少年愛玩ドール

成瀬瑛理

髪飾り

ローゼフが怒って部屋を飛び出すと、パーカスは泣いているピノをあやした。そして、不意に彼のことを話しだした。
「ピノよくお聞きなさい。ローゼフ様がお怒りになられるのは、仕方ないことなのだ」
「え……?」
「ローゼフ様は幼い頃に最愛のご両親をいっぺんに亡くされて、とても孤独な人生を歩んできたのです。それが故に亡きご両親への想いは深く、どうしてもあのような冷たい態度を時おり誰に構わず、とってしまうことがあるのです」
「パーカス……」
「とくに亡き母の思いは深く、彼はとてもマリアンヌ様のことを今も恋しがっておられるのです」
ピノはパーカスから、ローゼフの生立ちの話を黙って聞くと、ピタリと泣き止んで悲しい表情を見せた。
「そうだったんだね、ローゼフはずっと一人で寂しかったんだね……。ボクはマスターのことを何も知らなかった…――。こんなに近くにいたのに何も……」
「そうだよ、ピノ。ローゼフ様はずっと孤独で亡きご両親のことを想って過ごしていたのです。でも、そんな彼の心にも光がまた戻ったのです――」
「光が……?」
「そう、きみが彼に光をもたらしたんだ」
「ボクが?」
パーカスのその言葉にピノはうつ向いた顔を上にあげて聞き返した。
「ボクがローゼフに光を……?」
「ああ、ローゼフ様はお前に出会ってから少しずつ明るくなられた。ずっと笑わなかった彼の顔に笑顔が戻ったことに、私はきみに心から感謝しているのだよ。きっと彼のご両親も、天国で喜んでるに違いありません」
「あのね、パーカス。ボクあの髪飾り盗ったんじゃないよ本当だよ? あの部屋で偶然拾ったんだ……。でも、ローゼフ信じてくれなかった……。ボクもしかして嫌われちゃったのかな……?」
ピノはそう言って話すと、不安そうな顔で彼の方をジッと見つめた。

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