらはねつけると冷たい眼差しで言い返した。
「死ぬ? 人形が死ぬだと? 何をバカなことを、最初から魂なんかなかった癖に人間気取りか?」
「ローゼフ……っひ……く……!」
「もういい、このまま出て行くがいい――!」
ローゼフはそう言うとピノの右腕を無理矢理掴んだ。そして、屋敷の出入口へと向かった。彼は怒り任せに屋敷の玄関のドアを片手でバンと開けると、雨が降りそうな表にピノを乱暴に放り出した。
「二度とシュタイン家に来るな、お前はあの商人のところに帰るがいい……!」
「ローゼフっ!!」
ピノは乱暴に表に放り出されると、必死でドアを叩いて彼に許しを乞いた。
「お願い、中に入れてよ……! ボクを捨てないでローゼフ……! お願い捨てないで……! もっと良い子にするからお願い……!」
表でドアを叩いて許しを乞うピノを、彼は決して許さず、頑なに拒み。ドアの前で沈黙し続けた。
「っ……! ひっ……! ひっく……! ううっ……! わあぁあああああーーん!!」
ピノは悲しくて耐えきれなくなると、大きな声を出して泣き出した。そして、胸がちぎれる想いで泣き続けた。泣いて泣いて泣きじゃくった。それでも彼はピノを許さずに外にそのまま放り出すと、無情にも扉に鍵をかけてその場から立ち去ったのだった。

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